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オリジン・シード  作者: 草間
コスモ・レコンキスタ~宇宙回帰運動~
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1話 デカい話だったので、始めるためにも

宇宙のエルフはよいエルフ

■ 惑星アレクサンドリア 教導院 寺院 中庭


 私とリィン導師が出会ってから3日目ぐらいたった。併合させている海賊軍こと海兵隊関係の事務処理もひと段落ついたものであるからして、ショック・セイバーの訓練をも兼ねてリィン導師に銀河連邦史を習いに来ているわけだが。今日も今日とて私は地面に転がされて、休憩としてリィン導師から座学の話を聞いているのだが……今は私を取り巻く現状についての話を聞いていた。


「えぇ……?そういうこと?だったの?」


「理解が早くて助かりますね。説明が少ないこと、何かおかしいとは思っていなかったのですか?」


「それはまぁ、そうなんですが。そこはみんなのほうが事情がわかっているでしょうから」


 初日よりも慣れてきたもので、ようやく口頭で受け答えが出来る程度にはなったのだが……私を真上から見下ろす困った顔のリィン導師から語られるお話は納得いくものばかりだった。


 アンジェラやネロ、クラウディア等彼女らからとにかく時間がないからやって!と言われて半端にわかったつもりのもまま……何が何だかわからないまま駆け足で来たことはどういうことかが、だ。


「正直疑問ではあったんですよ。ギルドの連中と戦うなら軍隊はそこまで必要なわけではないでしょうし、みんな滅茶苦茶つよいし。宇宙怪獣もアンジェラがいるしそこまで困るものでもないようでしたし……あぁ、あの時点ではですね」


「宇宙怪獣も艦隊を組み始めている、再び組むようになっている。状況が変わっているのは事実ね。数さえいなければ私一人で十分よ」


「その件もあって帝国の軍関係者間でも危機感を強くなっています。現状に不満がある、予期される今後の状況も……と」


 アンジェラがいるから宇宙怪獣怖くない、という話ではあったがそれでも彼女曰く一対一の話でしかなく。あんなスペース・ビッグ・モンスターが徒党を組んで襲ってくるのなら誰だって厳しいだろうというのが今の彼女らが持った認識らしい。


 ここへ一緒に通ってくれているアンジェラとクラウディアが、汗に濡れた茶と翠の髪をタオルで拭いながら私に続いて休憩に入っている。飾り気のないスポーツウェアに湿気と熱が入り女性的な体の凹凸が分かり易くなっているのだが、私はそれを見て()()()()()()()気力体力がない。


 体の全身あらゆる場所がリィン導師の袋竹刀でひっ叩かれて、鞭を打たれ続けたようなミミズばれとアザだらけなもので……休憩している間も痛みがひどいからだ。


「基本的方針として惑星開拓機構を使い拡大路線を取る銀河連邦ではありますが、拡大すればするほど地球帝国海軍や海兵隊の負担が増えていく。そこへ機械福音教団(エヴァンゲリウム)による辺境惑星への攻撃等の新たなる敵対勢力の出現、最近は宇宙怪獣の艦隊まで出てきたものですから予想される状況に対して現在の人員規模では対処できなくなってしまったのです」


「それでネロは……さておいて帝国や議会は海兵隊から出た海賊軍を再度招集したかったんだ」


「兵隊が足りないから在野に出てしまった戦力を集めたかった、わかりやすく言えばそうなるわ」


 アンジェラはクラウディアが寄越した飲み物のボトルをガブのみしながら、私の腹めがけてにパウチのスポーツドリンクを投げて寄越す。お腹で受け取った私は適当に口をつけながら……先ほどまで説明されていたリィン導師の話を思い出す。


 銀河連邦統合軍。今まで各惑星国家の自治自衛軍隊や地球帝国にアウトソーシングしていた軍隊とは別に創設される巨大な枠組みの宇宙軍隊。一国家や勢力の思惑ではなく宇宙の危機により創設されることになった軍隊だという。


 あまりに話が大きすぎて何を大げさな、と口をついてしまったがそれに対する返答が袋竹刀での鞭打ちとお説教。


 よくよく考えればそうした大きな枠組みである銀河連邦を切り崩しにかかっているように見れる機械福音教団という組織、再度?軍隊化している宇宙怪獣等未曽有の存在が出てきているのが今。


 一応の平和な時代が長く続いた結果、組織の図体に対して小規模な軍事行動しかとれない正規の軍隊構成では対応しきれないという全うな理由だった。そのため別枠で同等以上のものを作り動員する。


 再生者様(わたし)が銀河連邦人類の危機であると特例を出したというお題目で設立するのだという。


 地球帝国は帝国で人材の使い方の慣習が即座に変更することが出来ないもので、新規動員よりもそれから外れたり出てしまった人材を回収して運用させるほうがサステナブルであるという意図があったのだろう。


 まず元をただしてほしいと思うが……長く続いていただろう慣習、そうすぐに正せるようなものではないのが社会的な制度というものだ。まぁ私がなんか、いるだけで当面なんとかなるのならいいのだが。内部分裂で内戦とかクーデーターを経てというのだけは避けたい。


