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オリジン・シード  作者: 草間
宇宙監獄要塞~スペース・マリーン3378~
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18話 デカい接近、密着

■ 帝国海軍巡洋艦アークⅠ 格納庫


「まずいわね……緊急時対応手順を取るべきではなかったかも」


「アメリア司令、エメラダ副司令、ライフルを」


「アーマーは、無理か。とにかく再生者様を一番に。死なれたら孫の面子も台無しにされる」


「それどころじゃないわよ。デリガットの聴取前に爆破があった。自爆とも外部工作ともまだ判明していない……調査官は2名とも負傷」


 士官食堂で待機していたら起きた爆発と轟音。そこからえぇ何事、と事情をネロを通して聴きながら彼女らに連れられて格納庫まで来たわけだが……とんでもないことになっていた。デリガット・バフム、逮捕出来たものでギルドの密輸部門幹部は連邦警察に引き渡すことになり。


 その途中、この船で引き渡しをというので調査官が入って来たのが先ほどのことで……入って、デリガットを見たところで爆発が起きたらしい。そこらまた、確保していたギルドの兵隊まで爆発しているのだと。


 要人のいる艦内で非常事態が起きた時にその場を動かず、じっとしているのではなく……すぐさま脱出できるように運ぶ。ネロが先導しその手順を実行していたのが今のであるわけだが、ネロ曰くこの場合なら実行犯も脱出のためこちらに向かってくる可能性もあると。


「外壁ぶち抜く可能性も十分あり得るけど混乱に乗じて脱出するのもあり、私なら」


「アレクサンドリアの執政官補ですね。連邦の者ですが緊急事態プロトコルにより調査同意を。こちらにある証拠の退避の優先を、艦長の許可は得ています」


「……顔を見せて。バイザーを下ろして」


「これでよろしいのですか?何もお隠しするようなことはありませんが」


 制服のネロとアメリア達と違って、スペース・スーツとジャケットを着用している女性がこちらに声をかけてきたのはネロの話と妙にタイミングが一致してしまったようだ。()()()()()なのかネロは腰の拳銃に手を当てたまま、銀河連邦捜査官に向けて警戒心をそのままぶつけるような物言いをしたが、捜査官の人はヘルメットのバイザーを下ろし顔を見せる。


「悪いわね、緊急時なのよ」


「えぇ緊急時ですから。再生者様もこちらに手を」


「あぁ、はい。手を当てるだけでよいので?」


「船外活動服の着用をしながらで構いませんね?確保責任者の証明ですからすぐ終わりますよ」


 はい、どうぞそのままでと答える捜査官の人は……虹色に輝く髪を揺らし微笑んでいた。瞳は見えず、閉じているようだが視界はあるようで機材から出てくるデジタル投影な文書を見せてきた。ネロとクラウディアも目で確認したが特に不備はなく本物のようだったので、脱出する工作員ではないと判断したのだろう。


 私はまぁ非常事態だしと言われるまま手を当てて証明の署名の手続きを行う。その間にもクラウディアと……一緒に搬入されてきたヴォイド将軍のパワー・アーマーに手伝われて船外活動服を下から着用していく。もちろんパワー・アーマーは見た目があの時のままだとかなり不都合があるとされたので装甲が全て外れている。あるのは骨組みとぶら下がるショック・セイバーが2本のみだ。


「ところで見ない種族ね、人類帝国の人間ではないでしょう」


「えぇはい。辺境の方ですので、銀河連邦ではずいぶん前から忘れられているようなものですよ」


 はぁ、大変なんだなぁ宇宙全体にいる種族感は……とネロの言葉からの感想と共に視線を動かして見れば彼女は確かに地球人女性っぽいのにそうではないようだった。フォルム……彼女自身の姿、体型は地球人類の……海兵隊より帝国海軍の人間に近いシルエット。長身ではあるが無駄のなさそうな厚み。筋骨隆々ではなく、しかし胸部はネロやアンジェラのように出ている……この時代の地球人のような体型。


 地球人類、特に女性は遺伝子改造であぁいう姿になっているとのことだから元々この宇宙やら銀河ではそういう体型がスタンダード・モデルなのかもしれない。それに()()()()()()()、どこか親しみのある声色に感じるもので地球人類との融和性がある種族の方なのかもしれない。


 一方で持っている証拠品、手足を外れてて束ねて、物理ケージに格納されてさらに電磁的にも拘束されているのはデリガットが連れていたドロイドだ。なるほど確かに重要な証拠品だ。機械のボディであるし電子的な頭脳から密輸ルートやら幹部のリストとか会話のログとかを取るのかもしれない。重要な証拠であるし、他の証拠や証人がどうなるかもわからないのならすぐに確保し持ち出したいのも納得だ。


「……あの、証明というか署名は終わりましたよね?」


「えぇ、終わりましたが、まだ終わっていませんね」


 何を、と何がと言おうとした瞬間。電子文書に当てていた手は彼女に掴まれてそのまま捻りあげられ……私の体は彼女に引き寄せられていた!すぐさま、だろう。躊躇なくネロが抜いて引いた拳銃のエネルギー音が鳴り響いたが、霧散していく謎の現象が私の視界の上で起きていた。続いて他方、クラウディアも拳銃を引き抜いて……今度は()()の炸裂音がしたものの弾かれる音が聞こえてしまった。


「捜査官ではないのはわかっていたけど、エネルギーも質量弾も……何者!」


「何者でも関係ない、地球人類の諸君。この再生者は私が確保したということだ。お前たちでは手は出せない、大人しくしていれば……この男には危害を加えない」


「ギルドの工作員にしては聞いたことがない力だ、幹部としてもどういった種族でだか……」


 私をひねりあげ、メリハリと凹凸が豊かにあり……肉の感触のある体に引き寄せている彼女。彼女は包囲を徐々に広げるように要求しながら、航空機用エアロックに近づいていく。ただ逃走のために私を確保したような物言いではなさそうな上に……どうも何かがおかしいような言葉。引っ掛かっているような、先ほどからの言葉にやり方の感触。胸の感触ではなく。


 親しみのありつつも、覚えのある。しかし彼女とは初めて会うはず。その違和感が、何か広がり溶けて……正しく繋がるように形を作った。誰かが証明というものを求めている……そんな呼び声が聞こえた気がして。


「デ、デリガット・バフム!」


「なんですって!?」


「やはり、やはりわかるのだな!再生者(リ・マスター)宇宙超常存在(ザ・マスター)、創生者の正統なる後継者!」


 巨大肉塊のシルエットをもつ宇宙生物。そのあれ、あれが地球人類のような女性の姿で、私をとっつかまえて、見下ろしている。人類の瞳と思えば複眼と分裂しこちらを捉えた目が、銀河に流れる青い幻の光のように輝いていたのだ。



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