12話 デカいことが隠れていたわけだが
大体ナカトミビルです。了解いたした
■ 宇宙要塞 中心部遺跡 最中枢 コントロール・ルーム
「なんか私が見た時より様子が変わっている……こんな場所だった!?」
「……アンタが宇宙暗黒将軍になっている間に模様替えをしたのよ、アンタ主導でね」
「こちらとの通信経由や管制も容易になりましたから助かってはいるのですが、まぁその……だいぶサマ変わりはしましたね」
最初に私がエメラダ達に連れて来られた時の印象といえば静謐な超古代文明の遺跡そのままの姿。ハイパーテックでソリッドで不可思議な質感を与える場所と覚えている。中央の巨大な情報スフィアに制御レリーフや浮遊プレート、後からだろうが増設された管制インターフェイスユニットのブースもそうした無機質さを感じる作りだった。宇宙超古代文明も似たような具合に使っていたのがわかりそうな雰囲気ではあるものの、使われている文字の解読はパッと見わからない。
それが今はどうだ?たった数日だろうが異常な空間に様変わりしている。中枢的なユニットはそのままなのではあるが、各部位が何をどう見て誤解したのかオリエンタルな外見に変わっているのだ。
中枢の情報スフィアの天井には相撲の土俵で上に吊り下げられているような屋根が装飾されているし、四方には四天王像……らしきコズミックな装飾をしたものが飾られている。おまけに漢字の掛け軸で『活人剣』や『天地人』の文字が垂れ下がっている。貨物輸送用と思われる巨大パワー・ローダーは2台1組1対でクソデカ神輿を担いでいる。この勘違いされたアジア感に宇宙文明っぽさが加わって建築デザイナーのデザイン感を疑いたくなる内装に変貌していたのだ。
いうなれば宇宙暗黒天守閣だ……
「この……このこれは何?」
「アンタの部下らがノリノリでやらせてたわよ。宇宙暗黒将軍の住まいだって」
「す、住みたくないこんな我が家……!」
「内装が変わっているだけなのでとにかく管理AIと共に防衛体制の再配備指示を……いけない、これは!」
戸惑ってると出迎えてくれた管理AIとポリにせかされて制御ユニットに近づいた時、クラウディアのちょっと焦った声が聞こえてきた。相撲の土俵で言えば土俵に上がろうと足をかけた瞬間。エレベーターが到着するという回転灯のきらめきとサイレンが鳴り響く。あの方向は、表示が正しければアメリア達がギルドの兵士と戦っているEポート。彼女らが援軍を求めてきたのだろうか?
「おお、やはりこの目で見てこその収集の醍醐味とデリガット様は申している。さぁ抵抗はやめろとも」
「デリガット・バフム!海賊軍の防衛を突破してきたか!あれだけ揃えておいてアメリアは!」
えっ何ごとと思う隙もない。中心に巨大な芋虫みたいな巨体の宇宙人……人?宇宙生物のエイリアンと衣服を着ているドロイド。それらを取り囲む治安の悪い宇宙海賊の兵隊たちが乗り込んできた!モヒカンにスパイク・アーマーだと!
そのビジュアルからわかる危険さ。ポリの今まで聞いてきた中で最も低い唸り声に、ついい腰が引けてしまうが……それより一等強いネロの怒りの言葉で背が伸びる。彼女らが突破されてしまった、包囲を突破しているのではなく中枢に向けてなだれ込んできたのかもしれない!
「ド、ドロイド!防衛ドロイドは!?」
「全て出払っています。各セクション防衛と外周攻撃に回せとのご命令なので」
「そ、そうだあの四天王像!?この部屋の巨大な人型のは!?こういう時の最終防衛手段じゃ!?」
「あれはすべて飾りとして作れとの命令でしたよ」
なんなんだその私……宇宙暗黒将軍の指示は、あれ防衛装置じゃないの!?こういう時に動き出して暴れるやつではないのか!?一緒に来ていたパワー・アーマーは……ダメだ遠い!
「ポリ、ダメだ抵抗しない!殺される!」
「よくわかっている。地球帝国のスペース・ウルフドッグなど珍しくも何もありませんからね。抵抗せず大人しくすれば危害は加えない、大人しくしていろとおっしゃっている。お前たちも貴重なコレクションに危害を加えてはいけませんよ」
私はドタドタと入り込んできた兵隊たちに取り囲まれるが、ポリはポリで抵抗できないように電磁なワイヤーで拘束されてしまった。殺されるよりはマシだろうし、このままの数の差で抵抗することこそ自殺行為だ。私は両手を上げて無抵抗の意思を示すが乱暴に取り押さえられてしまう。だがそれも寸時のことだった。デリガット自身が私の前に進み出ると、その巨体を密着させ多岐ある腕のような脚を伸ばして私の体をまさぐり始めたのだ!今までで一番うれしくないお肌のふれあい!
「デリガット様、お邪魔をするようで大変申し訳ありませんがそろそろ切り上げていただきませんと他の幹部に……あぁいえ、わかっております。この時間が神聖な時間だということは……」
脚から頭どころか背中から尻まで一通りを4周ほどまさぐって満足したのか、デリガットは私を拘束している兵隊に細かく指示し中枢にある情報スフィアに運んでいく。運んでどのような指示を私に望むか、何をやらせるのかと巨体を見下ろせば……そのなものはなく。私への命令はなく、ただ兵隊らへの指示だけが飛ぶ。
「なっそんな……何を!」
兵隊らに持ち上げられて、私はそのままここの中枢……ただの投影情報としか見えない情報スフィアに放り投げられた!ただの立体映像の球体ならそのまま落下してしまう、何をするつもりだと声を出したものの自分も何がどうなっているかわからない状況になってしまった。
私はそのまま……浮いているのだ!
何をしたいのか、何をさせたいのか。だがもしかしたらデリガット・バフム。海賊ギルドの密輸部門の幹部のこの宇宙人は私より何かを知っているがためこのようなことをさせているのではと思った時にはもう何もかも遅かった。自分の頭がすぅと血の気ごと意識が引いていく感覚が広がり、そのまま視界が真っ暗になってしまった。
ただ最後にデリガットの……聞こえないはずの声が聞こえたところだけ頭に染み込んでいく。
「宇宙超常存在の遺した情報、いにしえの記憶を宿してこそ真の再生者なのだ」