「それで、私は鍛えて、機械福音教団?が占領している惑星に直接見に行くのだろうけど本当にいいの?」


「えぇ、問題ないかと。まず見なければ脅威が脅威とわかりません。どう脅威であるかをあなたが知っていなければならないのです。それとも私とリィン導師に犬だけが護衛では不満でしょうか」


 空いている時間でリィン導師とソニアがセイバーで訓練しているが、ショックセイバーと違って致死もある光る剣で打ち合って大丈夫なのかな、という心配を他所に適当なところで切り上げてこちらへ問うてくる。若干不満げな様子だが……もしかして犬が苦手なんだろうか?倒れている私の頭の下に潜り込んできて、枕になってるポリが苦手とか?


「いやそういうわけじゃなくて、なんかいろんなところに行ってばっかりで腰を据えて仕事している時間が短くて……」


 再生者としての仕事。惑星再生に関してのはまだ議会で審議が続いているらしい上に、姿を現して何かするというのも宣誓やたまに出て考えられた文章を読むぐらいなのだ。そのどちらも厚い化粧と装飾品で顔を隠してローブやらなにやら十二一重みたいな重い衣類をつけてのもの。これでは偉い人の仕事って道化というのも無理はないんだなぁと雑に思ってしまうわけだが、それらをやらずに外出ていいと言われても本当にいいのかと聞いてみたくもなるのだ。大事な仕事なんだろう、と。


「それはそうですよ、銀河連邦加盟国家の多くは官僚制と社会制度で運営されていますから。存在していることが立証されていれば、ある程度仕事をしている人が表で見えなくても進んでいきます」


「大体もうナンブ様が承認するような案件や相談するべき要件は議員や要職に外交関係者で話が回っているところですから……」


「み、身も蓋もない!い、いないくて」


「いいわけはないの。予想される事態と今後ではまだまだ出番は多いわよ」


 そりゃそうなんだが、顔を見せなくても仕事をしている偉い人はいくらでもいただろう。しなくても独裁でなければ三権の処理は分担されているようなものが社会運営であるから私一人ちょっと外出てくるぐらい大丈夫でしょ、というようなものであるからして……もういいんじゃないか私いなくともとつい言葉が出掛かったらアンジェラからぴしゃりとお叱りをいただいてしまう。


 そりゃそうだ。要所要所でいてもらわないと困るのだろう、ぐらい大きい話をしているんだから。その中でも重要なところを実際に見て判断してほしいというのが彼女らの教育方針といっていいはずだ。


 私もその行動主義的な方針に対しての雑感をうまい言葉の当てはめができなかった。しかし彼女らが求めているような雰囲気から察するに、何かを決めるにあたり私の言葉や意思に熱がなければならないと具合ではないのだろうか。彼女らが抱えている問題意識や焦燥感や危機感と同じ程度か、そこまでいかずとも近い熱量を持って共にあってほしいというような願い。私はそれを内に宿すために向かわされるのだろう。革命でもするつもりなのか?


 それはそうとして方々に放り込まれて大丈夫なのか?今度は辺境というし、銀河連邦の法律も通用しないところではないんじゃないか?私ただの人間なんですが?


「ですからこうして鍛えているんですよ。難民船に潜り込んでいくわけですが、入国するまで私たちとは離れなければいけません。さぁ立って」


「コツは掴んできたんだけど、どうしても体がついていかない時があるんだよなぁ」


 ショック・セイバーはセイバーのように殺傷力のある光る剣ではない。衝撃を与える非致死性のもの。では剣ではなく棒術のように考えればいいのか?と思うに至り体を動かしてリィン導師に受けてもらってたところで掴めてきたのだが、やはり付け焼刃である手触りが否めない。


 フランスのサバットとラ・カンやフィリピンのエスクリマとカリ……ポルトガルの伝統武術ジョゴ・ドゥ・パウのように、護身術に用いる棒状の打撃武器として考えれば……とショック・セイバー振るってからは意識が慣れてきた。


 しかしこれらは護身術。危機的状況に陥った時の術のため速度を重視し、棒で防御も行うし足技を使ったりする総合格闘術なもので訓練不足の私では考えている時間が多く反応が遅れてしまう。その遅れたところを戒めるようにリィン導師の袋竹刀が唸るのだ。


「さぁ出発まで時間がありません、もっと速度を上げて体を慣らしていきますよ!」


「ひぃぃ!!!」


 そうして結局夕食に入るまでしこたま打たれ、アザを増やすばかりだった。完璧には程遠い具合で。


 辺境惑星出発まであと2日……リィン導師の説明よれば作戦は簡単。私はただボロ布を纏って、犬を伴い難民船に紛れて潜入する。敵性勢力に対して簡単な視察と偵察の始まりのはずだった。よくよく考えれば帰りの便とかの話がまったくないおかしい事前説明だったんだが、それに気づくことも出来なかったのは寝る時は痛みに耐えながら寝る日々だったもので……



動画サイトで海外の伝統料理とか見るのが好きで武術もその一環なんですが…

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