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オリジン・シード  作者: 草間
コスモ・レコンキスタ~宇宙回帰運動~
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14話 デカい墓所?デカい基地

■惑星ネザリア 北方 封鎖区域 基地


 惑星ネザリアの北方……極点圏内に入るエリアには高い壁があり、そこが境界となっていた。そこからすぐに……収容所のようなものはあったが、そこから数日歩いたところにはこれまた人工物があった。その人工物はすぐ近く、壁面に近づくまで巨大な研究所であることが視覚的にわからない程度に……巨大だった。


「素材が境界の隔壁と同じだな。これは惑星開拓機構のもので間違いない」


「わかるの!?ということは……あの壁も、ここも機械福音教団(エヴァンゲリウム)が作ったわけではない……?収容所は違ったなら、あれは彼女らが作ったのか」


「旦那の言うように後からでしょうね。ここに来るまでヒトッコ・ヒトリ見ませんでしたから。原生生物がここまで多いのも、排除されていないからでしょう」


 何かは知らないが、収容所の時から会話するようになった戦士長。私より先んじて研究所の構造や素材を軽く調べて所感を伝えてくれる。この辺りの、人の住まないだろう地域に仕立てたのは……かつてここを統治していた植民惑星の政府ということになるが。では彼らがここで何をしていたのだろうか?あまり単純に物事を結びつけたくないが、ここで何かをするのもあり統治放棄という虚偽の報告をしたのだろうか。


 数日前からの話になるが、ここに来るまでに助けてもらったデカいアザラシ(体長4mぐらいある)に別れを告げてからも思う……とかくここは原生生物の楽園の如く。人はいない、しかしそこかしこに何かしらいるもので、こうして巨大原生生物の移動ルートに紛れて北上を続けていたのだ。リィン導師曰く原生生物ぐらいなら意識誘導で……こちらのことを気にしなくなる。ゆえにその側であったり下につくことにより衛星からの監視から隠れることが出来るとのことだ。体温も熱源に重なり察知されなくなると。


 とかくそんな楽園……を、作りだしたのは原生生物保護のためではあるまい。エヴァンゲリウムもそう、であったように……ここには何かあるのかもしれない。


「とにかく入りましょう。何があっても我々はシグナルを出す必要があります。このままこの惑星に居続けることは誰にとってもリスクがありますから」


「たしか帝国海軍の艦艇が拾いに来てくれるんだよね?」


「えぇ、その手筈ではありますが。エヴァンゲリウムの手勢や能力を見ると、計画的に物事が進むとは思えません」


「結局いつもの通り、行き当たりばったりということですよ」


 これがいつものことなの?とリィン導師を見れば……そんなことはないとお答えになる。毎度困難なところに行くものだから予定通りに進むことがないだけだと。確かに今もだいぶ窮地ではあるが……艦艇が助けに来たとして、無事に脱出できるのだろうか?そんな疑問も目の前で勝手に開く重々しいゲートの警報音で薄まってしまう。ソニアが手を振りかざしたものだから……超能力であけたのだろうか?


■基地内部



 墓所としか言いようのない……ほぼ無人の基地内部を進んでいくわけだが。どうも見覚えがある構造をしている。雰囲気と言うべきか、それらが何か思い当たったもので戦士長の方を見ると彼もそうだったらしく。小さく頷いて先に進むことを優先するように先導してくれている。


 いくつかの通路、ただただ広い倉庫のようなスペースや電算室のようなコンピュータールーム。機械工作室まであって……基地というより工場併設の研究所というようなもの。まるで悪の組織の秘密工場のようであったが……その先の、ちょうど外周から考えて中央あたりの部屋に人影。たった1人の生存者を見つけたと思ったのだが。


「おやこれは珍しい。誰かと思えば地球人の男性とは。エヴァンゲリウムに連れて来られたのなら、繁殖用の利用価値がないと判断されたか」


 私たちを出迎えたのは……いかにもロボット、というような機械のボディを持つドロイドだった。ボロ布を纏って人間のようなシルエットをしているが、軋むようにぎこちない体がロボットであることを視覚的に見せつけてくる。


「このモデルは開拓機構のアシスタント・ドロイド?なぜここに、あなたの主たちは……いえ、そうでしたね」


「そうだとも、もういないよ。しかし教導院のエルダーに人間、そちらにはトル・ヴィリムの戦士。ずいぶん()()()()()()()な組み合わせだ。エヴァンゲリウムに連れて来られたわけではないのか」


「どっちかというと追われている方?」


「方、ではなく追われているんだ。この惑星から脱出するんだろう」


「追われている!彼らから逃げられているのか!本当に妙な一行だ!まぁ好きにしてくれ。私にできることもなし、ここにエヴァンゲリウムが来るのならば……その時が来たというだけだ」


 えぇ、なんか変なロボットがいるなと見ているとソニアもそう思ったらしく。若干顔が厳しめではあるが……特に深く言及をするつもりがないらしく。むしろリィン導師の方が食って掛かるような勢いの有り様で。


