プロローグ3 むかしむかし、はるか遠い未来で
これは元々そういう話なんですよ、でこういうサブタイトルです…
ソニアの精神年齢は一番若いです。14ぐらい?
†教導院騎士ソニア 自筆回顧録~ナイトサーガ第一章~†
■ 惑星アレクサンドリア 教導院 寺院 中庭
銀河連邦に所属する惑星国家には教導院の寺院が置かれているものだ。この惑星アレクサンドリアも同じく。私はわが主であり再生者であるナンブ様がこの宇宙で再びお目覚めになったところで派遣されたものではありますが、この機会をもって正式に常任となりました。
寺院がおいてある惑星国家は……文化が違えど造りは同じもので、勝手知ったると生活が出来る場所であるのだ。そうした役割と機能は私がナンブ様からお預かりしているタブレット端末で読める電子書籍、そこから読み取れる21世紀の宗教施設ともそう変わらないはずでして。
現に今ここで横になっているナンブ様も、特に違和感なく寺院の外観から内観まで受け入れていられる。いや横になっているというより地に伏している。これは五体投地で祈りを捧げているというわけではない。銀河教導院の教義や儀式に則って再生者様が祈りを捧げているのではないのですが。
わが主は、わが師であるリィン・グラハム導師によりボコボコにされて地に倒れていた。素人相手にやりすぎなのでは?
先ほどから動いてはいないが息遣いは聞こえるので無事なのでしょうが。助け起こそうとするとリィンは、その手にもつ袋竹刀と呼ぶ訓練棒で……私を制してしまったもので手を出せない。
「まったく各々ご都合のよいことばかりを教え込んで、いいように扱った結果がこれですか。地球帝国やアレクサンドリアは最大の貢献をしているということでお任せしていましたが……これはよくありません」
「そうは言っても問題は山積み、座学でやること自体が本人のためとは思えないわ。大体のことはもう探るまでもない。本人の資質より意識の問題と判断したまでよ」
「結局どこも自分の都合で任せているんだから今更でしょ。教導院もそのためにあなたを送ったんだし何を」
「選ばせているのはあなたたちでしょうに!ちゃんと説明してあげなさい!」
「それも時間がかかるもので、我々がある程度選別しているのは委任されているというもので……」
訓練着姿のアンジェラ、政府機関から引っ張り出されたネロ、クラウディアもげんなりした顔で組手の手を休めずにリィンの長話の説教にお答えしている。かれこれここに集められて1時間ぐらいではあるが、間に休憩を挟みながらこうしたお言葉とお叱りが続き時たま三者に向けて放たれている。
最初はお叱りの説教が気に入らないと格闘訓練の体裁で最初は挑んだ3人も、特に反撃も出来ずに転がされていたもので誰も反論することがなくなり。それらがなくなった後はずっとナンブ様が袋竹刀でボコボコにされて休憩、休憩時間で座学替わりのお話。
銀河連邦や教導院、宇宙の歴史と脅威についてお話が一方的に語られていったのだ。彼にとってわからないところがそれはもう多いためか、一々確認しながらのもあり……テンポが悪くなるものでリィンは相当お怒りのようなのだ。宇宙に何も教えない幼子を放り出すなどと、である。そりゃあなたから見れば生まれる前の赤子かもしれませんが。
私は私でリィンに預けられた時を思い出すもので、こわくて何も言えなくなってしまう。それよりも今はかなり怖いのであるが。
「これはいわばテクノロジーとエネルギーの奪い合いのなのです。我々が宇宙超常存在の遺跡、彼らのテクノロジーとエネルギーの私的利用を禁じているのはご存じですよね」
はい、という返事の代わりなのか。倒れたまま震える右手を上げてナンブ様がお返事なさいました。立とうとしても立てれない、のは両ひざを袋竹刀で何度も叩かれているからでしょうお労しや。
「それが時代が続くことで緩みが生じ、監獄のような特例を1つ許せばまた1つ。今では発見した遺跡を隠匿する惑星国家や企業まで存在する始末。そうした連中の1つである海賊軍にあなたが特赦を出した後でさえも、隠匿していたものらは名乗り出ないのです。それほど強力であり、どれほど危険なのはご存じとなったでしょう」
