表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/196

【我はアスピク】-2-

 ベキベキベキベキ...


 ガサガサガサガサ......


 ドガ!ガガガガガ!



 小気味良い音で草木所か木々を押し分け張り倒し。

 野良ラスボスと呼ばれる凶悪な蛇が森を突き進む。


 道を阻むものは体当たりで弾け飛び。

 蛇の王とも呼ばれた強大な蛇はとりあえず進む。


 魔物ひしめく森の中。

 気の向くままに魔王アスピクとも呼ばれた蛇は勘を頼りに移動している。


 そんな勢いに任せるだけの魔物であるアスピク。

 その頭にはピンク色の物体が乗っていた。

 動くたびにプルプル震えるそのモノはスライムという魔物であるが。

 たまたま気に留まったそのスライムを気に入り。

 持ち運ぶついでに頭に載せているだけにすぎない。


 

 ポコン。ポコン。ポコン。

 ポコポコポコ。

 テロテロテロリーン。



 スライムのレベルが上がった!

 スライムのレベルが上がった!

 スライムのレベルが上がった!



 アスピクが魔物を爆裂四散させるごとに

 その内包している魔力に応じた力をスライムは吸収している。


 当のスライムは何が起こっているのか依然として理解していなかった。

 ただ恐ろしいと思える存在の頭の上で振り落とされぬように、

 必死にしがみついているだけの存在である。


 そんな訳も分からぬ体験を続けていたスライムは高所より転落した。


 ねちょり…


 生暖かいモノの上に落とされた。

 スライムは魔力の流れに敏感である。

 視覚も触感も人間とはまた違った感覚で備わっている。


 故にスライムは感じる事が出来た。

 今自分の下に居るコレは今まで生きていたであろうモノだったという事に。


 恐ろしい存在は言葉に出してスライムにも分かるように言った。

 食えと、自らに取り込めと、出なければ我がオマエを食ってやるとも。


 仕方なしにスライムはそれを捕食した。

 モノ言わぬ存在となったソレに通じぬと分かっていながら謝罪を続け。


 暫く後に知識を得る事が出来た。

 2体、3体と、新鮮なモノを取り込むにつれ。

 今の自分に必要だと思われる情報を

 その身に覚え込ませる事が出来たのだった。

 得た情報を試そうと思い。スライムは大きく息を吸い込んだ。



「ぷぷぷぷぷ…ぺるるるる…」


 ぐちょ…

 ぺちょ…むにゅ…


 どうやら発音は出来なかったようだが。

 そんな行為を目にしたアスピクは上機嫌となり再びスライムに顔を寄せた。


 当のスライムは食べられる!

 そう思い諦めの境地に達したようだが特に何事もなく。

 また頭の上に乗せられたと理解し凶悪な乗り物の上で必死にしがみつく。

 後はもう、振り落とされまいと力を込め続けるのであった。



 ペコンペコン。ペコペコペコペコ。

 テレテッテーン♪



 スライムはこの世界で生きる為の強さを得ていく。

 決してそのスライムだけが楽をしている訳ではない。

 強者に張り付き魔力を蓄える魔物は珍しくもない。

 この世界で生き抜く為の手段の一つ。


 運が悪ければ搾取されるだけの存在であったスライムが。

 運良く強者に取り入られただけの事。


 そのスライムにとって良いか悪いかで言えば

 良い方向には向かっているのだろう。


 悪い面で捉えるのであれば。

 その強者の気が向かなければソレと

 離れる事が出来ない存在となってしまった。


 スライムはその事に気が付く事無く。

 ただ流されるがままに張り付いている。

 自分の命はこの宿主である強者の気の向くままに。


 しかし。スライムは悪くは思っていなかった。

 強者の頭の上に居座る自分自信が楽しめていると感じ始めているからだ。



(あ”ー。。。蛇王って言ってたし。。。王冠代わり!)



 スライムは『形状変化』のスキルを会得する。

 蛇の王の頭部にはピンク色のプルプルとした王冠が出来上がっていた。



   *   *   *

 


 耳を劈く咆哮。

 我に近寄るモノは全て吹き飛ばしてくれようぞ!


 我のユニークスキルとして昇華した『体当たり』にて

 全ての敵とみなした相手は触れる=打撃を受ける事になる。


 スキル発動中は我が動かずとも

 対象が触れてくるだけでダメージを与えられるのだ。


 このようなスキルを得る事が出来たのも。

 我が友であり我が子のような存在であるヨルンのお陰だ。


 邪魔な木々等触れるだけで消し飛ぶわ!

 道端に転がる岩等も削れて無くなりおる! 

