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新たなる出会い

「なるほど。プラマハーが言ってたことが分かった」

「何が分かったのだ? 主様」

「この国には奴隷がいないんだ」

 行き交う人々は全員が笑顔で身分の差無く接している。俺が最初にいた帝国では貴族と奴隷には圧倒的な差があった。

 それが一切無い。これがプラマハーが目指そうとしている世界か。

「いい国だな」

「いや、主様。裏側はそうでもないのかもしれないぞ」

「・・・全部が全部、うまくはいかないのか」

 俺はスカーレットが指す方を見る。そこには、少女を取り巻く屈強そうな男が10人ほどいる。かなり揉めているようで、誰も寄り付こうとはしない。

「おいてめぇ! どういうことだ? 今日の売上に全然届いてねぇじゃねぇか!」

「す、すいません。皆さんに売っている物が知られて誰も買ってくれなくて・・・」

「いい訳してんじゃねぇ。いいか? 毎日決まった金を俺たちに出さなかったらどうなるか。分かってるよなぁ?」

「そ、それだけは・・・。母さんだけには何もしないで下さい」

「だったら、やる事は一つだよな。何が何でもこれを売ってこい!」

 男は少女を殴ろうと腕を振り上げる。あんな巨漢な男の一撃をまともに受けたら無事じゃ済まない。面倒事は嫌いだが・・・。

「そこまでにしろよ。相手はまだ小さい女の子だろうが」

「誰だてめぇ!?」

「テンプレみたいだな。俺は冒険者やってるんだ。よろしくな」

「誰がてめぇとよろしくするか。いいか? 俺はこいつと仲良く話してただけだ。なーんにも問題はない。違うか?」

「仲良くねぇ・・・。君、この人たちとは仲良いの?」

「・・・」

「黙ってねぇで答えろや!!」

「な、仲良い・・・です」

「ほら見ろ。だから、邪魔者は消えな!」

 そうだそうだ! と周りの荒くれどもが賛同する。やれやれ。

「そうか。そいつは悪いことをしたな。あー・・・一つだけ」

「何だぁ?」

「動かなきゃ何も始まらない。自分の意志を持って考えて行動しろ。俺はいつだって自分から動く奴の味方になる」

「何言ってやがるんだ?」

「味方・・・」

「それじゃ―――」

「待って!」

 立ち去ろうとする俺を女の子は呼び止める。その様子を黙って見過ごすほど男たちはお人よしではない。女の子を大人しくさせようとする。

「このガキ・・・!」

「おい。お前ら動くな。俺は、この子の話を聞きたいんだ」

 殺気を込めて男たちを見渡す。短い悲鳴を上げてその場に男たちは固まる。そして、女の子は話す。

「どうした?」

「・・・お願い。私を助けて!!」

「そう来なくっちゃ!」

 俺はその言葉と同時に男たち1人1人に打撃を浴びせる。一撃で全員で倒す。さすがに街の荒くれだから後れを取ることはないか。

「あ、ありがとうございます・・・」

「小娘。主様への礼は大きな声でハッキリと言え。見ていてイライラする小娘だ」

「まぁまぁ。悪いな。スカーレットの事は気にしないでくれ」

「は、はぁ・・・」

「それで? 君とこの男達との関係を聞きたいんだけど」

「えっと、それは・・・」

「言えないのなら無理に言わなくていいよ。けど、君が売ろうとしていた商品については聞かないと」

「これは、その・・・」

「主様は優しいな。その小娘が持っている物は麻薬。それもとびっきり強い中毒性がある」

「やっぱりか。とりあえず、君の身柄の安全も確保しないといけないからプラマハーの所に行くか」

「ダメ! それだけは、ダメ・・・」

「何かあるのか?」

「・・・」

「小娘。主様のさっきの言葉を思い出せ」

 少女は俺の言葉を思い出す。さっきまでの弱々しかった感じが一気に取れた。きっと、芯は強い子なんだろう。

「お母さんが病気で寝ています。薬代、病院、入院しているお金、手術代。全てを面倒見てくれているんです。そして、これが外に漏れたら支援を切るって」

「そっか・・・。勇気を出して言ってくれてありがとう。お金の心配はしなくていい。これだけあれば足りる?」

「こ、こんなに・・・!」

 俺は、エンペラーアンデッドで得たお金の一部を渡した。あの時、最後に3000体以上のアンデッドを倒したからと莫大なお金を貰ってた。まぁ、持ってても特に使い道は無いから問題ないか。

「気にするなって。うし! プラマハーのところに行くか」

「は、はい! よろしくお願いします!」

「よろしくな。俺の名前はグレン」

「小娘。妾の名前は覚えなくていい」

「スカーレット・・・」

「・・・スカーレットだ」

「グレンさん。スカーレットさん。私の名前はジャンヌです。改めまして、よろしくお願いします!」

 俺は、挨拶を済ませてプラマハーのところへジャンヌと一緒に向かう。ジャンヌが持ってる麻薬の正体も気になる。

 一体裏では何が起きてるんだ?

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