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七つの大罪

「スカーレット、何を知ってるんだ?」

「主様が知りたいこと」

「なら、教えて欲しい」

 俺は、プラマハーの依頼を一旦保留して宿へと戻ってきた。宿の部屋に着いて早速、スカーレットに問いただす。

 恐らく、スカーレットは知っていたんだ。この世界のことを。

 ジャンヌがいるが、彼女ももう当事者みたいなもんだし同席してても問題ないだろう。

「主様はどうやってこの世界にやってきたか覚えているか?」

「どうやって・・・確か、ゲームをやっていたら急に眠気に襲われて気付いたら闘技場にいたな」

「そう。ゲームをやっていた。この世界では全く馴染みの無い物だが、決して無関係ではない。主様が眠る前に手に入れたアイテムが全ての始まりだった」

「アイテム?」

「うむ。名は竜の秘宝」

「それって・・・!」

「この世界における世界を形作ったといわれる秘宝。手に入れた者の願い全てを叶える至高の秘宝。様々なことが言われる秘宝だが、主様はそれを手に入れた」

「待て。それを手に入れたといっても、ゲーム内のアイテムだろ? どうしてそれが、現実になる?」

「妾が主様のことを想っていたというのは話したと思う。それは、竜の秘宝の力のほんの一部によって、向こう側の世界の主様を見ていたから。

 妾に恋い焦がれ、一途に想う主様を見ていたのだ。

 そして、竜の秘宝は妾の願いにも反応して主様の元へと行った」

「なるほど。それが、俺をこの世界へと導いたってことか。何で俺の中に?」

「分からない。けど、竜の秘宝は完璧な物では無かった」

「完璧じゃない? けど、願いは叶えられるんだろ?」

「願いを叶えられる規模が全然違うのだ。完璧な至高の宝になれば、世界の改変すらも可能になる。今は、異世界の住人1人をこちらに連れて来るだけで終わり」

「そうだったのか・・・」

「そして、この世界は何なのか。あの現象は何だったのか。恐らく主様が想像している通りのこと。

 この世界は異世界でありながら、デジタル世界なのだ」

「やっぱりか。にしても、デジタル世界か・・・。やっぱりさっきのは崩壊?」

「うむ。この世界がデジタル世界ということは、リソースが存在する。いや、リアルの世界でも存在はしているが、目には見えず、限界になった時の崩壊が分かりにくい。

 そして、この世界のリソースはリアル世界よりも少ないのだ」

「つまり、もう限界が来たのか」

「うむ。何がきっかけで一気に崩壊が進んだのかは分からない。だが、そう長くはないだろう。世界は確実に滅びる・・・。

 さて、主様、プラマハーの依頼はどうする?」

「世界崩壊って言ってるのに依頼か。まぁ、七つの大罪も放ってはおけないし受けても―――」

「お兄ちゃん! 敵!」

 ジャンヌはあれから懐いたのか、俺をお兄ちゃんと呼び、スカーレットをお姉ちゃんと呼ぶようになった。

 まぁ、妹みたいで確かに可愛いんだけどね。スカーレットもお姉ちゃんと呼ばれて嬉しいみたいだし。

「あらあら。白い魔力の持ち主には私の事がお見通しのようね」

 どす黒い魔力を帯びた妖艶な女性が影から現れる。あまりにも異質であまりにも危険。そう本能が教えてくれている。

「七つの大罪が一人、アスモデウスか。主様と妾がいる時によく姿が現せたな」

「まさか竜王女様に知られているとは思いませんでした。その通りです。私が七つの大罪のアスモデウスです。

 以後お見知りおきを」

 華麗にお辞儀をする所作ですらも思わず俺は構える。何なんだこの感じは。プラマハーと戦った時とは違った感覚だ。

「恐らく、主様が感じているのは恐怖。本能的にこいつに恐怖を感じているのだ」

「可愛らしい坊やですね。食べてしまいたいぐらい。・・・竜王女様のレジストが無ければ今ごろは私の物だったのですが」

「ふん! 妾の前で主様に色仕掛けをしようというのが間違いだ。それも魔法なんて使いおって。余程、自分の魅力に自信が無いとみえるな」

 スカーレットの挑発にアスモデウスはピクピクと顔を引きつり出した。あぁー・・・怒ってるじゃん。

「いくら竜王女様とはいえ言葉が過ぎますよ」

「事実だろ」

「・・・はぁ。まぁ、ここは大人の女性として引きます。用件はそれではございませんので」

「用件?」

「えぇ、あの国王が依頼している麻薬生産所の探索ですが、もう建物はございませんので受けなくても大丈夫ですよ」

「・・・信用ならんな」

「まぁ、私を信用しなくても明日には分かることです。それよりも、お伝えしたいことがあります」

「さっさと本題を言え」

「焦らなくてもいいではありませんか。お伝えしたいことは、我々、七つの大罪はそちらの殿方と竜王女様には手出しをしないということです」

「何?」

「竜王女様方がやろうとしていることは、帝国の転覆。なら、私たちと目的は一緒。この世界の変革のために帝国は邪魔な存在なのです。

 一人でもその目的のために動く”味方”は多い方がいい。そうではありませんか?」

「なるほど。自分たちで帝国を潰すのも妾たちが帝国を潰すのも変わらないということか。まぁ、妾たちの道を邪魔しないというのなら特に言うことはないが」

「さすがは竜王女様。話が早くて助かります」

「お前たちの目的は何だ? どうして世界を変革しようとする?」

「いずれ分かること。世界が―――いいえ、私たちが未来を創るのです。このアナザーで」

「アナザー?」

「竜王女様の眷属であるグレン。竜王女様が世界にとってどのような存在なのか。全ての答えを知った時にどうするのか。

 実に見物です。では、残りの三帝にはお気をつけて。プラマハーよりも曲者ばかりですので」

「待て!」

 アスモデウスは影へと再び入る。ジャンヌの魔力察知から抜け出したということは、もうこの周辺には一切いないということか。

「もう何が何だか分からないな・・・。どうなってやがる」

 全てが謎のまま新たなる国へと向かう。どう進むべきなのか、どうすればいいのか。何も分からない。ただ、誰かに導かれるままに動く。気味の悪い感じだ。

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