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オリジン・シード  作者: 草間
ヴォイド・コンバット~虚空戦記~
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12話 超装獣スペース・ウルフ

■惑星バニッシュ・グラウンド 真昼 レプリカ・パリ


 超装獣スペース・ウルフ!


 それは神秘の力であるマスター・パワーと、夢の超合金である聖鉄の鎧!


 そして恐れ知らずのスペース・ウルフのポリが融合し巨大化した姿である!勇敢なマシーン・スペース・ウルフはダーク・エルダーの配下である悪のスペース・モンスターを許さない!勇気をもって立ち向かうぞ!


「という具合に考えてみたんだけど、どうかな?」


「ポリからのメッセージを翻訳。うるさいとのことです」


 そ、そう……まぁそれはそうか。今私は巨大化したポリの……アーマー、ヘルメットにあたる頭部装甲の中?の操縦席みたいなところに座っているわけだが。ここでぐだぐだ喋っているのがどうもノイズらしい。頭に近いから響いてしまうのだろうか?プリズムに聞いて見れば……そう単純な話ではないと返ってきた。


「敵の再生能力が高すぎます。名前の通りの性能を持っていることを確認……決め手を考えてください」


 必殺技を考えてください、と言ってもな?私も超装甲に包まれているが……こうもぴょんぴょん飛び跳ねられては考えも纏まらない。なにせこのレプリカのパリの街を駆け抜けながら……双頭の大蛇竜と化した輪廻竜ウロボロスへと飛び掛かり。片方の首をメタルクローで切り裂いた後に、頭へ牙を突き刺し……噛みついて捻り飛ばすも。その後にすぐに再生してしまうのだ!


「スキャニングの結果、敵装甲の聖鉄ボリュームは薄いことが分かりました。あの再生能力を実現しているのは骨格部分」


 そして連結している鎖もまた、スケーリングを自在に変えてスペース・ウルフに迫りくる!それらを二転三転と回避していくが……正直旗色がよくない。攻撃力は問題ないぐらいに強いというのに!素早さも、相手を上回っている。だからこそプリズムの戦況分析として、必殺の決め手が必要になるのだろう。


 私が何かやるのか?出来ることはあるのだろうか?今から外に出てでも……いや、違う。もっと冷静に考えれなければいけない。これはこれからの戦いに向けてのテストでもある。今ある、与えられた……情報や考え方で解決できるはずなんだ。先ほどから超能力赤ちゃんの声も聞こえない。既に教えることは教えたということだ。


 なら今何が問題であり……解決のために必要な要素を考えるべきだ。スピードはよし、攻撃力も問題ない。ポリの反応速度も火力も十分に届いている。だが相手の再背能力が厄介なのだ!


 その源は何か?聖鉄とマスター・パワーだろう。相手は恐らく聖鉄を自分に取り入れ、自分の体内で精錬とか鍛造を繰り返しているに違いない。自分で自分の体を改造している……もしかしたらダーク・エルダーによって作り変えられたのかもしれない。


「なんて相手だ……!デス・キャプテンやカーネイジ・アサシンといい、なぜこんなにダーク・エルダーの勢力が一度に!」


「それは再生者、お前だよ!お前がバファムトを倒しヤガールを下したことでダーク・エルダーの勢力均衡が崩れた!今や誰も我々を止めるものなど……いない!」


「そんなことがあってたまるか!教導院の、統合軍の……いや!私が止めて見せる!」


 その程度のパワーで何を、と……せせら笑うウロボロスの口から!?毒らしい漆黒なタール状粘液が飛ぶ!ポリはそれを飛んで回避……しながら青白い炎を吐いて焼き払う!何かしらヤバイもので出来ていたのだろう……ウロボロスの舌打ちと共に鎖と尾の連撃が、パリの街並みを破壊しながら迫りくる!


 そうだ、パワーだ!いやいや、単純な膂力ではない。マスター・パワーの伝導率が高い聖鉄をここまで扱っているのに……それを十全に扱えていない。ポリが悪いのではなく、ポリはあくまでポリだ。教導院の騎士でもヤガールでも……ましてや再生者ではない。今のままでは……やっているのは、ただのスケールアップした狼犬と大蛇の戦いという巨獣の戦いが続くだけ。


「ポリ、コントロールを私に!」


 返事はない。少しの試案の時間の、間がある。本当に今の私にポリの体を使って戦う技量があるのか?疑われても当然のことだ。どこにもそんな保証が出来るほど実力を見せていたわけではない。


「人が狼の体で、狼の体を人の意志に委ねれば、単純な戦闘能力は30%にまで低下します」


「私に考えがある!マスター・パワーを戦いでどう使うかの戦いなんだ!なら……それに勝てるように組み立てる!ポリ、頼めるか!」


 プリズムの解析予想はもっとだ!私がこのまま人の心のまま獣になっても勝てるわけがない。かといって人の心を捨てても勝てるわけがない。現状と変わりがないからだ。つまり……人の心を持ちながら獣の体と一体化して勝てるように、再生させればいいのだ!


