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オリジン・シード  作者: 草間
ヴォイド・コンバット~虚空戦記~
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14話 ヴォイド・コンバット

■惑星内 レプリカ・中国 南京 陶塔


「既に諸君らも知っている通り、これでほぼ全てのダーク・エルダーの配下を下したと言っていい」


「私が求める銀河超戦士ではなく、聖遺物たる聖斧だけを狙う不届きものは諸君らの働きにより排除された!」


 な、なんだって!?


 複製された中国の南京……それも陶塔の前に集められた私たちにヴォイドは高らかに宣言する!これにより本選はほぼ終わったも同然だと!?


 集められたのは私、ポリ……そしてブラック・ナイトのソニア。続いて戦うはずだったパラディン・エステルに超戦士1号エルシー。シルバーサムライ・カナタに……ダーク・法師!えっダーク・法師ってダーク・エルダーの配下であって聖斧を目当てに来たわけではない!?


 それにヴォイドから見逃されているということは……いや、しかしあのプラズマは一体!?


 いや!そうだった、理解出来た!ダーク・エルダーと関わりがありながら……ヴォイドが邪な念を感じなかった、見逃していた相手。不思議だったんだ……この大会の最中、本来いるべきではない人がいたことに!ダーク・法師の正体はなんの連絡もなく……突然現れた、彼女しかいない!


「そうか!ダーク・法師は君だったのかクオン!マスター・パワーをまだ扱いきれていない私を心配してきてくれたんだな!?」


「姉様が!?そうか!この場に似つかわしくない装束出来ていたと思っていたら……やはり聖鉄の、それも聖遺物というエルダー案件!ここぞという時に来てくれる!流石ニュー・ジェネレーションのエルダーと言われるだけはある!」


 私とカナタが合点がいった!と言う具合に見合わせ、ダーク・法師を見て頷き合う。よくあるやつだ!不思議な敵か味方かわからないヤツが出てきたら……仲間の実力者が着いてきてくれていた!というやつ。黒騎士とか謎の戦士、今回のヴォイド・コンバットのその枠がクオンだったなんて!流石超装甲戦士秘聞録を書くだけはある!ツボをよく抑えているじゃないか!


 カナタと共に興奮冷めやらぬ勢いで和気あいあいとしていたが、ダーク・法師からの返事はない。ないしなんか言葉を選ぼうとしてこちらを何度か見ている様子だが何か間違っていたのだろうか?


「あっもしかしてバラすタイミングが早かった!?ピンチの時の方がらしいよな……ごめん!クオン!配慮が足りなかった!でもなんか大会の様子がおかしくて」


 その瞬間、ダーク・法師からちょっと離れた空間がスーッと開いて……超能力赤ちゃんが現れた。赤ちゃんを抱いているクオンと共に。なんか若干困っている顔で。


「えっ!?クオンが2人!?まさか分身を作れるように……」


「いえナンブ様、おそらく姉様は操術によりダーク・法師の外装を操っているのです。これほどのコントロール能力は宇宙広しといえど姉様以外は」


「……違います」


 妙なことにクオンとダーク・法師の言葉が重なった。うそでしょダーク・法師の正体はクオンではないし……クオンは単身ワープしてきてたの!?いやでも超能力赤ちゃんとクオンの話からすれば星々を繋ぐ力を操れるなら……なんの問題もないのか。いや単身ポンと来るのは問題がありそうだな?


「ンンッ!私はとあるダーク・エルダー……の門弟であるソーサラーの1人。ヴォイド・コンバットには再生者の動向を伺いに来た。必ず来ると考えられたからだ」


 気まずそうな咳払いの後に、ダーク・法師……ことダーク・ソーサラーのお返事が来る。あっ本当にそのままの意味ででダーク・エルダーの配下だったんだ!しかしウロボロスといい、まだ知らぬダーク・エルダー連中には私がこの戦いに来るのを完全に読まれていたな。なんで?そんなにわかりやすいかな。


「あなたの思考を読まずとも、あなたの周囲の存在のは読むことができる。聖斧の調査や入手した経緯、そして求めるもの達を調べ上げるため派遣してくることは必然」


 そして参加者の中で一等変なのを探せば自ずと浮かび上がる、他のエルダーの手の者と毛色が違う存在。それこそ再生者に違いないと。神秘のボディが光を放っている一等変なのがいたのだから、こいつだろうみたいな具合で。


「まいったな、否定することが出来なさすぎる」


「その通り。お前はこれらの者たちを呼ぶよい御旗になってくれた。このヴォイドから直々に礼を言わねばならないな」


 その言葉に、若干……癪に障るというものではないが。何か小さい違和感を感じた。私の中にある、生まれたものからそうした言葉が出るだろうか……という疑問から生まれたもの。私はそれを確かめるべく、超装甲を脱いで……私服のままの姿を晒した。


 もしかして、ヴォイドではない中身の思考や言葉が出てきているのか?出てきてもいいと思われる……段階になったか、慢心か?


