13話 デカい話が明らかに…ならないで始まった!
イメージとして”あれ”とは時代が下るので、団地なんですね
■ ダイニングテーブル
「いや、だからそもそも軍事兵器みたいな俗っぽいものがなんで遺す必要があったかなんだよ!宇宙超常存在っていう神秘的な存在になんでそんなものを!」
「今そんなことを聞く必要があると?納得できるできない理由が出たとして君がどうこうするだけじゃないか」
「それはそうだけどイメージというものとか、経緯がすっぱり抜けて……あぁそうだ!なんで私がこんな、再生者なんて話になっているんだ」
夕暮れなどとっくに過ぎた夜。団地の一室で私と誰かがテーブルを囲んで話していた。誰かの顔がハッキリわからないので、夢のような自分の中にしかないイメージでくみ上げられたものかとも思えるがそれにしては回答が不明瞭だ。夢の中での話なんてなんとなく納得できるうに感じて、起きた時にはおかしいと感じるようなものであるというのに。
私の知る21世紀でも一部地域で記念に残されている団地の一室のような内装の部屋はノスタルジー溢れる雰囲気に包まれていた。計画経緯や住人を考えるとギチギチに狭いだろう少ない部屋に台所とダイニングテーブルや冷蔵庫が置かれてそこで食事を済ませる世界。そこで対面にいるのはザ・マスターか、それに関わる誰かということぐらいしかわからない。顔もはっきりわからないものだから。
これが六畳間だかの茶の間で夕暮れ時なら異星人とのコンタクトとしてモデルがあるシチュエーションで自分の中だけの世界だと思えるのだが。何せ私は団地の世代ではないのだから博物館以外で見たことがない。ここで生活する、というイメージとフィーリングがないもので彼との意識が合わないのだ。合わないはずなのだが……
「ナンブ、そうじゃないんだ。言った通り君が何をするか、選ぶかだ」
「説明もなしに納得できないような話をされて、その先の話の答えみたいなことを言われても!」
「いや君は納得している。だからこの話はそもそも必要がないんだ……例えばそうだな。そこを見てくれ、そう戸を開けて」
「はぁ?」
また彼だか彼女はよくわからない、私の問いに答えになっていないものを返すものだから……その返事の答えがそこにあると思って障子の戸を開いた。
団地であるのだから、そこにはブラウン管のテレビがおいてある居間があるのはずなのだ。そこにソファーだのがあって家族の団らんが小規模ながら形成されているはずなのだが……
「ピパポーガガッピッ」
「ガァーアー」
そこには四面四角の頭に胴体、バイクのヘッドライトのような瞳、歯。蛇腹の腕にリングクリップの腕を持つレトロフューチャーのイメージなロボットが座ってテレビを見ているし、その隣にはずんぐりむっくりで皮膚が固そうな樹脂を加工したような親しみが持ちやすいイメージで作られた怪獣が座っている。テレビに映されている宇宙ロケット発射の衛星放送を見ていたのだ。
私は意味がわからな過ぎて障子の戸をそのまま閉めた。
「なにこれ!?」
「問題のイメージだよ、以前の君は納得してくれたのだが……まぁ、そんなことも言ってられないか。君がこれまでもこれからも決断していく瞬間が続いていく、それが宇宙の永遠になる。さぁ目覚めてくれ。時間がないんじゃないか、君の恐れる手遅れにならないうちに」
「待って、だからこれは一体」
そうして私は、意識がはるか遠くに吸い込まれていく感覚に流されるままになってしまった。
■ 宇宙要塞 中央部 遺跡中枢 情報スフィア
「十分か?いや足りないのか……いや、どうだ?具合は、自分でわかるか?」
「いや……私も何が何だか、答えがわからないし正しいかも……」
「おお、やはりそうだ!わかるのだな私の声が!素晴らしい……いいぞ、このまま私と共に行こう、全てを手に入れられる!お前と私とで!」
「そんなデリガット様のお言葉が私を通さず!?連邦共通語から消えた言葉をなぜ!」
「だからだ、だからなのだよ!やはりザ・マスターの祝福は我らにもあった!今もある!お前と私とであまねく宇宙の光を集めて束ねるのだ!地球帝国の人類、いや銀河連邦にだけ預けておくわけにはいかない!」
先ほどまで粗野にして横柄に、治安の悪い姿そのままで私を扱うにも力に任せていた兵士達にさえ動揺が広がっていく。何かが起きているのはわかるが、それがどういうものであるのか。一人興奮しているデリガット・バフムの様子から異常事態だとわかるのだろうが、だからといってどうすればいいのかという怯えにも似たような空気が伝わってくる。ちょっとした周辺雰囲気の変化でしかないが、そうした些細な空気を今感じ取れるようになっていた。
だからこそ海賊ギルドの幹部であるデリガットの誘いに堂々と答えれる。
「私はあなたについて知らない、だからこの判断が絶対に正しいかはまだわからないが……それに頷くわけにはいかない」
「この状況で、と!中々に気骨というものがあるじゃないか!」
「この状況に持ち込んだからこそ、受け入れるわけにはいかない!」
ギルドの兵隊たちの間でデリガットの言葉はわからずとも、私との交渉が決裂していることが察し始めたのか。とにかく言うことを聞かせようという意志が見えてきた。兵士の2人ぐらいが巨大な軍用犬、人質としてポリを担ぎ上げてどうにかしようとしたその時だ。
兵士らの頭が上からの閃光に撃ち抜かれた。