 我に近寄る魔物共も気が付いたら宙を舞っておる!


 環境破壊は楽しいぞ!


 あ奴は10年後に時を戻すとも言っておったし。

 それまでは好き放題させて貰うつもりだ。


 少々羽目を外しすぎている気はするが。何も問題はあるまい。

 100年以上の時を殺され続けたのだから。

 世界の一つや二つ。1回や2回。

 破壊の限りをし尽くし、うっぷんを晴らしてくれようではないか。

 得た経験は次の世界で役に立つ故。思う存分暴れてくれよう。


 どれ、こうして走り続ける事の数時間。

 目当てのモノの場所も分からず突き進んではいるが。

 折角だ。スライムの育成ついでに冒険者の一匹や二匹食わせてやろう。


 ほおれ、我を見て動けぬ人間が。

 ひいふうみい。4つもあるな。


 我と遭遇してしまった事を不運と思うがよい。

 蛇王からは逃げられんぞ!




―――冒険者達は逃げだした

―――しかし逃げきれなかった



―――アスピクの攻撃

―――『蛇王の魔眼』を発動



―――冒険者達は呪われた



―――冒険者達は動けない

―――冒険者達はダメージを受けている

―――冒険者達は動けない

―――冒険者達はダメージを受けている

―――冒険者達は動けない

―――冒険者達はダメージを受けている

―――冒険者達は動けない



―――冒険者達は全滅した




 相手が人間であるならば我が視界に入るだけで大抵の相手は死に至る。

 それが『蛇王の魔眼』の効果である。


 詳しく説明は出来んが。

 睨み付けるだけで相手は毒状態も似た影響を受けるスキル。


 動きを止めるだけでなく

 我が視界に入るもの全てが苦しみ悶え。そして死ぬのだ。



 という訳で何の苦労もせずに4つの死体が出来上がっておる。

 ほれ、スライムよ。食らうがいい。腹が減ったであろう?


 言う事が聞けんのなら。我がオマエを食ろうてくれるわ。

 それが出来んのならオマエはこの先生き延びられん。

 この世界で魔物が生きるには必要な行動を覚えるのだ。



 ぶちゅる…ぐちゅる…ぐずぐず。

 プシュー…しゅわしゅわしゅわ。。



 …よしよし。素直に我の言う事を聞いてくれたか。

 他のスライムに比べると、動きが丁寧であるな。

 捕食の仕方は下手だが徐々に慣れていくが良かろう。



「ぷぷぷぷぷ…ぺるるるる…」



 おお…これは。むむむ?

 もしや…喋ろうとしておるな?

 だが出来ぬようで苦戦しておる様子だ。


 思ったより覚えが良いようだが…

 呪術を教え込めば念話ぐらいは直にでも使いこなせるやもしれん。


 これは楽しみだ。大事にしてやらねばならんな。

 どれ…目当ての場所付近に辿りつくまでには数日は掛かるが。



 もう少しゆったりとしたペースで行くのも良いかもしれん。

 少なくても…無駄にはならん筈だ。


 では…続けて進もうぞ。スライムよ。

 振り落とされんように、しっかりと乗っているが良い!


 目的地は…我が魔城の跡地。

 あの場に辿りついた後に奴等の正確な場所を探すとしよう。

 我だけならともかく。配下を増やすのであれば拠点は必要だ。


 耳を劈く咆哮。


 我はここにいるぞ!

 配下になりたければやってくるが良い!

 我が体当たりに耐えれるものならば歓迎しよう!



 パシュン。パチュン。パピュン、

 パンパン。ドパパパパパパ。


 スライムのレベルが上がった!

 スライムのレベルが上がった!

 スライムのレベルが上がった!



 アスピクは突き進む。

 その頭にスライムを乗せ。

 知恵無き魔物を呼び寄せ。霧散させ。

 ついでにアスピクが望む魔物は遠ざかる。


 程なくスライムは気付く。

 アスピクの鱗が美味しいと感じる事に。


 アスピクの頭皮は薄くなった。

 本能的に身の危険を感じたスライムは頭皮に擬態する。

 スライムは『擬態』を会得した。


 着実にスライムはスキルを覚えていく。

 暫くの後にスライムは気が付いた。


 アスピクの頭皮は直に再生される事に。

 味を占めたスライムはアスピクの鱗をその身に取り込み続けるのだった。



   *   *   *

昔のアクションゲームは触れるだけで主人公が一撃必殺!

何気にニンジャ系が即死するモノが多かった気がします。

体力が残っていても穴に落ちて体力自体意味が無かったり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