「その通り、私は再生者の南部健吾だ!周囲の思惑は色々あっただろうが、私の目的はただ一つ!()()()()()()()()()()のお前がなぜここにいる!」


「知れたことよケンゴォ……私は宇宙の住む者たちが望む限り存在し続ける!倒されることなど……永遠にあり得ない!」


 ビシッ!と指を差し「いかにも因縁の相手との再会!どういうことだお前!生きていたのか!」という具合で……胡乱な問い、お前の正体は誰だ!と聞けば。同じ程度の答え……なんだか煙にまいたような解答が返ってくる!AIへの質問が下手な使い方みたいだ。


「宇宙が望んでいるのだ。そうだなダーク・ソーサラァ……今宇宙の勢力図は変革を迎えようとしている」


「ザ・マスターが去ったこの宇宙に再生者が蘇り、ダーク・エルダーの2者を下した」


「エルダー大戦以後の、歪で混沌とした調和の世界が崩れようとしている。第二次エルダー大戦も……そう遠くはない。私はその時に、真の調和を……いや平和を生み出したい」


「人々の願いを、叶えるために。自由と平和を希求する心に呼ばれたのだよ」


 いいことを言っているんだけど、これがただのライバルならまだしも……私の中から生まれた外見の上に!中身が誰かよくわかならいヤツ!もう一人のボク!かもあやしいやつが言うし、超能力赤ちゃんとか作ってるし何ひとつ信用できない!


 80年代あくの軍産複合体みたいな産業同盟を乗っ取って最高幹部をやってるやつのいうセリフか!?


「エルダーとの戦いの備えて、戦士のデータを欲していただけでじゃないか!よく言う!」


「だと、言うのならば……どうするケンゴ?お前に止められるのか、私を?この世界が希求する自由と平和への望みを……止められるのか?」


「それは私も目指すところは同じ。だがこのやり方が正しいとは決して思えない!だから……止める!その仮面を砕いてみせる!」


 まるでドクロが空虚に笑う様にからからとした笑い声が響いた。静かな南京の空に、鳴子を鳴らすように……あるいは陶塔の中に吹き込む風が通り抜けて笛のように。空虚なものから反響する音のような笑い声が響いた。


「ここまで来れば、もはやトーナメントなど意味はない。参加者の1人がこのような望みらしいが、各々私に望みはあるか?各々の個性は知っている。聞くまでもないだろうが、望みや我々への協力の要請があれば請け負うじゃないか」


機械福音教団(エヴァンゲリウム)の騎士とは戦ってみたかったのですが、それ以外は」


「何を他人事のように!?今すぐヴォイドを倒すために……ここで集まったもの達で立ち向かう時では!?」


「いいやソニア、カナタも……戦うなら私一人でいく!ポリもいいね!?赤ちゃんについてて!」


 ダーク・ソーサラーにも手を出さないでくれ、と頼むと……数歩下がり。これからの戦いを見守るように。ソニアは納得のいかないようだったが、カナタにも促されて下がってくれる。あと2回ぐらいお願いしないとダメだったかな?いやしかしこればっかりはな。


「いいのか?何人でかかって来てもいいんだぞ?」


「これは私が望んだことだ!聖斧とか名誉とかではなく……お前と戦うために来た!」


「いいだろう!再生者ナンブ!いや……超装甲戦士マイティ!」


 ヴォイドのマントがばさり、と跳ね上がり……そのまま空を舞って消えていく。残ったのはヴォイド・アーマーそのもの。装着者はいるだろうが……外からではわからない、強戦士!漆黒のアーマーと、セイバーを備えている上に腰にはショック・マグナムのような銃器!


「超装甲!」


 そして私も……ヴォイドの姿が現れたと共に。控えていたマイティのアーマーを装着!偽装用であり防御用のマントを脱ぎ棄てて……ヴォイドに相対する。太腿のホルスターを展開してもいいが、その隙すらも許されない緊張感に包まれ重い空気が広がっていく。


 じりじりと相手の挙動を窺う中で……どこからか風が吹いた。瓦か何か、屋根用の建材同士が揺れて当たり合い……カラカラと音が鳴った瞬間に私とヴォイドの声が重なった。いや……ヴォイドの方が一歩早かった!


「加速装置!」

 

 ヴォイド将軍と超装甲戦士マイティの……2度目となる高速の戦いが始まった!今度はテストの時のようにはいかないぞ、ヴォイド!仮面を砕いてお前の正体を明らかにさせてもらう!

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