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オリジン・シード  作者: 草間
宇宙監獄要塞~スペース・マリーン3378~
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19話 デカい結末とはいかなかった

ヒロインかなぁ?ヒロインかも?どうでしょうね

■ アークⅠ 格納庫 非常警報中


「メタモルフォーゼ!いや質量が違いすぎる!本当にあのデリガット・バフム!?」


「そうさ、そうだとも!お前たち地球人類……いや、現銀河に増殖する人間にはわからないようだがな」


「再生者にはわかるのだよ!聞こえるのさ……|選ばれし長命種族(ハイ・エルダー)の声が!」


 最初に対面した時の姿、巨大に肥えた芋虫の姿から想像できない美声。凛と張りハツラツとした声が私の頭の上……首を挟むようにある女性特有の豊かな胸部の上から響いていく。平時なら内心で鼻を伸ばして喜びたい状況だが、私の右腕は吊り上げられている上に捻られているもので抵抗できずにいた。


 そのなにも出来なさ、状況を打開できないもどかしさの上でまた状況が動く。アークⅠの格納扉、エアロックやら戦闘機の発進口がブチ破られた轟音が響く!非常事態の警戒音に怒号、悲鳴といった危機的状況を告げる音が嵐のように吹き流れ込んでくる!


 侵入してきたのは、宇宙的グロテスクなドラゴン・モンスター。コスモ・ドラゴンが2……いや、3体!


 1体は私とデリガットの背後に降りて彼女……彼女?を掴んで持ち上げ、他の2体はとにかく暴れている!暴れているもので戦闘機や輸送機に装甲車両が叩かれひっくり返されては爆発する音が聞こえてくるのだ!追跡されないように破壊活動をブチ撒けてこのまま逃げる気なのか!?


「隔壁閉鎖はまだなの!?スーツがない者は退避を優先!」


「執政官補、このままでは再生者様が!何か手立てを、武器が使えません!」


「わかっている!クソッ肝心な時に役に立たない!こんなアーマーのフレームまで引っ張ってきておいて!」


「ハハハ、ギルドの大方の目論見を利用させてもらったが……こうもうまくいくとは!このまま再生者には私と共に新たな再生の旅に付き合ってもらおう!」


 ちょうどネロが私ことヴォイド将軍のフレームだけになったパワー・アーマーを殴った時。ドラゴンが飛び上がり、衝撃波が下方……ネロやクラウディア、アメリア達がいるところまでに撃ち放たれた!このままでは私はデリガットに連れ去られてしまう……それだけは何とか避けなければならないのだが、空いている左手だけではどうしようもない。


 肘でデリガットの横っ腹を打とうにも、そうした訓練をしていない私では有効打に繋げることが出来なかった。やわらかいし。とにかく無力に、出来ない非力さに焦るばかりだが……


 ()()()()()()()()()の時に、()()()()()を探せば解決の糸口は見えるはずだ。


 ネロが苛立ちから打ち据えたパワー・アーマーのフレーム、その打撃音に視線が向けば答えはその中にあると言わんばかり……備え付けられたままでぶら下がっているものが()()()()()()()と主張しているように見えた。


「ネロ!セイバーを!」


 彼女へ左手を伸ばし叫ぶと、流石のネロ執政官補はすぐに気づいた!


 かっぱらうようにアーマーのフレームから取り外したセイバーをこちらに投げてよこす!格納庫の空気が抜かれて飛んでいく勢いもあるのか、それとも()()()()()()()()か不可視の力か……私はセイバーを呼べば引き寄せられるのか。


 私の手元に来たショック・セイバーはすぐさま光の刃を放つ!


「デリガット!今あなたについていくわけには……いかない!」


 彼女?の胸に挟まれて顔を見えはしないが、デリガットの顔があるだろう位置へ当たるように……セイバーを振り上げる!これが殺傷能力のあるエネルギー武器なら躊躇ってしまうが非殺傷の装備!今はただデリガットから離れられればいい!


