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オリジン・シード  作者: 草間
コスモ・レコンキスタ~宇宙回帰運動~
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4話 デカい騎士に囲まれているんだが?

いや~今日はSWの日ですよ、めでたいですね(?)

■ 惑星ネザリア 西方領域 森林管理区 民家


「お前の主人が目を覚ましたようだな。わかってもらえたか?そうか、ならばいい」


 腹部にのしかかる重さがすっと軽くなってくれたもので、息を吸うのと同じくして目が覚めた。苦しさは私の腹の上を……大型の軍用犬であるポリが占有していたためであるが。監獄要塞でもアレキサンドリアでもこういう寝方か甘え方はしなかったもので、何事かと思って視線を動かすと……知らない顔が私をのぞき込んでいた。


 知らない顔どころではない。知らない体……というと誤解があるが、ぬっとした背丈の白い人。おそらく女性であることは()()()()()()()()()()からわかる。腹部が細くも背は高く……視線だけで見上げると天井の付近にまで届きそうな頭頂部である上に、真っ白く色素なんてものがないような髪の毛が床にまで伸びている。あと鎧を着用している…のだが最低限の軽装と言う具合。女騎士といより女従士ぐらいに見えるが、従士と思えないのはその佇まいから出てくる空気からか。


 私を見下ろしていた彼女の顔が下がれば見えてくる天井、そのデザインは21世紀のペンションとかコテージ、ログハウスのような木材で構成されているものだし彼女を目で確認するときに見えた調度品もそうしたスキー観光地のようなものだった。暖炉に柱時計、テレビはあるが。テレビ?34世紀に……?薄型の液晶テレビみたいなのがあるが。


「ここは……どこで?」


「森林管理区域の管理者家族の家だ。アナタは先日の宇宙船舶事故で漂着した、というのが公式の調査内容となっている。そこまでは大丈夫か?」


「たぶん?大丈夫?です……いや、大丈夫だったんですか?」


「大丈夫な姿で聞かれても困る。状況を説明させてもらうが、構わないな」


  何を言っているのか、何なんのだろうかという飽きれた声のトーンが聞こえてきたもので大変申し訳なく思いながらお願いしますと答えるしかなかったわけだが。


 彼女、女性騎士らしき人?の話で思い出してきた。たしか機械福音教団(エヴァンゲリウム)と呼ばれる存在が占領している惑星に向けて難民船を利用して潜入しようという時。ギルドの

船による攻撃を受けて……船体がねじきれて墜落した!


「そうだ、他の人は無事なんですか!?あの船にはおばあさんや女の子が」


「無事だ、アナタ以外の全員が無事だ。アナタがいう老婆と子供もアナタのことを心配していた」


 それは何よりだ。あの人らが無事なら、いやあの船に乗っていた人や他の船……ソニアやリィンも無事のはずだ。なんだかハチャメチャなことになってしまったが、こうなってしまっても……みんな無事なら後からどうとでも出来る可能性が生まれてくる。


 と、安堵の一瞬。ポリは無茶苦茶不機嫌な唸り声を上げて私の体にまで昇り、顔をこちらの顎あたりに押し付けてきた。すごいわかる、何を言いたいか。いや私もこうなるとは思っていなかったのだから許してほしい。とにかくなんか、こう……墜落する前はなんとかなるとは思っていたのだからさ!


「現在は本来この惑星到着時に受けてもらう予定だった検疫を行っている。隔離措置を昨晩から行っているが、ここでは出来ないこともあってな。都市への移送を準備しているが……同行をお願いできるか、()()()()()()よ」


「えぇそれはもちろん。しかしどーりで……」


 ポリの頭を撫でて宥めすかし……許して、と。こんなことになった判断を謝りながら首だけで回りを見ると。今更ではあるのだが、この家の内部は透明なカーテンで部屋は囲われていた。まるでパンデミック下の隔離室ではある……しかし医療やサスペンスドラマで見たようなものと違うのは、ところどころ見える機材。

 

 この時代……34世紀の時代に惑星アレクサンドリアや艦艇の内部で見るようなハイテックなものより、ちょっとデザインが洗練されている感があった。無駄なものを省いている、とは言わないが必要な情報を必要な相手が受け取れればいい、ような無駄のなさが見える。


 そんなハイテック簡易隔離室が展開されている、ペンションめいた家というチグハグな場所。そこにうすらデカい女性騎士がいる空間。視線をゆっくり動かすと、他の女性騎士が誰かを連れ立ってこちらを見ていた。軽装騎士の方々とで比べて見ると普通の人間、のようだか……それでも大きい。私と同じぐらいの背丈がありそうだが。それも若い方の子で、隣にいる腰の曲がった老婆?は190ありそうだが……


