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オリジン・シード  作者: 草間
コスモ・レコンキスタ~宇宙回帰運動~
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8話 デカい連中を集めるデカくない刑場

■夜 森林区域 民家 の窓


「いやぁポリの手際がいい。流石軍用犬」


 家の住人らである老婆と少女らが寝静まった夜。民家の窓を開けると……既にポリが私の靴や荷物を抱えて待機していた。それどころか鼻で窓を上開いて抑えてくれている。私が静かにこの家を抜け出すにあたり、先回りして極力音を殺してくれているようだった。


 そういうわけで私はポリと共に民家を抜け出す……彼女らの元から離れることになった。もちろん私の独断。ポリは同行してくれるだけ、というか先回りしていたのでまぁなんか察していたよう。私が靴を履いて準備が終わると、背に乗るように促し……私はポリにしがみついて移動していく。報道で得た情報、老婆らから聞いた情報を統合か精査して私の行きたい場所を既に知っているようだった。そして距離的に私が歩いていくには遠く……遅いことも。


 「面倒をかける、でもなんだか、こう……行かないといけない気がするんだ」


 ギルドの連中の生き残りが実刑に処される。この惑星国家の法の面から見てれば正当な手続きを経て……なのかもしれないが。何か言い様のない不安や、胸のざわつきを感じてしまったのだ。それでいてもたってもいられず、彼女らが寝静まる頃合いを見て抜け出そうと決めた。


 はぐれてしまったソニアやリィン導師がギルドとして捕まったかもしれない、という悪い予感ではない。もちろん報道の情報では顔や名前も出ていないが。それでもそれを聞いて……何か言い現わしにくい戸惑いが確かにあった。それは、落下から生き延びて捕縛されてから数日も立たないうちに判決が出てしまったスピーディーさに対してかもしれない。


 ポリがある程度のところで止まり、私が捕まっている首元を揺らし……左手、スマートウォッチのあたりを擦って操作を求める。何をしろとわからなかったが、適当に探るとナビが入っているじゃないか!こんな機能の説明はない……というかスマートウォッチのナビ機能ってあらかじめ経路を入れておくものじゃないのか?自動的に作成されて更新されているということなのだろうか……便利だが。ポリの方が知ってるのはどういうことだろうか?プリムあたりからレクチャーがあったと思っておこう。


 そうしてナビに従ってポリが駆け抜けた先は、この森林区域と別の区域の中間点らしいことが視覚的に地理情報として入ってくる。そのちょうど越えそうなあたり、自然と自然の境界線が近い植生。人工的に作られた中間点に見えるが、そのように作っているのか……人目のつかないあたりに……その、刑場が作られていた。


 作られていた、というのはデンと施設として存在するというわけではなく。まるで中世や江戸時代の処刑場の如く、開けた場所を利用して……人知れず、刑を実行しようというような体裁の場所。木の柵で囲われた場所に、ギルドの生き残りが両手両足を拘束されて……そのうち何名か地に転がされている。


 また、周囲を固めて……かつ内部で警備しているのはあの機械騎士たちだ。おそらく彼女らが刑を執り行うのだろうが。少数の警戒であることから察せられるのは……手負いで拘束されているギルドの連中を甘く見ているからではなさそうだ。私があった時よりもシルエットが大きく見える。武装しているのか?


「遠目で見てもソニアやリィン導師がいるようには見えないが……もっと近くによってみよう。警戒は頼める?」


 軍用犬であるポリの嗅覚は素晴らしい、ここから見下ろせる処刑場に少数しかいない現状。もしかしたら見下ろせるところで他の生き残りをおびき寄せる罠で……この森林区域のそこかしこに隠れて監視している騎士がいるかもしれない。木の上に登って遠見している者とか。なのでこれから向かう最中で先導してもらって警戒してもらいたかったのだが……ポリの様子がおかしい。ハッ!とかフッ!とか返事が来ないのだ。


「もしかして……わからないのか、気配が。臭い……臭い?臭いがない?」


 これは、まさかの盲点か?機械騎士や機械天使の使徒には臭いがないのだろうか。確かに彼女らとは私やポリ、民家にいる老婆と少女のような生活の気配がない。ポリとか、人間である老婆らといたものだからすっかり意識することがなかった!例えるなら……固有の無機物臭はあるだろうが、態々気にするほどのものでもないようなもの。PCやスマホ、家電の臭いって気になりますか?と……いや彼女らに失礼ではあるが。


 だが犬はプラスチックや無機物も嗅ぎ分けられる。しかもポリは軍用犬として訓練と……生産されているはずだ。なら嗅ぎ分けられるはずであるのに、できない。つまりそれらを消すテクノロジーや、彼女ら自身が持つ隠蔽能力や技術で消されていると考えて言い。


 これは参った、どうしたものか。強行的に向かってみるか?それともセイバーを拾ったように超能力っぽく探ってみれば案外見えてくるかもしれない……そう思って手をかざした時。


「こちらに来るとは考えていましたが、何をされているので」


「えっいや……体操?八極拳っていう」


「夜中にやるものか?」


 違いますね。


 ぬっと出てきたのはあの機械の女性騎士。私が来ることがわかっていたかのように……どこから見るかもわかっていたのか。ちょうど我々の横合いから……木々の影から出てきたのだ。やっぱり森林地帯で警備してたじゃないか。変なのが引っ掛かってしまったようで申し訳ないが。


「マシウス様は再生者様が来ることを予期していた。必ず来ると……このまま向かいましょう、私が案内します」


「なっ……えぇ、どうして」


「あなたが再生者だからです。あなたが知ったのならば、見なければならないものと考えている……とマシウス様は」


 一体なんのことだろうか。マシウスは……何を言っている?そんなことを考えながら、ポリではなく……私が、騎士についていく形で歩いていく。先に向かう先は処刑場、なぜハイテックを敷いている彼女らがこのような……中世的な執行方法を用いるのか。それらの問いと答えは得られるのだろうか。そしてソニアとリィン導師の安否は?


「そ、そんな……なんで、ここに、いる……」


 そこにソニアやリィン導師、教導院の騎士どころか地球人類に近い人々はいなかった。それでも知っている顔がいた。知っている顔らがそこで……拘束され、特に一番警戒されているように騎士たちの槍で羽交い絞めにされているのだ。


「ギルドの戦士!」


 海賊ギルドの戦士長、最初に目覚めた遺跡でアンジェラとソニアと戦い……飛ばされて。宇宙監獄要塞ではヴォイド将軍(になっていた私)に退けられたと思われる、スペース・ゴリラみたいな……ギルドの戦士の長が、そこにいたのだ!


「なんであなたが!!!」


 

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