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力とは?強さとは?

「殺ス殺ス!! コロス!!」

「やれやれ。本当に竜になってしまったか。だが、手合わせする相手としては申し分ない」

 グレンだった真紅の竜は口から熱線を放つ。レーザーのように細いが、威力は凄まじく、触れた者全てを一瞬の内に溶かしていった。

「恐ろしいな。人間のそれとはもう何もかもが違うということか。ならば、某も容赦はせぬ」

「グア?」

 侍は刀を鞘に納め、居合の態勢を取る。突然の無の態勢に真紅の竜は驚き一瞬、動きが止まる。

「ほぉ? そのようになっても本能で危険を察知出来るか。だが、某の間合いに入らなければ大丈夫と思っているようではまだまだ。

 推して参る!!」

 縮地と呼ばれる移動法。人が一瞬にして長距離を移動する方法をこの侍はやってのける。そして、距離を詰めて居合切りを放つ。

「居合 絶無」

「ガッ! グギギギギギギ・・・ガハッ!」

「今ので胴が繋がっているとはなかなか頑丈だな。だが、2度は無いぞ」

「待て!」

「・・・先刻の少女か。何用か?」

「主様にこれ以上はさせぬ!」

「やはりあれが少年だったか。ならばこそ某が終わらせよう。竜のまま破壊の限りを尽くすのは少年も耐えれまい」

「・・・少し待て。もし、もし何も変わらない時はお前が全てを終わらせろ。審判の裁定者よ」

「よかろう。某も無用な殺しなどしたくはない。それが、異界の人間なら尚の事な」

「知っていたのか・・・」

「我々の組織の情報網は伊達ではないということだ。早くするがいい。時間は無いぞ」

「うむ」

 スカーレットは真紅の竜へと恐れも無く近付く。裁定者によって動きが鈍くなったとは言え、その本質は変わらない。いつ襲うか分からない状況なのに堂々と近付く。

「竜であるが故に竜王女には逆らえない。・・・因果な物だな、主様」

「グアァ?」

「人の言葉も喋らない・・・。だけど! 必ず主様を救ってみせる。妾は竜王女。世界で2番目に偉い竜なんだから!」

 スカーレットは真紅の竜へと手を近付けて詠唱を始める。そして、次第に真紅の竜は苦しさと痛みからもがき始める。

「・・・ッ! まだ! まだまだ! 必ず主様を救ってみせる! 妾が愛した主様。妾を愛してくれた主様。

 こんな・・・! こんな、竜の契約如きに負けるかーーーーーー!!!!」

 スカーレットは全身全霊で魔法を解き放った。淡い光のような球体が真紅の竜を包み込み、その体を浄化していく。

「グアアアァァァーーー!!」

 苦しさから雄叫びを上げて真紅の竜は倒れる。

「どうなった?」

「プラマハー・・・か」

「うむ。審判の裁定者も出張ったとなっては王が動かない訳にはいかないからな。それで? この出来損ないはどうなった?」

「ッ! 貴様!」

 スカーレットは怒りから胸倉を掴む。それと同時に周りの騎士が一斉に槍をスカーレットを向ける。

「そんな物で妾が抑えられると思うか? 下がれ、人間!」

「確かに万全の竜王女なら無理だろう。だが、魔力を使い果たした今ならどうだ?」

「・・・変わらないさ」

「いいや、変わる。明らかに弱くなった。故に竜王女を捕獲しろ」

 周りの騎士が少しずつ距離を詰めて竜王女を捕縛する。暴れたり抵抗する素振りを見せない竜王女にプラマハーは不思議に思う。

「・・・なぜ抵抗しない?」

「抵抗したら離す訳でもないだろう。無駄に抵抗して傷付くぐらいなら大人しく捕まる」

「嘘だな。・・・まさか。いや、そういうことか。グレンを捕らえろ! あいつが鍵だ!」

「気付いたか。けど、そうはさせない!」

 スカーレットは残った魔力を振り絞り、部分的に竜化をする。そして、周りの騎士を薙ぎ払ってグレンの前へと出る。母が子を守るかのように全身でグレンを守る。

「竜王女とそのグレンがなぜ接点を持っていたのか。どうしてグレンが異世界に来れたのか。竜の秘宝を埋め込んだな?」

「埋め込んだのは妾では無い。が、その通り。それで、どうする?」

「グレンもろとも消すしかあるまい。竜の秘宝は全てを終わらせる。国も世界も。ならば、我も全てを出そうか」

 プラマハーは宝剣を構える。スカーレットはその圧倒的なまでの力を持つ宝剣に冷や汗を流す。

 さすがにあの剣を今の状態で受けたらマズいか。主様、まだなのか!

「さらばだ。竜王女とその出来損ないの眷属よ!」

「マズい!」

 宝剣ガイアから放たれる光が巨大になってグレンとスカーレットを襲う。圧倒的な力。全ての生命を終わらせる大地の一撃。地が裂ける。

「この一撃で全てを終わらせる。世界にお前たち2人は不要なのだ!!」

「そんなことは無い。存在が不要な奴なんて誰一人としていない」

 宝剣ガイアから放たれた光が2人に当たる前に霧散する。先ほどまで前に出て守っていたスカーレットよりも前に現れた存在によって攻撃が防がれたのだ。

「・・・主様!」

「悪い遅くなった。もう大丈夫だから」

「まさか覚醒したのか? いや、それにしては力の奔流を感じない。先ほどまでの荒々しかった気配が無い」

「プラマハーだっけ? あんたの意志は凄いよ。国だけでなく世界を守ろうとしている。だけど、俺たちは死なない。

 生きようって意志がある限り、足掻いてみせる。

 スカーレット! 竜装化だ!」

「うむ!」

「「叡智を極めし覇王の竜、汝は全てを終わらせ、全てを創世する!!」」

「ぐっ・・・! これが、竜と人が信頼することで得た力か!」

 スカーレットとグレンが突き出した手から刀が創造される。そして、一振りの真紅の刀が地面へと突き刺さる。

「創世の刀 ジェネシス」

 かつて世界で竜と人の垣根が無かった時代。遠い遠い昔にそれはあった。人と竜が極限の信頼関係にある時にだけ作られる武器。

 その一振りは世界を創造し、世界を破壊する。万物の頂点に立つ武器。

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