「我々が来るまで、こちらで保護していたのが彼女らだ。出る前に挨拶ぐらいはしていくか?もっとも検疫結果がまだの今、対面は難しいが」


「お礼を伝えてくれれば、足りないぐらいですが」


 ポリを撫でていた軽く手を振ると、遠目にでもわかるぐらい()()と明るくなった顔で若い方の女性が手を振り返してくれた。デカい老婆は老婆で小さく会釈してくれたわけだが。とにかく彼女らのお陰で今無事ベッドで横に慣れているので感謝しかない。墜落した後で外に放り出されてそのまま?だったら獣の餌になっていたかもしれないし。この惑星にどんな原生生物がいるのかはわからないが…


「表面の裂傷や打撲痕はひどいが、内部にダメージがないとは診断が出ている。歩けるなら自立しての移動を頼みたいが」


 大丈夫です、歩けますとポリにどいてもらってからベッドから立ち上がる。ふらつくこともなく立てたものだから女性騎士の人を見て頷き……こちらを見ていた家主らへ頭を下げた。すると家の外からだろう、他の女性騎士たちが扉を開けて入り……またこちらへ出てくるようにと促してくる。私はそれに導かれるままにポリと共に扉をくぐったのだが……


「あの、だいぶ厳重ですが……何か…?」


「宇宙犯罪シンジケートのものとされる船が墜落した上に生存者の有無が不明。現在も捜索と警戒が発令中だ……山火事は既に鎮火してはいるが、諸々の状況が重なっている。ご理解していただきたい」


 なるほどな、それはそうだ。私とポリはなんとか無事であるし難民船に乗ってた民間人はみんな無事。しかしそれと同じくして遭遇したギルドの船は最低でも2隻は見たはずだ。その船は堕ちたが乗っていた戦闘員……構成員は不明。宇宙の極悪犯罪シンジケートであるギルドがこの惑星に潜伏し始めているとしたら……こうもすごい警戒態勢になるのかもしれない。いや潜伏しようとしていた私が言うようなことではないのだろうが。


 さておいて、私の移送チームというかずらっと並んでいた騎士っぽい人らは機械で出来ているようなソリッドな馬に乗っているし、護衛なのかわからないが四本足の装甲兵器……多脚戦車みたいなのが数台いるし、私が載せられるだろう移送用の乗り物は……ホバートラックのような、なんか浮いている装甲車両。


 極めつけは上に飛んでいるもの。ヘリコプターとかではなく、巨大な翼を広げた怪鳥のようなものが見えた。それも複数……編隊を組んで飛んでいるが、こちらから姿を目視できるような大きさなのだ。近くで飛んでいるわけではない、だがしっかりとシルエットが見える……まるで低空飛行している爆撃機のようだ。


 しかもどれも……色が白い!よく見れば騎士の人らもみんな白い!塗装の手間を省いているのか?それとも染料が白い肌に合わない宇宙種族なのだろうか。


「それに地球帝国領から出ることがないと言われる地球人類の、男性であるアナタの移送です。これくらいは公務の範疇で経験されていることでは」


「えぇ、えぇ……そうではありますが。白いものはあまり見ませんもので」


「確かに我々も、車両も馬も白いですが。白はお嫌いで」


「いえ好きではありますが、こうも並ぶと驚きますねと」


「よくわかりませんな、地球人の感性は。さぁ乗ってください。留まっているとそれだけ警戒リスクが膨れ上がります」


 公務の範疇ってなんですか、地球帝国の男性は一体どういう扱いを受けているのか?どういう生活をしているのか。そういえば自分以外の男性の生活スタイルを全く知らないなと……今更ながらに思うわけだが。それを聞ける相手は今いるわけでもなし、 気が付けば既に遅し後の祭りというわけでもない。


 なにだかこう……車列の物々しさが、映画で言えば麻薬王が護送されているような雰囲気なもので尻込みしてしまう。しかもここは麻薬王が呼び込んだ犯罪者が雪崩れ込んでくる都市部とか、ゲリラがそこかしこに潜んでいる砂漠や密林地帯でもない。穏やかな森林地帯、ちょっと周囲でトラブルがあったぐらいの……いや飛行機事故が複数起きた現場と考えれば、そうでもないのか?


 ぐだぐだ考えてしまったが、とにかく乗らないと話にならない。なので促されるままに私が乗ろうとすると、その前を行くようにポリが飛び乗り。私もそれに続いて白いホバートラックらしき装甲車両に乗り込んだ。これが医療用の車両、救急車なら納得するんだが……車列全てが白いと判断がつかない。何の目的の車両に乗せられているんだ私は?




 今思えば始まりはちょっと危なかったが、無事に惑星に潜入できた……と思っていたのは自分だけだったようで。この時からもう本当の意味での試練や、戦いが始まっていたのだ。


 気が付いていないのは、私だけ。ポリはずっと厳しい顔をしていたのに。

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