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オリジン・シード  作者: 草間
イースター・エッグ~VSメカ宇宙怪獣~
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9話 なぜなに、ネロ先生!

■ヤガールの寺院 道場 食後


「アンタは茶をシバたままでいいから。とにかく状況を整理する。クレア少佐もいい?」


「構いませんが、明らかなる事実だけを伝えてください。先ほどから私の知らない話ばかり。海軍捜査局の私に向けて不確定な証言と、憶測で物を話されているので」


「田舎育ちの小娘小役人は放っておいて続けるわよ」


 あんまりな物言いじゃないか?ほらクレア少佐は通信越しでも滅茶苦茶響くお怒りの声をだね。その高い音響を無視し、ネロは現在明らかになっている……クレア少佐曰く話を整理して我々へ向けて話し始めた。道場で正座だったり胡坐だったり横になって半分寝ていたり(これはポリ)の我々に、だ。横には補佐役としてプリムも浮いているのはちょっとした絵にはなっているが。投影で情報ボードも出してくれているし。


 教えてネロ先生!時系列順に話してくれるって!


「遥か昔、宇宙超常存在(ザ・マスター)がこちらの宇宙から離れた際にエルダー同士の戦いが起きた。そのエルダー大戦で逃れたヤガールの隠れ里であるこの惑星にて切欠は……まぁいいわ。今より1000年前……とにかく地球帝国の人間はヤガールと接触しは協定を結んだ。地球側は宇宙怪獣エイリアン・モンスターを宇宙から完全に排除するため。ヤガールは……まぁいいわ、そのあたりはナンブに任せる」


 今は起きている状況に対してだけ焦点を当てる、いいわねというネロの声に無言でうなずく。今起きているもの、その状況がなぜなったか。今まで断片的だったものを整理してくれている。もちろんレーツェンに何かしら意図があるか、まだ時間がないかで話されていない彼女側の経緯については触れないまま。今関係しているのは、帝国とヤガールと宇宙怪獣……三者の関係だ。


「ザ・マスターの操る力を、同じく操れるヤガール。力を糧にする宇宙怪獣が揃った時に結び付けられた。力を操れれば、宇宙怪獣も操れるはずと。とかく銀河連邦の名目上に敵性異星体……宇宙怪獣殲滅があるなら何でもしていい、という条約を利用した。この惑星はその対策用の兵器としての武士と巫女をメインに生産。他にも標的用に機械で再現したメカ・モンスターも開発と研究していた」


 私からすれば、人造の宇宙怪獣を作ろうとしていたことよりもこちらが受け入れがたい。


 よりよい兵士、戦士、武器を生み出すために惑星国家単位で実戦形式の演習をずっとさせていたという。より強くさせるための人造戦士、人造巫女?にメカ宇宙怪獣。それらを惑星国家内……または惑星国家同士で共食いさせて純度を高めたり。よりよい戦力を生み出し、またはよりよい戦力のためのデータを取っていた。


 正気ではないのではないか?


 いや……地球という母なる星を奪われた地球人の恩讐だ。こればかりは私が思うことのできないもので何とも言えない。その中に……その時代かはさておき世界に、私はいたはずなのに思い出せないだけなのではあるが。改めて地球帝国の歪な生命倫理と地球への望郷の念に触れてしまったもので、ネロの言葉が私に向けられるまで黙って目を逸らしてしまった。彼女の続けるわよ、という声でまた向き直れたが。


「ただ公然の秘密裏でやってたゼノ・テックの解析が進み、生体工学と合わせても宇宙怪獣の解析は進まなかった。再生と蘇生はある程度できたようだけど……被害の方が甚大、と見た方がいいわね。操れないものを操ろうとするなんて土台無理な話」


「そんな話、捜査局では聞いたことがありません!あればアルテミス艦隊は即座に」


「報告が出なければないのと同じよ。帝国内務用の軍警に上がる話ではなかっただけ、おわかり?」


 嫌な話だが帝国及び銀河連邦とかで進めている話だ。そんな彼ら政治的なものの決定の話に、軍隊の内部の取り締まり職が関わるような話ではない。当然知らされることもないし、知らないでいいで封じられる話だ。一応取ろうと思えばここで生まれる兵士もまた帝国の所属なのだろうが……それもまた、規定を決める地球帝国が決めることである。例外を決めるのも地球帝国。


「そこでさらに接触してきたのが、同じエルダーであるバファムト。ギルドの密輸部門の幹部を隠れ蓑にしデリガット・バフムの名で活動していたもの。どういう経緯かは知らないけどこの宇宙の生物を自在に弄れる力もつアイツを引き入れた」


 そこで試験的に始めた、ゼノ・テックとの融合。機械を用いて蘇生させたサイボーグ宇宙怪獣の誕生。それは……いくつかの成功例を生み出していたという!どういう原理かはわからないが、完成していたなんて……サイボーグ宇宙怪獣!


