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進む道

 昔、七つの大罪と真帝率いる四帝による戦が起きた。戦は規模が大きくなり、小競り合いどころではなく、大戦にまで発展した。後にこの大戦はワールドウォーと名付けられる。

 四帝の一人、アーサー。彼が治める国は平和で穏やかな国だと評判が良かった。

「今みたいになる前の国は良かった。みんなが機械兵と手を取り合って生活し、笑顔が絶えないそんな国だった。

 だけど、大戦からこの国は変わった。いや、正確には死んじまった」

「死んだ?」

「アーサー王の狂乱さ」

「狂乱・・・」

「戦で多くの人が亡くなった。騎士に志願した未来ある若者、かつて英雄とまで言われた円卓の騎士。みんなみんな死んじまった。

 そして、アーサー王が帰還して最初にしたのが新機械兵の生産だ」

「なるほど。そこからアーサー王が国民を犠牲にし始めたのか」

「ああ。どうしてなんだ。どうして、アーサー王がこんなことに・・・」

「そんなに慕ってたんだな」

「当たり前だ! ・・・すまない。アーサー王はとてもとても素晴らしいお人だ。だからこそ今でも信じられないよ」

「話してくれてありがとう」

 俺はアジトにいる人に次々と話を聞いて回った。誰もがアーサー王を慕っていた。だが、今のアーサー王は変わり果ててしまったという話ばかりだ。

「俺と会った時のアーサー王とは違った感じに思えるな」

「どちらが真実でどちらが虚偽か。主様が会ったアーサー王の言葉よりかはここの人々の言葉の方が真実味は感じ取れる」

「そうなんだよな・・・。そういえば、この組織のリーダーって誰なんだろうな」

 俺はリーダーに挨拶がしたいから会いたいと最初に助けてくれた男に言う。男は快くこの組織のリーダーの元へと案内してくれた。

「リーダーは少し気難しい方だ。けど、とてもいい人だ。さぁ、着いたぞ。奥にリーダーがいる」

「ありがとう」

 俺たちは扉を開けて奥の部屋に入る。質素な感じな部屋の真ん中にテーブルがある。そこには地図が置いてあり、いろいろなことが記入されている。多分、作戦会議室として使われてるんだろう。

「よく来たな。機械兵に襲われたと聞いたが、何事も無くて良かった」

「あ、あなたがリーダー?」

「そうだが? 人の顔を見て固まられると困るな」

「おいスカーレット。どう見てもこの顔って・・・」

「うむ。間違いなくアーサー王だ」

 リーダーとして紹介された人物は俺たちが謁見したアーサー王と瓜二つの顔をしていた。アーサー王? いや、俺たちは確かにアーサー王と謁見した。なら、この人は?

「ほぉ? 認識阻害の結界を突破した人物だったか。ということは、相当な実力者だということか」

「認識阻害のことまで知っているというは、アーサー王なのか?」

「いかにも。まぁ、このアジトにいる国民には誰も言ってないがな。言えば混乱するだけだからな」

「どうなってるんだ?」

「ワールドウォー―――世界大戦の話は聞いただろ? 私はその時に死んだ。まぁ、形式上ではなんだが。そして、私と瓜二つの機械兵―――正確にはアンドロイドを真帝がこの国の王として据えた。

 最初の統治はほぼ私と同じだった。国民に寄り添い、手を取り合う政治。だが、大戦での教訓として機械兵に埋め込まれてしまった物があった」

「埋め込まれてしまった物?」

「恐怖だよ」

「機械が恐怖!? そんなことが・・・」

「私も最初は驚いた。まさかそんなことがってね。けど、アンドロイドはあの時の大戦の恐怖を知ってしまった。

 私が死ぬかもしれないという恐怖も同時に刷り込まれていたのが原因だろうがね」

「そして、機械兵の大量生産になるのか」

「そうだ。次なる大戦が起きた時に対抗する手段は何なのか。機械兵による数の暴力。いや、1体1体の戦闘力がそれなりにあると考えるとなると・・・想像も出来ないな」

「あなたはこの狂った政策が行われている間どうしてたんですか?」

「何も」

「何もって! 国民がこんな状況なのに何もしてなかったのか!?」

「そうだ。私には何もすることが出来なかった。魔力も無くされ、武器も無い。ただ無謀にアンドロイドに挑めばどうなるか。

 死ぬことは確実だった」

「そんな・・・」

「主様、こいつの言う通り、魔力は一切感じ取れない」

「・・・なら、どうして戻ってきたんですか?」

「私の民が助けを求めているからだ。苦しい、辛い、悲しい・・・様々な声を聞いた。こんな状態になっても何か出来るのか分からない。

 けど、立ち上がらない訳にはいかない。そして、国に戻ってきた。

 絶望したよ。国民がほとんどいなくなり、機械兵になっていたと知った時は。そして、私の代わりに王として君臨したアンドロイドに謁見した」

「どうなったんです?」

「力が無い私には何も恐怖しないと言われたな。そして、何もせずにそのまま放置されたよ」

「そんなことが」

「悔しかった。情けなかった。国民を誰一人も救えない王とは何なのか! 必死に助けを求めてくる人々は次々と機械兵に捕らわれていった。

 そして、私は決意した。力が無くても王として人々に認識されなくても、私は私を慕って付いてきてくれた民を見放しはしないと。

 必ずこの手で救ってみせると!」

「そして、この組織を作ったんですか」

「ああ。元々機械兵を作ってきたからジャミング装置自体はそんなに作るのに苦労はしなかった。全体をジャミングするのは不可能だが、小範囲ならジャミングに成功することが出来た。

 そして、少しずつ人々を救出、組織へ参加したいと言ってきた者に参加して貰うことでここまで大きくなることが出来た」

「これからどうするんですか?」

「国を取り返せれたらと思っている。だが、国民を危険に晒したくはない・・・」

「機械兵は強大。スカーレットいいか?」

「うむ。主様がすることに妾が文句を言うはずがない。好きにするといい」

「ありがとう。俺たちもその国落としに協力しますよ」

「国落としか・・・。なるほど。この国を一度落とすのも悪くはないか。協力ありがとう」

 俺とアーサー王は固く握手を交わした。国民を想い、再び立ち上がった裸の王。力は無くても信念を貫くためにその命を犠牲にする。

 こんな男のために立ち上がらなくてどうする。だってそうだろ? カッコいいじゃねぇか。

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