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オリジン・シード  作者: 草間
コスモ・レコンキスタ~宇宙回帰運動~
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15話 デカいものが眠るデカい墓所

■惑星ネザリア 北方 封鎖区域 基地内部 墓地


「この惑星はたかだが100年ぐらいだけどね。それでも惑星開拓の歴史は長い」


 特に人類が銀河連邦に参入してからは、とロボットは語る。


 遺伝子改造され、様々な特権的許諾により量産が可能となった地球人類。銀河連邦の中でもその居住圏を広げるために設立された惑星開発機構という組織。そこと結びつき、惑星を開発するために生まれた人類を送り出す事業計画が始まり1000年に届く頃合い。


 そうした繁栄に紛れるように一部では……この惑星のように、広げていく銀河連邦の勢力のハズレにある辺境は秘密裏にコトを進めるに都合がよかった。こうした惑星が多くあるということは、そこまで管理の目が届かないだろうことも容易に想像ができる。


「ここも発見したゼノ・テックを何かを持ち込んで研究する予定ではあったらしい」


「予定?いや現にここにはあるってリィン導師とあなたが」


「この惑星に眠っていたんだ、ゼノ・テックが」


 地球から見て宇宙より来たりし技術。この今いる宇宙の創世者である宇宙超常存在ザ・マスターから供与された技術とが混ざり合ったもの。それがこの惑星に眠っていた。その場所は当然この基地がある場所、北極点基地であった。


 惑星ネザリアの植民政府はまずこれを秘匿するか、報告するかで揉めて……探るための実験でいくつかの場所を吹き飛ばし。困った挙句に開発機構に連絡し、放棄という形をとって秘密裏に囲って解析をする方針にした。


 そのためこの惑星ネザリアは本来ある惑星の開拓と人類の居住圏拡張という事業の優先度は下げられ、全てゼノ・テックの解析に向けられてしまったのだという。


「元々マスプロダクトされている人造人間の扱いは良いものではないがね、それでも方針転換前まではまぁ……今思うとマシな方ではあったと思うよ」


 全てのリソースが管理されているが、放棄という形になり……また情報統制の形もあり。開発要員の人造人間に資源も時間も振り分けられなくなった結果は……この惑星全域で先の収容所のような状態に陥ったと。連邦もその惑星の開拓に興味がなくなれば、開拓している人間に興味もなくなる。放置されはじめて数年たち、またいくつかの土地を吹き飛ばした後……彼ら、彼女らが来た。


「実に見事なお手並みだった。最も書面上放棄されている開発惑星に彼女らから防衛する戦力などない」


 あっという間に機械福音教団(エヴァンゲリウム)……マシウス、彼女らは制圧し。人類の方を保護し……植民政府の人間やゼノ・テック解析関係の人間を捕らえた。それらの人を罰するように……ここ北方に閉じ込め、収容所に押し込んだ。それらを用いて何かするのも構わないが、近くでやってみろとでも言わんばかりに。


「予想の通り。最初にゼノ・テックを用いて反撃を試みようとした政府の人間はいたが殆どが形も残らなかった。彼女らは、人が人を超えた力に触れたが故に自ずと受ける愚かな罰だと言っていたが」


 ロボットである彼は、マシウスらから見て人造人間と同じ扱いを受けるべき存在だったらしい。人をサポートするために生まれたものであるならば、植民地で生産されている人間のために生きるように頼まれた。しかしそれを受けず、ここへ進んでやってきたと。


「私が生まれたのは、ここで消えた彼らをサポートするため。そういう使命なんだ。それを全うするためにいるのであるから当然さ。彼女らは彼らも私の意思も気に入らなかったようだが、受け入れてくれたよ。最も……もう誰も残っていないが」


 この墓所のような基地を構成する人工物のように。徐々に朽ちていくことを受け入れているような雰囲気と口ぶり。マシウスが彼を人造人間……あの子とあの老婆と同じように見ているのならば、今引き上げを頼めば連れて行ってくれるだろうに。


「彼女らと共に新しくやっていくという選択肢もあったはず、でしょうが……」


「でしょうが、だよ再生者。彼女らが来てからこの惑星の開拓はずっと進んで安定しているがね」


 なぜ頼まなかったか。このままここで朽ちてもよいのか……そうなのかもしれない。ロボットであろうにどことなく疲れた雰囲気を感じてしまった私はそこから先を聞くことができず。なんとも言えない時間を受け入れることになってしまったが……


「いや、すまないね。この先どうするかを自分ではわかっていても、ヒトに聞いてもらうと違ってくるものでさ」


「再生者がヒトですか」


「ヒトだよ。私から武器の供与は出来ないが、開発機構で温存されていた輸送機がある。それを使ってくれ、もう誰も必要としていないものだ」


 今この惑星にいるものはこのニアリー理想郷から出ていくこともなし。落ちてきたもの、捕まったものは出られることもできない。今後使われるかもしれない、という話はあまりに現実的ではない。ならば少しでも出来そうであり、別にどうというものでもない私に渡すとのことで……ありがたい申し出だが。


「こういうとき、あなたも誘えればいいんだけど……引き留める、誘う言葉が浮かばない。ごめん」


「いい、君が私を尊重してくれたというだけで十分。さぁ行こう、動かすために具合を見ないとな」


 ポリをひと撫でした後に。彼についていく形で墓所を後にした。後にするときに……一度頭を下げて、出る。彼らがどういう人間であったにせよ……それが死者への礼儀であるから。


■ 格納庫


くたびれたパワー・ローダーが1つ、朽ちた車両がいくつか転がる格納庫。さらにいえば()()()()()()?の残骸すらも置いてある場所が格納庫だったのだと。もう使い物にならないものが殆どで、パワー・ローダーですら片腕がない状態。スクラップの置き場のような有様だ。


 ロボットの彼の操作で唯一無事である輸送機のハッチが開かれ、そこから始動の準備と確認を始めたのだ。素人の私が見てもよく手入れがされている新古品ぐらいの程度で、これならすぐに飛び立てそうだった。機内の格納スペースも、ギルドの生き残り達を収容するにも十分だ。


「軽くチェックしたが問題ない。軌道上まで飛行するに十分なパワーもエネルギーもある」


「あとは無事に出れるかどうか、か……まだマシウスに補足されていないのなら、今のうちにみんなを呼んで出てしまうのが最善かな」


「それは……」


 彼女らを侮りすぎているのでは、とロボットの彼が呟いたのと同時。輸送機の無線が誰かの音声を傍受し、スピーカーに流れてくる。小さく聞こえなかった音量ではあったが、すぐさま彼が調整をしてくれた。聞こえてくるその声は聞き覚えのある声、エヴァンゲリウムの騎士団長エステルの声だった。


「現在我々は北極圏封鎖区域への包囲網を狭め、進めている。聞こえているだろう再生者。包囲が完全になる前に再度返答を貰いたい。マシウス様からいただいた2度目の機会である」



 

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