「攻撃!上から!?」
「狙撃だ!お前たち!デリガット様を守りなさい!シールドを展開!」
「はん、敵陣ということを忘れ過ぎよ。こんなバカみたいな神殿を見せられて頭がどうにかしてたのかしらねぇ」
そんな兵士らの驚愕と警戒を切り裂く声……と共に舞い降りる光の針。それが見えた時にはもう遅い。私は狙撃で解放されたポリに首ねっこ掴まれて、情報スフィアがあるところの真下……ちょうど窪みが出来ているところに潜り込まされた。
潜り込めたらもう後は心配がないとばかり。
連続する射撃音に爆発音が続いていく上に悲鳴が絶え間なく聞こえてきた。聞こえてきたなと思ったら、すぐに静寂が支配するようになったもので……ポリに促されて恐る恐る顔を出すとプラズマな電磁ネットで拘束されたデリガット、そして物理的なロープでぐるぐるにされたドロイドだけ立っている光景が見えた。
つまり制圧されたということだが……そこに降り立っていたのは2人、と1体。
「ネロ、クラウディア、プリム!ずっとこの要塞にいたのならなんで!」
「助けてあげたらまずお礼じゃないの?礼儀を欠いたら再生者様の名前と品位が落ちるわよ」
「そ、そうだったありがとう。直接戦闘しているところを見たことがなかったから2人ともここまで強いだなんて……いやそうじゃなくて!」
「捕縛は完了しているので後で来る鎮圧ドロイドに任せましょう。それよりここの管制インターフェイスを用いて要塞内部の防衛と外部の迎撃機構の再配置とパワーソースの分配を……と執政官補のお話ですが」
そうだ!元々ここでそういう操作をしようという話を……話を?ネロから聞いていたような気がするがどういうプロセスでやるんだったか。いや……以前にもやったことのある、巨大遺跡機構と同じようにただ指示して承認すればいいだけなのだろうが……それならばなぜ態々彼女らもここに帯同して行わなければならないのだろうか?いや私がピンチだから駆けつけてくれた……違う、元からいたのだからそれは結果でしかないはずだ。
「この要塞内部で完結させた迎撃行為なら外殻のパージを利用して操作、それ使って物理的に排除するのが一番楽ね。アメリアの海賊軍も一緒に排除できるし」
「そんな!彼女らも諸共になんて、そんなのは許可できないよ!」
「はぁ~~~~~~~~~。いい?アンタはあいつらの身近で見て何を学んだの。どう繕ってもギルドと同じことをやってるの。名前が近いから誤解とかでもなく、それをわかった上で言っているの?」
ネロの言いたいことはわかる。こう……どう贔屓目に見てもやってたことはよくないことだ。生活のためとはいえ、海賊軍としてやっていたことは許されることではないだろう。だからといって全てをすべて否定して宇宙の塵にしていいものなのだろうか?少なくとも今ここで、この逼迫した状況で決めていいはずがない。決めるものがあるとすれば、法と正義と秩序とかそういうものではないか?
「ならそれ以外の代案を聞かせてほしいわね~内部は何とかなるでしょうけど、まだまだ外部の艦隊はやってくるわよ。幹部連中のうち1人を今捕縛しただけなんだから、当然ギルドの艦隊攻撃は続くでしょ」
「それは……プリム、内部にいるみんなに影響のない程度に外殻を動かせないかな」
「可能ですがそれで迎撃行動のレベルはたかが知れています」
「そ、そうか……それじゃ一度内部の連中を排除してから外に打ってでるしかないのか……!?」
「いえ、クラウディアに案があります。そちらを採用されては」
「えっちょっとクラウディアあんたいつのまにプリムと組んだの!」
「プランBをいくつか提案している時に。大体そのとき執政官補は寝ていたではないですか」
「あ、あんたそういうことは私にも通しておくものでしょ!?」
「本題!本題に戻って!クラウディア、どういう案なの!」
待ってました、とばかりにクラウディアは私の前に立ち……中々にかっこいいイカしたミラーシェードを上げてキメ顔で伝えてくる。
艦隊には艦隊を当てるのが一番いいと。
「帝国海軍から派遣されているローデンシア提督の艦隊が既に待機しています。すぐにでもこちらにワープアウトできますが、その前に待機させている艦隊により攻撃を加えます。ギルドの連中相手に艦隊戦で互角の戦いなどさせませんよ」
「それはすごい!この周辺にそんなすごい艦隊が待機してるなんてわからなかった!」
「クラウディアあんた、あんた帝国海軍の経由で艦隊引っ張ってきたの!?独断で!?」
「当然提督筋から参謀本部には話を通していますから、すんなり通りましたよ。要塞相手の訓練という名目で3日目には到着していましたし」
「こ、こいつ……!私が寝ている間にプリムとで包囲攻撃計画を完成させていたのね!無断で!」
「誤解があるようでお伝えしますが、命令系統の違いでしかありませんよ。惑星アレクサンドリアの執政官補殿」
なんだかわからないがとにかくなんとかなりそうだ!とにかくそれを、それを実行で!と頼むとクラウディアはミラーシェード、デカいサイバーグラスを下ろして口頭の指示を……ネロ曰くの引っ張ってきた艦隊という相手に飛ばした。
「こちら帝国海軍宇宙要塞駐留管制官クラウディア、次元潜航戦隊旗艦アキレスへ。攻撃行動開始の許可が降りました!攻撃開始を!」
次元潜航戦隊!これはもう聞いたままわかる……宇宙の潜水艦だ!