 セーヌ川の対岸にまで飛び降りたポリが、遠吠えをする。パリの空気を揺るがし……ウロボロスへ放つ。これ以上ない闘志の遠吠え!承認と見た!私と巨大化したポリが一体化することを許す声が!


「ポリ、フォーム・チェンジ!超装獣士!」


 超装獣スペース・ウルフを中心に……マスター・パワーを源にしたフォース・フィールドの渦を発生させて変形用のバリアを形成させる!荒れ果ててしまったパリの市街地に暴風吹き荒れる中で……巨大なマシーン・スペース・ウルフのボディが捻り、体を二足歩行の直立に変えていく。HUDにもワイヤーフレームで表示されるその姿は……狼の、獣人戦士のよう。


 ただしメカで出てきている、超装甲の……獣戦士だ!フォース・フィールドが解除されて現れた戦士の姿で構えを取る!勝利のための……戦士の構えを!


「ハァッ!今度こそ決めさせてもらうぞ、ウロボロス!お前の輪廻、私たちが断ち切る!」


「形を変えただけで、そうも強気になれるのは滑稽だ!マイティ、いや再生者!お前がその体の主導権を握ったのはよくわかった!」


「戦士としても未熟なお前を捻り潰す方が、簡単だ!」


「そうかな?一体化した私とポリなら、負けることはない!勝つ!」


 お前を野放しにするわけには……いかないからな


 フォース・フィールドで遥か上方へ吹っ飛んだ……エッフェル塔の残骸がセーヌに落ちた時が合図。スペースウルフ・ポリと一体化した私は一直線にウロボロスへ向かう!ポリのスピードをそのまま利用するのが一番であるから……だが当然相手にとってはわかりやすい直線的な動き。四方から鎖が、真横から巨大な尾の薙ぎ払いが飛んでくる!


 しかし、それを飛び越えるように避けて……体を捻り。獣戦士の左クローを相手の左肩あたりへ差し込み引っかける!そこを支点に体をウロボロスの背後に回し、右のクローを背骨に向けて……貫くようにぶち込んだ!


 これが人間にしかできない、機動戦闘!立ち上がっている巨大な敵に対しては、平行になりつつも攻撃を加えることができるのだ!道具を使った戦闘であるなら猶更!そしてもう1つ、人間にしかできないことがある!手で掴むことだ!


 そのまま引っかけていた左クローを滑らせて、背骨の位置にまで持っていけば……同じく貫くように打ち込む!そのまま両のクローと手で相手の聖鉄製の背骨を掴み……引き抜くように力をこめる!ウロボロスのおぞましい悲鳴が聞こえ、貫かれて刺し抜かれ……おどろおどろしい体液を噴き出す体!


 しかもウロボロスはマスター・パワーを放ち、肉を再生させ盛り上げて……内側からクローを排出しようとしているのだ!


「そうはさせない!プラズマ・ブラスト……コレダァー!」


 差し込まれた両腕のクローから青白いプラズマが発生!超装獣のときに口から吐き出していたプラズマの炎が放射される!マスター・パワーにより発生させられたその炎は、聖鉄を伝ってウロボロスを焼く浄化の炎に変わる!


 その炎が双頭大蛇竜となった輪廻竜ウロボロスの全身を焼き尽くし……最後の一片を残して消えた。巨大化する前の、鎖とダガーをもつ戦士の姿の、輪廻竜ウロボロスにまで燃やし消したのだ。


「勝者超戦士マイティ、いや……超装獣士スペース・ウルフ!」


 判定であるヴォイドの声が聞こえた後……ポリの遠吠えが再び。


 勝鬨を伝える雄たけびが響き渡った。


 ちゃんと戦うことのできた……私の喜びの声といっていい!


「ポリから合体解除の要請、至急とのことです」


 アッハイすぐに人の姿を解除しますね……

永遠の戦士たちよ~

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