 だが


「着眼点はいい!ザ・マスターの技術で拵えたセイバーであるなら、私に強く干渉できるだろう!だが戦い慣れしていないようではなァ!かわいいものだ!リ・マスター!」


「なっ……腕が動かない!どうやって止めて……か、髪!?」


  きらめく糸のようなものが私の腕と、肘を抑えるように巻き付いたことで左手も拘束され両腕が完全に固められてしまった!それらが髪と分かったのは最初に顔を見た時に見えた瞬間的な印象の記憶であるが、何よりその獰猛にも嘲りにも見える顔をこちらに下ろしているからだろう。拘束していくる髪と、デリガットという女性になった顔が私の顔を胸で挟み見下ろしている!


 これでは完全に万事休す、いや両お手上げなのか!?


「あら、それは()()()()を聞いたわね」


 えっと声を出す前に聞こえた声はネロ。間近にまで飛んできた彼女、ドラゴンともデリガットの視線の死角なのか。真下から私の足を掴んで、さらに飛び上がってこちらの眼前にまで来ていた。その彼女が手に持っていたのは……


 私に投げられたセイバー、ではなくフレームにもう1本備えていた方のショックセイバー!それを……こちらへ振りかぶる!


()()()()!あがががが!」


「バカな!再生者ごと殴るのか地球人は!やはりお前たちは野蛮すぎる!」


「死にはしないでしょ!でもアンタとドラゴンはどうかしらね!逃げる分の体力を残せるかしら!ほらもう一発!」


 ぐええ、ぎえぇとも言葉にできない悲鳴が出てしまう!ネロがこちらごとデリガットやドラゴンをセイバーでぶっ叩く度にだ!


 ぬぅ、ぎぃとか漏らしていたデリガットは私と共に電撃と鋭いこん棒の打撃が合わさったような衝撃に耐えていたようだが……ついにドラゴンまで悲鳴を上げ始めたものだから私の拘束は解かれる。逃走へと切り替えるためか、デリガットは私をそのままネロのほうへ盾にするように押し出した。


「覚えておれよ地球人類!このように粗野な扱い、忘れはしない!リ・マスターも忘れるではないぞ!」


「だったら何よギルドの悪党風情が!次は会う前に決着付けてやるわ!」


 ネロに首根っこを掴まれて手荷物扱いのごとく持たれて、格納庫の床に降りるころには閉鎖壁が下りて空気漏れもなく。デリガットとドラゴンらは立ち去り、さりとて破壊された航空機や車両からの煙等が噴き出す騒がしい周囲が見えた。


 私はといえば……肩やわき腹に腕、拘束解除のためか特に上半身を徹底的に打たれた痛みとショック・セイバー特有の電撃を流されたような衝撃による痙攣で声を出すのも苦しく。


「アーマー着用者は消火活動と追撃を、追撃はどうなっている艦長!提督の追撃指示は!」


「他艦艇への攻撃も同時に発生、跳躍を確認した今では追撃を出すにも困難でしょう」


「ちぃ……!まさかあんな奇怪星人だとは……いえ、太古から生き残っていたという方が正しいのかしら……あんなもの!」


「執政官補、そのあたりで。これ以上はどうしようもありません……これは帰って教導院への報告に加えて彼らからの返答が欲しいところです」


「まったくよ……エルダーがギルドに加担?どういうことなのかしら」


 わかっているのか、お前も関わっているんだぞこの奇怪存在という具合にネロが私を揺さぶったあたりで私のぎりぎり保っていた緊張感が解けてしまったのか。がくっと意識がそこで途絶えてしまった。


「それよりそろそろ横にさせた方がいいじゃないのか?尋問でもあそこまで勢いはつけないぞ」


「いいのよ、紐でもつけておかないと何するかわかったもんじゃありゃしないんだから!」







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