5話 デカいクノイチに囲まれているが?
クノイチの一番セクシーな部分って口元だけを隠すマスクだと思うんですよね
■惑星ヤマト04 東方大陸 山岳地帯 旧都市 夜営
カナタ曰く私たちが落ちてしまったここは東方大陸の山岳地帯にある旧都市であり廃都市だとか。廃れてしまって久しく、家々にツタがあるわ水が溜まっているわという具合。しかしそのどの建物も……アジアンな外見ではあったが、一枚壁を引っぺがすとハイテックの塊。それらしい外見をしているがというもの。奥内にある厳重な保管庫には武器弾薬に保存食料まであった。民家に?
すっかり夜のトバリが下りてしまったもので、私たちはそこで火を起こして救援たるアンジェラやネロたちを待っていたのだ。廃墟から適当な椅子やテーブル、鍋類や食器やら保存食を集めてだ。どうも標高のせいか寒いもので、野外で待っている間はこうしてキャンプのようなことをして待っていたわけで。
「で、アンタは何をしているわけ?」
「何って……夜ごはんですよネロさん。あっ野草のお粥の匂いが好みではない?」
「プリム、水のボトルを」
はいというまでもない。プリムが彼女の光る四角い体から水のボトルを出すと。そのままひっつかんだネロがこっちに投げてきた。当然おたま持って火の具合みてた私は避けられるわけもないので頭に当たる。あぶないじゃないか。
「私が聞いているのはね、そのアンタの周りを囲んでいる連中と何をしているのかって話よ!」
「何って……ねぇ?カナタさんや。味薄いかな?」
「我々には薄いですね。御子様は薄味が好みと」
「薄い塩味が続いているもんで、塩気の強いのが受け付けなくて」
「カナタ様、このお方たちは?政府軍の人間、ましてや師の追手には見えませんが」
「御子様の護衛だ。まだ情報は入っていないだろうが銀河連邦統合軍となっている」
「最近の出来事ですか。我々はそれより前に戻っていたもので……ではあちらで獣を捌いてきますから」
「暗いから気を付けてね」
もう何も言わずともなのか。アンジェラは装備品の中から携帯ライトを取り出し。ネロ曰く囲んでいた連中の1人に投げて寄越した。敵対行動中にないことがわかってか、そもそも戦士の感なのかはちょっとわからないが流石だ。状況への順応が早い。
まぁネロの言いたいことはわかる。わかります。
墜落していくだろう輸送機から単身装備もなしで飛び降りたやつ。そいつを追いかけたら……襲ってきた連中と火を囲んで、野草のお粥で温まっている。しかもその連中と来たらなのですよ。鍋をかき回しながら見ると、揺れる火を光源として見えているせいか4人……今は3人か。凹凸が影になるぐらいに体型がしっかり見えている。
アンジェラやネロのようにインナーだから、ピチッとしたテックなスーツを着ているわけでもない。最小限の装備と……今は食事時なのでマスクを下ろしているが。みんな髪型や瞳の色は違えど、艶のある髪で火の光を反射させている。そんなスペース・クノイチ……しかもみんなデカく、大体私が座って火の管理をしているとだ。立っている彼女らはお尻ぐらいが私の顔の位置にあるのでまぁすごい、デカい尻に囲まれている。なんだか彼女らとの距離が近いからか、視界の半分が常に尻でふさがれている気がする。
「控え目な鼻の下を伸ばし方から見るに、意のままにされているわけではなさそうね」
「ハァ?海兵隊の次は産業同盟の反政府戦士?冗談きついわ。あぁそうね、アンドロイドの連中も入ってたか」
「まぁ待たれお三方。いや四方、五?説明は私が」
「私が?私がなんと?シルバー・サムライ。あなたはセイバーに続いて、まさかとは思いますが?」
わぁポリも元気ね。と駆け寄ってきてくれたポリを撫でていたらだ。ソニアがすごい低めの声で……私の隣に座るカナタを見下ろしている。返答次第ではセイバー抜くが、返答せんでも抜くぞという手の位置で。ちょっとまってくれないかと立ち上がろうとするとピリが腹を突いて押し倒してきたのでひっくり返ってしまい、直前で止めるタイミングを逃してしまったが。
「まさかヤガールの法とやらを用いて、彼女らをも干渉させ手勢にし力を得たと?」
「いや、いやそれは違う!違うのだ教導院の騎士!それは断じて違う!」
