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オリジン・シード  作者: 草間
コスモ・レコンキスタ~宇宙回帰運動~
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12話 デカいエルダー、ハイ・エルダー


■惑星ネザリア 北方 封鎖区域 境界 隔壁を超えた先で


 宇宙に流れる宇宙超常存在ザ・マスターが操っていたという聖なるエネルギー(ホーリー・パワー)。それが張り巡らされているこの惑星には……それが意図的に使われていない場所がある。それはちょっとしたインフラの効率化とかそういうものではなく、ぽっかり空いているほどのもの。


 リィン導師とソニアから私はエネルギーの見方を急場で教わったところ、そういうものが見えた。惑星に貼り巡るインフラ網の一部がカットされたような不自然さ。とかくなんだろう、なんだか怪しいなと訴えればそこに向かうことになり。ギルドの戦士長と、その部下ら生き残りと共に原生生物を乗り継いで北方に向かうことになった。


「いやぁこういう使い方もあるんだな、ショック・セイバーは」


「私が言うのもですが、あまりそういう使い方をするのはどうかと」


「いや便利ですよこれ、チェーンを結んで飛ばして引っかけるのにちょうどいいんですよ。便利だなぁ~プリムに感謝しないと」


 細目をさらに歪めて渋い顔のリィン導師であったが、道具の使い方の話なのでそう変な話ではないだろうに。


 そう、北方にたどり着いた我々の前にはデカい壁があった。そこにはエネルギーは流れていなかったが……もはや断崖絶壁。コンクリートのように無機物な、上が見えないような隔壁が。これほどのものなら通る穴など、通路などないだろうということでどうしたもんかとリィン導師らは頭を捻っていたがなんてことはない。


 道すがら見つけた封鎖用のチェーンをショック・セイバーに結んで、投げて飛ばして……引っ掛かったところで止まってもらい。ソニアと登って安全を確認した後にみんなで登って……また反対側に降りたのだ。リィン導師はあんまりいい顔をしてなかったが、みんな助かった……だろう?


 と思ってたのだが、ギルドの戦士長以外はみんな何か怯えた目で見てくるものでちょっと困る。ダメだったのかなこれは。


「しかしリィン、とかくここから先ですよ。原生生物は北方(ここ)にいるかもわからない上に、何が待ち構えているか」


「それもありますがまず休める場所を探さねばなりません。この地が一体どういう目的なのか……は、まぁさておいてもですが。よろしいですね」


 あぁ、ともえぇとも言わず。はいよと答えたのは戦士長の部下でも……こちらに近い位置にいるヒト。副長と呼ばれていたが同じゴリラっぽい種族の方の割には細身だ。機械福音教団(エヴァンゲリウム)の騎士たちによって身ぐるみ剝がされているせいか、より痩せこけてみえる。


 リィン導師、ソニア……そしてポリと私が先導している道中であったがそこに副長が加わっているのだ。副長は先頭方面、後方の最後尾は戦士長。副長曰く生き残りの部下がバカな真似をしないようにと伝えてきている。その副長からは実のところ私と顔を合わせたくないからだ、と聞いているのでなんだかなぁでもあるのだが。副長は結構話が好きなほうで、色々気安く話しかけてくれるのは道中気まずさを和らげてくれた。


「しかしまぁザ・マスターのパワーというのは便利なもんですねぇ宇宙を支配していたわけだ」


「ここまでならそりゃそうだろうなぁ……まさか目を瞑ったままセイバーでお手玉(ジャグリング)出来るとは思わなかったし、やってみるもんだよ」


「えぇ……あまりやらないほうがいいですよ、部下みんな怯えてますぜ」


「その通り。使うには良いとしてもですが乱用や気軽に振り回してはいけません。ソニアも聞いていますか?全く最近のあなたと来たら剣が重くなったと思ったら遅すぎます」


 ここで私に繋げて説教するのですか、というソニアの訴えの隣でジャグリングして見せていたら……これまたリィン導師から私にもお叱りが飛んできた。勉強中に手遊びしない、のようなピシャリとした言い方で……投げて回していたセイバーをスッと宙で取られて没収されてしまったのだ。