「ここで動かせるゼノ・テックはありますか」


「ないよ、何もない。どれも動かせないし……起こすものではない。ここは墓場だよ、人と機械のね。暴いてはならない墓所……それは教導院のエルダーであるあなたがよく感じられるはずだ。資格のないものが触れていいものじゃないんだ」


「えっここに?!セイバーみたいなのがあるの?」


「このエリアの隔壁、広大で頑丈な隔壁。ここはゼノ・テックの研究所施設だ。ここに来るまでに見たクレーターのいくつか、その痕跡だろう」


「あれってデカいアザラシが作った巣じゃなかったんだ」


「旦那、中心があったり図形性のある円は人工物ですよ」


 戦士長と副長からもうちょっとよく見ろ、と注意を受けている間にもリィン導師は続けている。むしろこれで話を終わらせないという意志を持って、なのだろうが。


「資格ならありますよ、彼がそうです。彼は再生者(リ・マスター)宇宙超常存在(ザ・マスター)の後継者。扱う資格があります」


「ほぉそれは。それで再生者様だか……まぁ、確かにここに送られてくる地球人の男らしくはないと見れたが。どうするんだ、ここにあるのを使って何をしたい?」


「何って……救難信号を送って、引き上げてもらうぐらい?」


「はは!そうか、逃げるために使うか。ならそこの研究基地の通信アレイを使えばいい。古いものだが銀河連邦のものだ、十分届くだろう」


「そういうものではなく。使えば必ずエヴァンゲリウムとの戦闘になります。ただ通信するだけでは包囲されます。いえもうここに来ているのは察している、時間の問題なのです」


「だろうね、それで?使えるのが欲しいと」


  どうもこのロボット?はリィン導師の意図……ゼノ・テックを使わせての戦いに拒否反応を示している。なんでそこまで……と思うが、ソニアを見てもリィン導師の側のような顔だし。戦士長と副長は私を見ているだけ。もっと注意しろ……注意深く考えろ、となるならまぁ。


 考えてみると確かに外にあった巨大アザラシの巣……クレーターを何個も作るようなものが眠っていると聞けば触りたくない。ちょっと触りたくない、どころかあんまり触りたくないな……ともなる。


 それを求めて、それを用いて何をしていたかはわからないが……あんまりいいことじゃなさそうだ。


「いや、無理に起こすつもりはなかったんだ。確かに家に帰るのに、超常(ザ・マスター)の力はいらないよな。ごめんね」


「そうか、君はそう言うのか。そうだな……なら、帰るまでの間は休んでいくといい。通信アレイは好きな時に使うといいが、エルダーの話ぶりからするとあまり時間がないようだ。急ぐことをお薦めするよ」


 リィン導師は何か言いたげ。ソニアに至ってはもう何か言いたいようだったが……私が首を横に振ると、なんとか口を閉ざしてくれた。まぁなんか……窮地というのはわかっているんだが。


「とにかくみんなで艦船にピックアップしてもらうまで、時間を稼がないといけないのかぁ」


「それどころじゃないかもしれません。軌道上で落とされる可能性もありますが……いえ、あれが完成していれば……むむ」


「何、我々で返り討ちにすればいいんですよ!あれぐらいの数、なんともありませんし。100倍来ても大丈夫ですよ!」


「100倍は堪えますね……」


 さてどうしたものか、としたリィン導師は戦士長と副長を呼び……どうやらゼノ・テック以外のものを探すように決めたようだ。何かしら対抗手段がないと困るが、ないよりはマシ程度でも集めたいと。ソニアもゼノ・テック判定機として連れて行ってしまった。


 なので私はポリとぶらぶらすることになったわけだが、私も言った手前があるので何かしら見つけたいものだ。パワー・ローダーとかアーマーとか銃とか何かあればと探していたのだが……ポリが何か見つけたのか、吠えたもので向かってみれば。


「確かに、これは人と機械の墓所だ」


 奥まって光もうすらまばらに点灯している……静謐な空間。そこには土や砕かれた瓦礫の墓が並び……また、機械金属の箱が共にもあり。宗教的な創作物、金属の造花等が備えられていた。色々探している最中ではあったが、ここは墓所。私はポリと共に腰を下ろして……手を合わせて冥福を祈る。あの世や冥府があるかどうかはわからないが、ザ・マスターのいた世界だしあるのだろう。


「リ・マスターはそう祈るのかい」


「どうだろう、私の慣習みたいなものだろうけど。埋葬されていようが……なかろうが、死者にはこうするかな」


 墓守?先ほどのロボットの彼の声が背後から聞こえてきたが……なんともハッキリしない答えになったもので、顔を合わせにくい。なものでそれっぽく手を合わせたままでいたが、彼からは言葉が続いていった。


「おかしなものだ。それを決めるのは君だろうに」


 私たちの隣に腰を下ろし……ポリを撫でる声色は先ほどよりも棘がなかった。そういえば、となるがプリムのような人間っぽいロボット……アンドロイドを見るのはこれが初めてなんじゃないだろうか。


「この惑星の歴史は長いものじゃない。そういう惑星は文字通り星の数ほどある」





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