13話 遥か昔の銀河の戦いで
■惑星内 レプリカ・ハコダテ レストラン
「再生者としての戦い、その解釈の仕方を受け入れられたようだなケンゴ」
「ノリと勢いしかわからなかったな……あれでいいのぉ?」
「そういう答えもあり、ということですね」
巨大化し疲れ切ったポリに、とにかく栄養を……というもので鶏肉っぽいお肉たっぷり茹でて。ブロッコリーやカラーピーマン等の緑黄色野菜にさつまいもを茹でて提供。モリモリ食べた後にゆっくりお休みしてもらっている間のこと。
第二試合となるブラックナイト・ソニアVSオーシャン・アリゲーターの戦いの間ぐらいだ。ちらっと見ているモニターではレプリカ・パナマ湾でスペースワニ軍団がブラックナイトに襲い掛かっている。強いなオーシャン・アリゲーター……パナマ湾がパナマ・ワニ園になっているとは。
その戦いを眺めているエルシーとエステル。どちらも次の第三試合でカチ合う相手だが……特にマイク・パフォーマンスの応酬もなし。まさに歴戦の戦士の貫禄だ。戦う時は戦う時、そうでないときはそうではないのだと。紅茶やらミルクティーに……私が焼いたレモンケーキで小休止を取っている。
まぁそんなゆったりした雰囲気の中で、私と超能力赤ちゃんの答え合わせをしていたわけだが。それに対してクオンはまぁまぁいいぐらいかな、との評価をいただけた隣で……カナタは首を傾げていた。ヤガールの流派としてはよくわからないのか、そもそも前例がない故に正誤と考えれないのか。
しかしそこらへんを考えると超能力赤ちゃんとクオンは、理解しているあたり中々に不思議だ。両者の共通点とは……?ニュー・ジェネレーションだからとかかな?
「力の使い方を戦い方にフォーカスをする、というのは愚行だというのは重々承知だ。プリズムもその考えの下でクオンと共に超装甲を開発したのだろう。だがそれを前提にした上で考察することは、理解の補助線になる」
「でしたら遥か昔のお話をしましょう。エルダー大戦の前、エルダーたちとザ・マスターが共にあった時代の話を」
あらその時にも大きな戦いがあったのかしら、と赤ちゃんを抱いてミルクを飲んでもらっているとだ。ずがずがっと椅子を引っ張ってくる音が聞こえ……寄って来たのはエステルにエルシー、そしてカナタもだ。何かすごい神妙な顔をしているが……ソニアの試合はいいのかな!?
「姉様!ようやくお話してくれるのですね!?なんでこう……もっと早く教えてくれなかったのですか!」
「こういうのは時期を見て、というのもあります。そしておばあ様の記憶から私が読み取ったものなのでなんとも正確性が」
「ザ・マスターとエルダーの黄金時代の話は聞いたことがない。データどころか文献すらも残されていないからな」
「口伝のみとは聞いていますね。帝国の誕生よりずっと前の話ですから我々では知りえない情報が……こんなところで、茶飲み話で語られるなんて」
遥か長い時を経ているもので、エルダーの間でも忘れ去られていたり……話したがらなかったり。ダーク・エルダーのヤガールことレーツェンはその……心神喪失状態が長かった?せいか思い出せなかったようだが。クオンが記憶を読んでいたため、それらを情報として蓄積していたのだという。
それを話せるように編纂とか整理するのに時間がかかったんだろうね。けど他の人からしたら、お茶の時間に出るようなレベルじゃないらしく。各々ショックを受けているがまぁなんか……そういうタイミングだっただけだ!