「ハイ・エルダーはそのように増長して滅んだのです。ザ・マスターの後継者であり再生者リ・マスターであるアナタが軽々しく扱っていいわけがありますか」


「ハイ・エルダー!?デリガットがそうだって言ってたアレが!?」


「デリガットがハイ・エルダーだと!?そういうことか、あの〇〇〇〇(翻訳できなかった辺境スラング)!」


 ハイ・エルダー。その単語に驚いたのは私だけではなく戦士長もだった。どういうことかと思ったのもつかの間。副長がまず何か説明してくれそうなところをリィン導師が制した。


「ハイ・エルダーとはザ・マスターからホーリー・パワーを扱うことを許された者であり代行者。ザ・マスターが去った後の宇宙で争ったことで資格を徐々に失い、エルダーとなり……銀河に散っていったはずでしたが」


「デリガットはそれを隠し生きていたのか。それとも初めから旦那を狙っていたのか。とかくギルドを利用して自分が旦那の手で復権するのを狙っていたんでしょう。いいように使われたんですよ、ギルドも俺たちも」


 その旦那って何?ってのはもう突っ込んでも無駄な雰囲気だったのでやめたが……さておいて。


 スペース・エルフでありエルダーとされるリィン導師から語られる銀河神話サーガすげぇって聞いてたら副長からも語られたデリガットの話。それが真実かはさておくが……私が捕まった時の語り口。あれがそのままとなると、繋がってくる。デリガットはエルダーと呼ばれる者で……私を利用してハイ・エルダーになりこの銀河宇宙で再びと。再び何を?というのはわからないが……なんだかよくわからないが猛烈に悪い予感がしてくる!


「そうなると私は承認とか認可の再発行が出来るとかそういう……?」


「そうとも言えますが、そうとも言えませんね。まぁあまり考えないよう、巨大すぎる力の許可なんてそうポンポンするものではありませんから」


「それもそうだ……おっポリ、見つけたの?早いなぁヨシヨ……ヨシ?」


 最先頭であるポリが何か見つけた、集落か人の気配かと思いよくやったと撫でようとしたが……どうも雰囲気が違う。だいぶ剣呑な唸り声もあるものでなんぞやと思ったが……それはソニアとリィン導師を戦闘に、進んだ先でよくわかった。ポリが何を訴えていたか、何を見つけたか。


■惑星ネザリア 北方 封鎖区域 境界最近燐 収容所


「いや、これは……これは、いやいや……これは」


「いやはや予想はついていましたが、これはなんとも」


「ナンブ様、あまり見ない方が。こちらへ」


「いや、いやでもこれは!」


 なんだ?これはと訴えると濁していたリィン導師やソニアと違い。副長や戦士長……あまつさえ部下の連中ですら平然としている。何を当然なものを、という。こうなることなどわかっているもので……どうしてこうなるかもわかっている顔だった。


 いや、しかしこれは……こんな、歴史の再現ドラマとか……毎年夏ぐらいに特集されている衛星放送の……あぁいうのでしか見たことがないような場所と状況を、何を。あれと違うとしたら……収容されていただろう人数らしき痕跡がまばらなことだ。


「あの連中がここに来た、というのならこうするのも当然だろう。あの言い分からしたらやる連中だ。お前も想像できるだろう、弱き者を助けるということは強き者を挫くことだ」


 だからといって挫き方というものはあるのではないか?それがこれなのか?


「大方ここに入植していたニンゲン連中と同じ待遇にしてやっただけだ」


「植民政府の連中と企業の連中をな、ただそれだけだ。何をうろたえている」


 ギルドの戦士たちが、副長の指示で各々適当な小屋を見つけて中に入り休憩を取り始めるのを見ながら思う。リィン導師とソニアの声も、こちらに寄って掴まってくるポリの体温も感じられない。


 この人達が何をしたかは知らない……だが、したことを辿ることができる。マシウスやエステルらが行ったことから。つまりこのようなことが、あの少女や老婆も受けていたもの。それを強いヤツにやり返しただけ。だからこうなるのも当然で、こうなるような連中なのだと戦士長は語っているのだ。


 これが……これが今の宇宙なのか?こんな時代に私は目覚めてしまったのか?


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