ぐぐっと虫のように体をよじりながら、わが主は立ち上がり始めるのだが……いやしかしここまで戦いに不自由されているのはどういうことなのだろうか。ネロやクラウディアのレポートではショック・セイバーを自在に操り飛んだり跳ねたりして暴れていたとのことだったが。あの……ヴォイド将軍?であるか否かというのは重要とは思えないし……実はあんまり向いていないのでしょうか?戦いに。
「許されるような事態というのは、本来我々ではどうしようもない銀河の危機に対してぐらいなものです。かつて地球がエイリアン・モンスターに襲われた一件のようなもの。あの時の第一次派遣団で生まれたものたち等です。人類兵士の話ではありませんよ」
「まだ地球が銀河連邦に加盟する前の話ね。ゼノ・テックと呼んだ第一世代……話には聞いたことは、まぁ……あったわ」
「その多くは封印か廃棄されたと聞いていますが……実態はどうでしょうね」
「どうせアヴァロンみたくどこかに保管してるわよ。そうよねクラウディア、引っ張り出す機会を伺ってるんでしょ」
ネロがネチネチ語るように今の宇宙は歪におかしい。
クラウディアは知らぬ存ぜぬの態度を取っているが、現に今はその超技術を求めて……完全に扱えないといえど、己の力にしようとする勢力はどこにでもいる。大なり小なりで、だ。中には管理者AIである使徒に阻まれても尚貪欲に求めて遺跡と戦争しているところもあると聞くほどだ。
そう、この宇宙は間違っている。本来あるべき正しいあり方を人々は忘れて人々は欲望のまま求めて争い、ねじ曲がっている。正しきものが再び現れても知らぬ顔である上に奪うために狙うものもいる。
リィン導師や評議会の導師達はそうした欲望により混沌を生み出す現状という状況だけを、再生者様という再臨により完全に制御と抑制を望んでいるのだが。私はそうは思わない。この現状を生み出す人々こそ彼により統制と制御されるべきものなのだ。それこそが正しい救済であり再生となるはず。救世主の再来が今起きたのだから。
人々の愚かさは筆舌にしがたい。今ある巨大な力に対して何かにつけて特例を求めてくる人間の俗さが大きな障害となっているのだ。俗欲たる金銭や権力だけに足らず今も尚遺るゼノ・テックですらも宇宙怪獣の出現で許された緊急時という理由をつけてのものだ。ザ・マスターから地球への導きがあったという大きな契機がああるのだろうが。
「とかく。この状況を理解し、正しくというのならば……その状況を知り、自身も動けるようにならなければいけません。この後に行く場所では大変な場所なのですから」
えっアンジェラ達は今回来てくれないのかという目線を彼は送ったようだが……答えは三者揃って行けないという答え同じ。ただ理由は別にあり行くにしても場所が悪い、行政手続きがまだある、帝国からゲストがくるとのこと。なので私とリィンに……ポリ?だかいう大型犬が同行するらしいが、犬?
「我々が行くのは今近くにある脅威、エイリアン・モンスターではないもの。機械福音教団が占拠する辺境惑星です。そこでは何が起こるかわかりませんからとにかく鍛えるだけ鍛えますよ、さぁ立って」
立てなさそうなところ、がくがくしながら足を奮い立たせる彼を指さし。それでも満足に立てないのならば……リィンは彼のシルエットを指をなぞるように上へ。そのまま引っ張られるように彼は立ち上がった。
何が起こっているかわからない顔の彼に私は答えねばならない。21世紀のコミックにあったワード、概念であるのだからすぐに伝わるだろう。我々騎士がどういう存在かというインパクトを与えられる、ここぞというタイミングが今!
「ナンブ様、銀河教導院の騎士は超能力戦士なのですよ」
彼は疲れているのか声は出せていない。だがその顔は驚きのあまり目を見開いて私たちを見ていた。
大成功だ。
その超能力戦士を従える存在が、あなたなのであることを意識してもらわなければならない。新たなる世界と秩序をもたらすのはあなたなのです。ふふっ驚きに見開かれた目に続き、ようやく開かれた口からは当然賞賛の声が上がるはず。あるはずなのですが。
「エヴァンゲリ……何!?何が!?」
彼は大きな声を出し、信じられないものを聞いたような顔でリィンを見ている。
我々ではなくそっち!?そっちなのですか!?超能力戦士ではなく!?
超能力戦争、絶賛公開中!
見ておいたほうがいいですよ……超能力戦争は!