「理論体系的に追えば、海軍秘密工廠アヴァロンで作ってるのと同じじゃないかしら。ザ・マスターの操るエネルギー……マナとかホーリー・パワー……まぁそこのナンブ曰くのでいいわダサいし。マスター・パワーをあるという前提で組まれたマシーン部分。それを組み込んでいるのかも」


 ダサいはないだろう他に例えがないんだから、と思いつつもネロの解説は結構わかりやすい。観測出来ていないだけであるというものを用いている、計算とかの数学上はよくある話だ。それを実態として起きている現象から逆算して作っている。工業的にもだが、そうした計算が出来ているのも……34世紀だからなのだろうか。途方もない精度と仮想実験の果てのものかもしれない。


「ここまで出ている情報で、私たちがこの後に直面するだろう問題が2点。ナンブ、1つでいいから答えて」


「えぇと……サイボーグ怪獣が、どの程度の強さかはさておき。どの程度作られているか?」


「わかりやすい方をどうも、正解よ」


 実際その操れるものが出来たとして、どの程度の戦力になるのか?そんなものは……わかりきっているようなものだ。あんな質量体積とかエネルギーを暴れさせたら、惑星もそこに住んでいる人間もどうしようもない。止めようとする軍隊もすごい被害を受けるはずだ。


 だから力はもう決まっているようなもの。問題はどこまで数を揃えているかだ。工業製品というのはそれが恐ろしい。既に量産体制が整っていたら……えらいことになる。我々の戦力でどうにかできるようなものなのだろうか?


 と、詳細を知っていそうなヤガールを見るとだ。こちらをすまなそうに見て……目を伏せて、ただひとこと「わかりません」と答えた。


「2つ目がこれよ。この計画の主要人物、その片割れが正気じゃなかった。ならもう片方は正気か?って話。このヤガール、バファムトもそう……ここの執政ハルカとやらもね」


「そんな、ハルカは夢を通して御子様に助けを求めている!だからあなた方はここに来た!」


「私たちは、そのハルカに会っていないわ。サイボーグ宇宙怪獣の狂気が生み出した幻っていうのも十分あり得る。なんなら人間じゃなくなっているハルカや他の巫女かもしれない。そんなやつが執政として今の政権にいて、計画の中にいる。危険しかないわ」


 この惑星国家全てが戦う相手と見てもいいぐらい、規模が大きくなってきたと。正直な感想を言えば惑星ごと破壊したほうがいいというネロに……クレア少佐の声が重なる。でもそれは、推測の域に出ていないと。


「エルダー・ヤガールとやらはいましたが。その執政官ハルカと同じく実際どの程度の計画が実行に移されているのか……ネロ執政官補は見たのですか?それとも見ていなくとも確証がおありで?でしたら教えていただきたいものね。公明正大なアルテミス艦隊司令官メリナ・ハイマン提督に通しておきますから」


「バカね、証拠は()()()よ」


 クレア少佐の「ハァ?」という声と「えっ私が?」という声が重なった。レーツェンもカナタも何事でそうなるのか、という具合にこちらを見ていたのだが……ネロの方が溜息を吐いている。呆れている、というより自分の中の吐き出したくない何かを吐き出すように。


「こいつが起きてから、大体考えればそうかもしれないが()()()()()()()()()()ってコトが大体起きているわ。ザ・マスターの使徒であるプリム様、試算でいい。現状可能か不可能かで応えて」


「十分に可能です。ただ模造されたゼノ・テックとのハブ、中枢制御ユニットとしてヤガールの巫女を埋め込む方式になりそうですが」


「ハルカが!?」


 ウワーッ!絶対、ヤバいやつ!これ見たことあるよ!これハルカって人が制御ユニットにされて、バファムト……デリガット・バフムが操るヤツじゃん!見たことあるって絶対!


 そんな顔をしてネロを見ていたら「やめなさい」とピシャリ。


「いい、地球帝国海軍捜査局クレア少佐。あっちが正気かどうかはさておき、ヤガールが目覚めてこちらについたのは察知していてもおかしくはない。こっからは時間が勝負。先に……どれでもいい。本体を見つけて叩いて対処法をここで作るか、惑星ごと焼くか。観測されていない執政はさておき政府関係者の証言もある状況、オシアナ非常事態宣言の発令条件は整っている」


 何を悠長なことをとネロがクレア少佐に詰めてしまい、彼女が押し黙ってしまったその時だ。プリムが全員に通信を繋げると、クレア少佐のフリゲート艦にも繋げることを伝えてくる。誰からの?と聞けば……聞いたことがあった声が聞こえてくる!この声は……


「私は正気だよ。久しぶりだな再生者とそのお供の諸君」


「デ、デリガット・バフム!いや……エルダー・バファムト!」


「その名前をお前から聞けてうれしいよ!」


 今一番聞きたくない相手からの言葉が聞こえて来た!ネロは時間との勝負と言ったが時間的猶予などなかったんだ!





 

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