そう、違う。いやちょっと違うになってくるのか?今はいない巫女の彼女の話の通りならそういう資格を与えるとかどうのという話ではないはずなのだが。とりあえず獣を捌いている彼女が戻って来たら、食事をしながら説明に入ろうと……ソニアとカナタを取り持った。
■ そして食後
「話はわかったけど、結局あんたらは何をしていたってわけ?」
お疲れでしょうし、まずはお粥から……としたら大鍋一杯のお粥をみんなで飲み干しているし。しっかり焼かれた獣肉はみんなの胃袋に収まり残ることもなく。ポリがホネをかじかじして……火のあたりで食後に落ち着いていたあたりだ。
食事中にはなぜスペース・ニンジャ・スクワッドの4人が……カナタを含めて正気になったのかとか。襲ってきたとかの話はあったのだが。結局参謀本部が言ってるような……ゼノ・テックやら対宇宙怪獣用の技術で何かよからぬことをしているのではないか。そうでなければ今なぜ反抗を企てるのかと、いう部分はわからない。それは一体何なんだよとネロはカナタに問うわけだが、どうもそれについてはハグラカシている節がある。
どうも本当に言いづらいことのようで、こちらをちらと何度も見ては言うかどうかを決めかねている。ネロは私が説得することを見越して……はよ言わせろやって具合に見てくるもので。カナタに向き直り、何があろうと問題ないことを伝えた。
「アンジェラが言ったように……遅かったかもしれないが、私が来たんだ。何がどうとあれ急に何をとはしない。事情を話してくれないか。間近で見たが宇宙超常存在の技術は……今もやっぱり、野放しにしておくのはよくないでしょうし」
ぱちぱちと火が薪を割り、爆ぜては消えていく音がしばらくして。ポリが新しい骨に嚙みついたが……別の嚙みごこちを試そうと贅沢にも他の骨にかぶりついた時にカナタから言葉が返って来た。
「エルダー・ヤガールはゼノ・テックを用いて宇宙怪獣の遺体を機械化し、蘇生させ操ろうとしているのです」
「へぇサイボーグ怪獣を作ってるんだ!そりゃすごいな」
わはは、と私は笑ってしまった。ずいぶん趣味的でなんだそんなことかいと……夜のうちにやっておきたい鍋洗いに手を出し始めていいかな?と思える話だった。そんなぐらいのことなら、だ。鍋に水を注いで湯を沸かし……洗い物の最中に聞き流せるものじゃないか?みんなも静かにしているし、たいしたことじゃないんだろう。
明日の行動は早いだろうし早く寝たいねと思ったところで……頭の中でカナタの言葉がもう一度響く。機械化された宇宙怪獣のこと。機械化された宇宙怪獣を操って戦力にしようとしているのだろうか?いや何と戦うために?あんな存在とあんな力を?え?たいしたことじゃないのか?!
「サイボーグ怪獣!?なんで?!なんでそんなものやってアッツ!あっつ!」
「バッ……バッカじゃないの!?なんでそんなものを!条約を何だと思っているのよ!アンジェラ!」
「クレア少佐、聞こえていた?コード発令、タイタンの準備。それとスター・ブレイザーを呼んで。いますぐ」
「ナンブ様、水、水です。膝にかけて!」
「師であるヤガールのことはわからん!もうわからん!だが今の政府執権……ハルカがなぜ協力しているかはわかる!お前たちもそうだろう、帝国……いや銀河連邦から独立のためだ!」
その言葉でしんと、また静まり返ってしまって。ソニアとクノイチのみんなが、湯を引っかけた私のズボンを引きはがしにかかる中。火傷しないようにとジャバジャバに水かけられているもんだから無音ではないんだが、結局みんな黙ってしまって……私はちょっとわからないものでカナタを見ていたら。
「それでも、それでもやってしまったことへの後悔があったからこそ……ハルカは御子様に夢を通して助けを求めたのだろう。だからどうかお助けください。あなたなら師を……巫女であるハルカも助けられる。いやこの地球人類を今の立場から!」
「カナタ!まず彼女らを止めて!脱がさないで!ズボンはいいから!!!」
デカいクノイチとデカい女騎士にズボンが奪われようとしている私を助けてくれ!デニムが避けちゃう!
23世紀の力で蘇ったやつは強かったですね……