ちなみにポリはどうでもよさげに私の足に絡んでオネム。そうだね……どうでもいいかもね。
「はるか昔、この宇宙に様々な文明があり……されど銀河同士の繋がりが薄い時代。外の宇宙世界からやってきた超常存在がいました」
それがザ・マスターと呼ばれる存在たち。
彼ら?がやってきた目的は不明だが宇宙同士を繋ぐ術を持っており、その力で銀河を繋がれたこの宇宙は……巨大な銀河文明勢力圏へと発展していく。だがその発展も順調ではなかった。
宇宙が広がれば未知の者への出会いも増えていく。共存共栄をしていくもの、そもそも意志の疎通が困難なものたち。その中には地球を滅ぼした宇宙怪獣とは別種のものたち……まさしく敵性異星体が存在していた。
「その時ザ・マスターの側にいた……宇宙の中でも選りすぐりの智慧者たちことエルダーからの要請がありました。宇宙の平和のために、星々を守るための力が欲しいと」
リ・マスターが再生や再構築をする力なら……ザ・マスターは創造する力という文字通り創世者の力を持っていた。ザ・マスターはこの宇宙にある鉱物資源から……聖鉄を生み出し、そこから武器を4つ作り出した。剣と刀、斧と槍。聖遺物と呼ばれるそれらはエルダーに渡されて……銀河を破滅に導く巨大な敵との戦いに用いられたのだ。
「先ほどケンゴがポリを巨大化させたように、ウロボロスが巨大化したように。精度が聖遺物に近いもの、また聖遺物そのものはマスター・パワーを取り込みスケールを自在に操れるものなのです」
そして方々の宇宙での宇宙怪獣と、巨大化したエルダーたちにより長い戦いの末に……この宇宙に平穏が訪れた。これがザ・マスターとエルダーの黄金期の訪れであり……ザ・マスター共に数多の宇宙へ進出し、銀河を1つにしようと試みていた。銀河大航海時代のようなものだという。
ううぅん!なんて壮大は話。話ではあるが、本当に銀河の創世神話みたいな話だ。世界を作った存在と(この場合は繋げて広げたザ・マスターだが)その子供とか次いだ超存在がまず世界を固めていく話。
「あれ?ということはマスター・パワーって宇宙を繋ぐ力だったの?」
「えぇ。少なくとも私はそう解釈しています。宇宙と宇宙を虚空で繋げて、時と空間を選ばず繋げることのできる力」
「そのためだろう。クオンもプリズムも、君らの超装甲はそういう設計にした。加速機能はあくまで補助機能、本来はそうした力の使い方に対するカウンター機構」
「ううむ、やっぱり超すごい力。アーモリーはなんでかはわからないけど、やっぱり平和的な力の使い方が一番なんだろうなぁ」
そんな直感的な感想が出てしまったもので、エステルとエルシーはそそくさとテーブルに戻っていく。いやそうじゃないんだよ、間違っているとか咎めているわけではなくさ!ほら……晴耕雨読とかに使いたいねって話で。
「私がヤガールを代表するのも、ですが姉様。改めてお聞きするとやはり我々は……」
「いやいや、もうなんか出来てるとかやってるものをなんといってもさ!カナタとか……ほら、エステルに責任があるわけじゃないんだからさ!」
「その通り。邪気や欲望によるものは、でしょうが。これらの原因はエルダー大戦にあります」
しかし今はそこまで整理できていないので、こんな大雑把な話のところで終えておきましょうとクオンが区切り。
たしかにザ・マスターという存在と、力の起源。それになぜ聖遺物とやらが生まれたかのが聞けたもので十分参考になった。たしかに戦いので参考にするのはどうなのよ、という生まれではあるが。前例があるため解釈の補助には確かになる。大きさ自由自在、重さも自在で……形もイメージすればどうとでもなる。
「ただしそれは聖鉄自体の精度と、持ち手のマスター・パワー・コントロール能力やキャパシティに大きく左右される。ケンゴは精度が限界値、キャパシティに際限がないもので勝てている状況だな」
「ですので、コントロール能力……イメージする力を養っていただきたいのですが」
「そればっかりはちょっとな~ペラ紙に落書きするのとは違うからねぇ」
さっきのウロボロスとの戦いだって、本当にヤバそうな気配がしたからなんとかなっただけ。それに……私からの、ではあるがポリへの絶大な信頼感があってこそだ。ポリなら大丈夫と思えたものだから、マシーンボディとか巨大化したり変形しても大丈夫と考えられて……できた。
だが他の場合だったらどうだ?この力を使って、この世界に今生きていたり……あるものをどうこうするの、軽々しくイメージ力でなんとでも出来るなんて思っていいものだろうか?残念ながら私にはそこまで……割り切れたり、賢く考えられるとは思えなかった。
「こればっかりは追々だし、物や相手によるなぁ……」
「あぁソニアさんが勝ちましたよ。オーシャン・アリゲーターの開きが出来ています」
開き!?開きっていった!?うわすげぇワニ怪人が真っ二つになっている……えっ真っ二つにしちゃったの!?ダーク・エルダーの配下ではないんだよね!?ころ……ころころフェイタリティしちゃったのぉ!?
「むぅ……!なんだあいつは、再生し巨大化している!」
「ダークエルダーの配下ではないが、そういう機構を取り入れたようだ!ソニアが危険だが……まて何を呼んでいるソニア!ビクトリー・シャトルを!?作っていたのか!?本当に!?」
うわぁ第二試合まで巨大化しての戦いが始まっている!
私この後の戦いはどうなるんだろうな……もしかして私が巨大化して戦わないといけないの?ちょっと想像できないな?




