真実
「さて、街の散策に出かけるか」
「うむ。ジャンヌ忘れ物はないか?」
「うん! お姉ちゃん、忘れ物ないよ!」
俺たちは宿を後にして街の散策に出かける。モードレッドが言っていたこと。この街の真実ってのを知らないといけない。
「確かに人の気配が一切しないな」
「なるほど。主様や妾が感じなかったも当然だ。認識阻害の魔法が街全体に掛けられてる。とてつもなく強力な認識阻害。
最初は機械兵だと認識するが、次からは人間だと錯覚してしまう。何かを隠しているな」
「けど、アーサー王は何でそれを隠していながら俺たちの行動を阻止しようとしないんだ? 俺たちが気付いたら騒ぎになりそうなもんだけど」
「気付かない・・・というよりも自身がやっていることに何の罪も無いからだと思う。これは正しいことであり、正義なんだと。
だから、隠しているのではないから別に行動を阻止する必要も無い。そういった考えなんだろう」
「何か歪な感じだな」
「うむ。己がすること全てが正義だという哀れな男を見ているようだ」
俺たちは街中を歩いたが、本当に誰一人として人がいなかった。機械兵だけが歩く街は不気味で恐ろしい物に思えてくる。
「にしても、観光客とかも一切いないってどうなってるんだ?」
「・・・考えたくはないことが起きているのだと思う」
「やっぱりか。さっきから機械兵の動きが微妙に変わってるな」
「妾達を監視し、捕らえるためだろう!」
機械兵の突然の攻撃に俺とスカーレットは避ける。ジャンヌを抱えたまま、俺は攻撃してきた機械兵を見る。
無機質な表情。さすがは機械ってとこか。一撃で俺たちが座ってたテーブルとか椅子まで壊すなんてな。
「スカーレットどうする?」
「妾達が攻撃してもいいが、そうすればアーサー王にまでこのことが届くだろう。だったら・・・」
「まぁ、一度捕まってみるのも手だな」
「おい! 妾達は抵抗をしない。攻撃をやめろ」
スカーレットの呼びかけに機械兵は攻撃の手を止める。そして、俺たちを拘束して、地下へと連れていく。
こんな地下空間があるのか。街と同等クラスの地下空間。中には機械兵の開発場所になっていて、次々と機械兵が作り出されていた。
「なるほど。機械兵を作り出していたのは人間自身ということか」
「そうみたいだな。まぁ、作りたくて作ってるって感じじゃないけど」
機械兵の監視の下でいなくなっていた人間が機械兵を作っていた。ほぼほぼオートになっていても少しは人間の手がいる。そうした部分を任せているようだ。
「明らかに人数が少ない。街の規模とかを考えたらもっといてもいいと思うが」
「主様の言うとおりだ。街の住人と観光客も合わせれば100万人はいてもおかしくない。ここにいるのは10分の1ほどだ」
機械兵に連れられて更に別の場所へと連れてこられる。・・・なるほど。これがこの街の闇か。
「ひっ・・・! お兄ちゃん、お姉ちゃん。人が・・・人がいっぱいカプセルの中にいる」
「あ、ああ。これは、ひどいな」
「この機械兵達は魔力と科学によって動いている。微かに感じられる魔力で駆動部分などを動かしている。では、その魔力は誰がまかなうのか。
アーサー王? 無理だ。この街全体にいる機械兵全てに魔力を込めるのは竜王でも不可能。なら、考えられることは一つ」
「この街の住人の魔力を使えばいいってか。だから、この街には人がいなかったんだな。ごっそり機械兵と人間が入れ替わったって感じか。
恐ろしいな」
「まさに闇」
俺は機械兵に妙な装置を付けられる。何だこりゃ。
『これより魔力を測定する』
「魔力測定? 俺って魔力あるの?」
「主様は妾と契約をしているからあるとは思うが・・・」
『エラー。個体に魔力が感知出来ない』
「魔力無いみたいだぞ」
「ふむ・・・。ジェネシスを発動出来ていたのとプラマハーと戦えていたから魔力はあるとは思うが。・・・いや、まさか」
「ひとりで納得するなよー」
『次、魔力測定。・・・SSS級の魔力保持者と判明』
「当然だな」
「さすが竜王女。最高ランクの魔力か」
SSS級が最高ランク。次にS級となっており、A、B、C、D、Eと魔力判定されるようだ。SSS級はS級にも属せないほどの魔力保持者ということだ。
まぁ、竜王女だから当然と言えば当然だよねー。
『次、魔力測定。・・・S級の魔力保持者と判明』
「え!? ジャンヌも最高ランクの次に高いランクか!」
「えっと・・・お兄ちゃん、ごめんね」
「あははは。怒ってないよ。にしても、俺だけ魔力無しなんて」
「・・・さて、この状況をどうするか」
スカーレットの言う通り、周りには機械兵が続々と集まってきていた。俺は組み立てのところへ連行され、スカーレット達は魔力を吸い取られるって感じか。
ここら辺で大暴れしてもいいが・・・。
機械兵の動きが突然止まり、奥から一人の男が現れる。
「こっちだ! 急げ!」
「何だか知らないけどこの場を切り抜けれそうだな」
「うむ。ジャンヌ行くぞ! しっかり掴まっていろ!」
スカーレットはジャンヌを抱えて、男を追う。俺たちが機械兵の包囲網を抜けたと同時に機械兵が動き出した。
何が起こったんだ?
「・・・ここは?」
「俺たちの隠れ家さ。現国王であるアーサー王に対抗するための組織 レジスタンスのアジト」
「レジスタンス?」
「ああ。俺たちは黙って機械に飼いならされてなんかいない。戦うんだ! 生きるために! 自由のために!」
「生きる・・・自由・・・戦う」
「この国は死んだ。だけど、俺たちの意志、希望は死んでいない。必ずアーサー王からこの国を取り戻すんだ」
「そうか。けど、何で俺たちを助けてくれたんだ?」
「当然のことだ。機械兵によってあの後は地獄の日々が待っているだけ。だったら助ける。あの辛さ、苦しさを知っているからこそ放ってはおけないんだ」
「ありがとう」
気にするなとでも言うように手を振って男はアジトへと入っていった。
「ひとまずここなら落ち着けそうだな」
「うむ。主様、事を起こすタイミングを間違えるなよ」
「ああ」
俺はこの戦いで何のために強くなるのかを知るのかもしれない。けど、それよりもアーサー王の真意を知りたかった。
あれだけ民のためにと動いているアーサー王がなぜこんなことをしているのか。この戦いの果てに答えがあるはずだ。




