招待状②
私の護衛に佐藤くんが立ち、残りの3人が走り出した。
『ゴああああ』
巨大生物が雄叫びを上げながら泥だらけの手を振るう。神崎さんがハンマーでそれを受け止めると、残りの2人が切り掛かるが、切った直後から巨大生物の体がすぐに再生を始める。巨大生物はそのままの勢いで薙ぎ払いを放ったので、今度は3人で集中して頭部を攻撃するが、またすぐに再生を始める。
「ちょっと、すぐ再生するんだけど」
「光輝!脱出ルートは見つかったか?」
「ダメです、領域が安定してなくてこの人数が通る間維持できるルートがないです」
「最悪如月様だけでも脱出できるルートを探して!」
「了解です!」
「ね、ねえ 私に手伝えることはある」
まだ与えられた情報を飲み込めていないが、4人が私のために動いてくれていることはわかる。なら私にもできることがあるはずだ。
「すみません、編..じゃなくて如月様は自分の後ろでお願いします」
「わ...わかった」
4人の普段とは違う態度に戸惑う。私なりにこの5年間、4人との距離感を徐々に縮められてきたと感じていたのだが、彼らの言葉が正しければただの護衛上での付き合いなんだと感じさせられる。
『ドゴン』
そう思った時近くの柱に巨大生物と戦っていた3人が飛ばされてくる
「みんな、大丈夫!」
「光輝、今すぐ逃げろ!奴は一体じゃなかった」
「は...はい!如月様こちらへ...如月様?」
「よくも...よくも...私の部下に手え出してくれたな!」
3人は身体中打撲跡だらけであった。それを見た私は先ほどまで抱いていた恐怖や戸惑いが消え、代わりに抱いた怒りを抑えきれず、椎名が落とした刀を拾って構えていた。
「我ながらバカな行動だとわかってるけども、護衛対象だからといっても、あなた達は私の部下なんだから置いていけるわけないでしょう!」
追いかけてきた巨大生物は、3体になっていた。分裂したわけではなく、最初に遭遇した時と同じ大きさの奴が3体だ。こいつらが3人にあんな事をしたのか。そう考えるとさらに怒りが込み上げる。
ああ..全部壊してしまおう
左右の巨大生物が薙ぎ払い、中央のが右手の拳を振り落とす。私はその拳に合わせて剣を置いておく
私に危害を加えようと振るわれた拳は剣に衝突したかと思うと、豆腐を切るかのように何の抵抗もなく肩まで切り裂く。そしてその傷が再生しないことに気づいた巨大生物の表情は私への恐怖を抱いていた。
「許さないよ、けど安心して、痛みなく殺してあげる」
あれ...私は今笑っているのか?...まあそんなことは今どうでもいい。
巨大生物は防衛本能でも働いたのか3体が合体し、切られた腕を再生していた。ああ...なんて切りがいのある姿なんだろう。私は剣を上段に構え、巨大生物がその巨体で持って押し潰そうとする行動を果たす前に振り落とす。
後に残ったのはどこにでもある泥の地面だけであり、襲いかかってくるものはいない。
「はあ〜」
私は脅威がなくなった事を認識すると、力が抜けてその場に座り込む。
「みんな..大丈..夫?」
息を整え4人の方を向くと、そこには片膝をついて控える4人がいた。
「如月様、先程の剣術お見事でございます。力を取り戻す瞬間に立ち会えたこと大変嬉しく思っております。つきましては私達の主がおられる刀剣協会の本部に招待させて頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
私は返事ができなかった。なぜならその前に意識を手放したからである。




