完璧王子?(ラウル視点)
「くっ……、あの展開からのシナリオは、用意が出来ていなかった‥」
「ラウル様、泣かないでください。私共も、あの可憐な魔女様が屈強な騎士のような腕になるなんて、思いもよらなかったのですから」
馬を操りながらの帰り道、僕は側近に慰められている。
魔女君との話の途中、僕が無様にもシナリオ切れになってしまったので、側近達の決め事「強制退場」が行使された。
僕が公の場でポンコツに戻った時に発動される「強制退場」は、僕の駄目な所を隠す上で非常に重要な動きだ。
今回は遂行最小人数だったが、見事な連携によりフォーメーションも綺麗に決まっていた。魔女君から見たら何が起こったのか分からなかっただろう。
「でも、僕は、知っていたんだ。彼女が魔物と戦う姿も見たし、僕を抱き抱える腕が騎士団長のように太かったのも知っている。なのに、僕は、それに向けてのシナリオを、作っていなかった‥」
「抱き抱えられ‥たのですね。それは色々とお気の毒様です。ですが、これで必要な情報は増えたかと。私も周りに聞き込みをし、より詳しく魔女様についての情報を集めますから、お気を落とさず」
「ありがとう、ヴィンセント」
「で、あの魔女様のお名前はお分かりですか?」
「シナリオでは、あの後彼女から言ってもらう流れだったんだ‥」
「それはそれは……。名前、知りたいですか?」
「えっ?知って?」
「ええ、城に通いで勤めているものに聞きました。この辺りでは有名な魔女らしいので。まぁ、有名なのは最近亡くなった老齢の魔女の方でしたが」
「確かに1人で暮らしているようだったな。彼女はあの若さで1人暮らしなのか?危険じゃないか‥」
「本当にそう思われますか?彼女、相当強いのでしょう?」
「それはそうだが、何があるか分からないじゃないか。そうか、一人暮らしか……。そうだな、それが良いな」
「お考えまとまりましたか?」
「うん大体はね。進むべき方向は決めた。あとは詳細をどうするかだけだ」
「そうですか。魔女様もお可哀想に」
「僕は絶対に悪いようにはしない。知ってるよね?あと名前を早く教えてくれないか?僕が知らないのを面白がって勿体ぶってるだろ?」
「ふふっ、勘づかれてしまいましたね。こういうケースは余り無いので楽しんでしまいました。リーネ。リーネ様です。年齢は17歳だそうですよ」
「年齢まで調べていたのか。もう少し他にも何か知っていそうだな。近隣での情報収集を終えたら、逐次、僕に教えるように。早めに次の手を打つから急いでくれ」
「御意」




