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オリジン・シード  作者: 草間
宇宙監獄要塞~スペース・マリーン3378~
37/55

14話 次元潜航戦隊

宇宙の潜水艦はかっこいいですからね

■次元潜航戦隊 旗艦 アキレス 戦闘指揮所


 魔法の船に魔法が宿り動き出す。


 艦長はそんなおとぎ話のような言葉が自分の頭から出てしまったことからか、溜息が長く出てしまった。訓練学校の教官として付き合いが長くなった副長はそれに何か()()()()()()をかけるわけでもなく記録の管理を続けている。


 この異常に静かな潜航艦の中では溜息すらも自身の内に響くノイズとして返ってくる。ただし外には漏れない、霧散どころか消失してしまう異様な住まいの環境の落ち着かなさ、不慣れさが艦長の頭を常に働かせるように警告を鳴らす。


 数日前のことである。細かく言えば再生者であるナンブが宇宙要塞に送り込まれるのと同時のことだ。地球帝国宇宙海軍訓練学校の、潜水艦科目の教官であった艦長と副長は今期の訓練航海の計画を提出したところで急遽訓練生ごと招集を命じられたのだ。


 場所は帝国海軍秘密工廠基地……通称アヴァロン。帝国海軍の施設でも特にアンタッチャブルな存在が集められた基地への招集は、上層部による()()()()()()に対する注意訓戒を目的としたものではと訓練生の間で囁かれた。しかし教官達は時期の急さであったり、現提督の中でも先進的とされるが少々急進的なローデンシア提督から呼び出されたことが……嫌な予感を固めるに十分だという認識を共有することになった。


 その嫌な予感は想像以上のものとして当たることとなる。


 訓練生を率いて、次元潜航実験艦で戦隊を組み宇宙監獄要塞へ向かい再生者への支援活動を行え。


 新型実験艦、という響きもあり訓練生の一部以外は自分達に向けられた期待感に喜び士気旺盛であったが教官と残る一部の訓練生……幹部候補生らは違った。ここアヴァロンに何が収められているかを重々承知していたからだ。


 アヴァロンは宇宙超常存在(ザ・マスター)の技術や……それらが操る異次元の(コズミック)エネルギーを利用するため調査研究されていた、あるいは転用試験や仮想実験実装をした兵器群を押収した封印所であるのだ。共通認識……銀河連邦でも触れても作ってもいけないとされる存在ら。しかも地球帝国製のものもあり、教官達はこれらが()()()()()()()で保管しているのなど暗黙の了解であることも承知しているのだ。


 それでも辞令が出たこと、目的が惑星国家や銀河連邦法に抵触しないとの言葉を一応は信用し、実験艦の1つを旗艦としアキレスと命名。命名式などせずにすぐに出航し監獄要塞へ向かったが……その航路の最中でも異常さを常に感じることになり、気が滅入りかけていた。


 異常に静穏であるのは装甲だけではない。動力もだ。宇宙に流れる、ザ・マスターが操ったとされるコズミックな次元エネルギーを外部装甲で得て内部に伝達し動くという理屈もわからない。また今まで許可がなく、使えないものを使えない段階で使えそうであると仮想して建造した技術者らの頭がおかしいと名目上の実験航海中に何度も口に出かかった。あのナディア卿がこれを作ったと聞いたが、とんでもないものを作ってくれたものだ。


 ローデンシア提督曰く、今回の作戦は許可が下りていると。


 つまりこの異質な船……魔法の船を動かす魔法を使っていい、と許可が下りたのだと。副長も幹部候補生も顔を顰めたが……それも徐々に緩和されつつある。異質な船は動いていく度にその都度に目新しく超常なる力を目の前に見せつけてくる。恐怖や驚愕もあるが、それが自分達に扱うことが許されている……その、提督達や提督達とも違う人物……再生者やその周囲からかけられている、人類史上に今までにない期待感があるのではないかという高揚感。


 そのためこの超常の船達に乗り、ここ監獄要塞まで運んできた生徒たちは皆士気が高い。艦長である自分以外は。


 理由はただ1つ。現状もってこの宙域を跋扈している海賊ギルド連中に存在すら掴ませず、また一方的に攻撃できるようなものであり。無限の動力を持つような超兵器をこれから運用するとして……一体何と戦うのだろうか、許す方は今の時代のどこと何を見ているのかという疑念。今までにないことがこれから起きるような……漠然とした一抹の不安がどうしても艦長は拭えなかった。


「艦長、クラウディア管制官殿より連絡が。外周監視待機から攻撃要請に変更と。攻撃計画は一任すると」


「わかった。各艦に繋げ。所定の位置へ移動してからの変更はない。事前に連絡があった通り、我々の攻撃の後に海軍艦隊が出てくる手筈になっている。出現と同時に艦砲攻撃を行うための《《イニシアチブを得るため》》、これより攻撃を開始する」


 現在潜水艦隊は大物狙い……というわけではないが、小型艦艇近辺ではなく大型艦艇を射程に収める位置に待機させている。小型艦艇だけであるならば、海軍艦艇の艦砲であれば粉砕するに容易い。


 それに我々は攻撃能力の訓練も兼ねて、要塞付近に出没するだろうという海賊の艦艇を監視及び攻撃を試みるという名目があるのだ。ならば内外に一番効果を見せつけやすい方を選ぶのも、必要であるはずだ。船を動かす魔法の動力も未知ならば打ち出す魚雷も未知のものが使われている……そんなものが混ざり合うナンセンスさ。ならば実際どこまで出来るかは打って見ないとわからない。当然通常の空間魚雷は

装填し同時に打ち出すが。


「攻撃用意、一次攻撃の後に我々は再び監視に戻る。ダメージの期待効果の確認次第だがどうであれそれは忘れるな」


「空間魚雷、ならび新式の()()()()装填完了!」


「全艦攻撃準備完了、いつでも」


「よし……空間魚雷2種、順次発射」


「発射!」


「発射!!」


 艦長の攻撃命令と共に、副長は復唱。そして戦闘指揮所に詰める攻撃長役の幹部候補生がさらに復唱し発射ボタンを押せば……他の待機艦艇も同じく。新型の空間浸透魚雷が発射され、続いて通常の空間魚雷が発射された。


 そのすぐ後に見える宇宙の光景は派手だった。


 海賊ギルドの……巨大戦闘空母の側面に大穴が空き、内部が爆発し宇宙艦隊を編成する巨大戦闘艦艇のド真ん中がえぐられていく。それら恐ろしい光景が連続していく光景。そして追撃とばかりにそこへ現れる……ローデンシア提督が指揮する改装巡洋艦アークⅠ。それを旗艦とした帝国海軍の攻撃艦隊が飛び出してきたのだ。


「大型艦は機能不全!航海不能、目視で確認を継続!」


「副砲旋回!対空レーザーとで航空機を撃て!」


「全艦に通達!この宙域で動いているものは全て撃て!主砲は準備が出来次第順次攻撃開始!許可確認は不要!」

 

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