10話 本選インターバル
■惑星内 レプリカ・ハコダテ レストラン
「まずは本選ベスト16が出揃い、戦い……ベスト8まで絞られた。最初のトーナメント表を見てみよう」
超能力赤ちゃんをだっこしながら……レストランに運び込まれた超デカいモニターをみんなで眺める。みんなというのは……私、赤ちゃんとポリはさておいて。ソニアにカナタとエルシー。そしてエステルにクオンのメンバーだ。クオン以外はみんなベスト8に残っている。
本選振り返り、超能力赤ちゃんからの申し出からなのだが……これこそこの大会がどういうものかをわかりやすくするためという。そのため皆様方テーブルについて、私が焼いたチョコレートケーキでお茶の時間と合わせつつ……今回のヴォイド・コンバットの本選の初戦を振り返ることに。
尚チョコレートケーキを焼いている間は私が赤ちゃんおんぶ紐で背負いながら調理していた。間近で見ていたかったらしい……奥さんに逃げられた街の食堂の店主かな?レストランは老舗のいいところなんだけどなぁ。
そして赤ちゃんが超能力で……モニターのデータを呼び起こし、録画しプリズムにより整理されたデータを表示させていく。トーナメントの対戦相手と試合順は以下のようだったらしい。
第一試合:ブラックナイト・ソニアVSケンタウルスナイト
第二試合:クリムゾン・ハンターVSオーシャン・アリゲーター
第三試合:デス・キャプテンVS超戦士1号エルシー
第四試合:パラディン・エステルVSニードル・カメレオン
第五試合:超戦士2号マイティの私VSカーネイジ・アサシン
第六試合:クロスランサー・ハヤブサVS輪廻竜ウロボロス
第七試合:シルバーサムライ・カナタVSジェット・ベアー
第八試合:ダーク・法師VSシャイニング・ネクロマンサー
「以上が本選ベスト16までのメンバーだった、ここまではいいなケンゴ?みんな」
「シラフで見たらいけないメンツすぎないか?みんなこれ平気なの!?」
メンツが全てヤバすぎる。もうツッコミどころしかない。これがヴォイドの条件を満たす超戦士らなのか!?銀河のための……聖斧を持つ資格があるかどうかを見定める相手がこの人らなの!?トレーディング・カードゲームのデッキテーマみたいなやつしかいない!あくのそしきの改造人間の怪人みたいなのが混ざってるぞ!
「ソニアがケンタウルスナイトと戦う時点でおかしいだろ、って突っ込んでおくべきだった……!」
「宇宙は広いからな、この程度でぎゃあぎゃあ騒いでもらっては。大体今お前が抱いている子供もそういう存在だろう」
それ言われたらぐうの根もでない。超能力赤ちゃんの存在がもうすごい、エスパーデッキの初手がこれだよ。同族のカード呼んできそうだな……あぁもうちょっと揺らしたほうがいい?ポリが抱っこしている腕を鼻で押して……赤ちゃんが退屈しないようにと催促してくる。
「ケンタウルスナイトと対峙したソニアはすぐに理解できただろうが、彼はエルダーからの遣いではなかった。純度の低い聖鉄を駆動伝達に用いているサイボーグ騎馬なのさ」
本人曰くレプリカ・オランダの首都アムステルダムのブティックから拝借してきた衣類を着用しているソニアは頷く。リプレイ映像として出てくるブラックナイトとケンタウルスとの戦い……オリュンポス山での戦いだ。
過酷な岩肌をものともしないケンタウルスと対峙し、ソニアも機動戦闘に入っていく。互いに高速の……加速空間に移り変わっていくが、そこでケンタウルスは加速解除とを組み合わせた戦法に出た。岩肌を破壊しては浮かぶ巨石の足場を作り、そこを時間流のゆったりとした空間で駆け抜けてソニアを……ブラックナイトを狩らんと槍を振り回す!
しかしソニアもそう簡単に狩られるエモノではない。リィン導師の術か、時間流の流れを読み取り……その流れに乗って駆けてくるケンタウルスの行先を予期して岩場を切断し蹴り飛ばす。足を踏み外したところを……セイバーで両断!ケンタウルスの下半身を切断したことで、敗北が決まったのだ。
「エステルが対峙したニードル・カメレオンも同じく、こちらは聖鉄を神経細胞との結合に使った質の悪いサイボーグ」
パラディン・エステルがレプリカ・メキシコのアステカ神殿で戦った相手も同じだと赤ちゃんはいう。ニードル・カメレオン……?光学迷彩サイボーグであり、生体針を飛ばしてくるバイオ・ニンジャ!メキシコの密林、土色の神殿に溶け込み聖鉄に近い生体合金の針を飛ばしてくるのだ!
しかしそれへのエステルの対処法はすさまじかった……!
加速空間にも発射され、置かれる生体合金針を……全て切り払い。加速空間の解除と侵入を繰り返し、ブロードソードにより振りかぶり!泥水やイシツブテをまき散らせば……そこにかかったシルエットを見つけ出したのだ!
泥を巻いて姿を現すだけなら普通だろう。そこからがすさまじかった。より強力な発射速度に変えて弾幕をとしたニードル・カメレオンに対してエステルは……己の装備である強化外装ネフィリムⅠをぶつけたのだ!それだけではない、拘束として相手へ装着!カメレオンの四肢だけに装着させた後……マスター・パワーの操術も加えて……重さを増幅!
完全に動けなくなったニードル・カメレオンをブロードソードで叩く!気絶して針が全て射出できなくなるまでボコボコにしていたのだ……恐ろしい機械福音剣術!
「問題は他の戦士だ。ケンゴ、君が出会ったカーネイジ・アサシンの他にもダーク・エルダーの配下はいた!」
「まずエルシーが戦っていたデス・キャプテン!恐ろしい相手……これによく勝てたものだ!」
「この人がダーク・エルダーの!?嘘でしょ!?スペース・幽霊船のキャプテンじゃないか!?」
「ケンゴ、落ち着いて聞いて欲しい。この時代に幽霊船なんてものはいない。つまり宇宙超常現象側の存在……ダーク・エルダーの配下であることは明らか」
やめてくれないか!?前提の怪しい論法を用いて正論みたいなことを言うのは!
いやだって……大画面モニターに映し出されたのはカリブの海賊島だよ!?レプリカ・トルトゥーガ島。カリブ海にある……海賊の集まる島として有名だった場所だ!そこにオドロオドロしいオーラと共に出てくる……スペース・幽霊船の船団!ドクロの海賊旗を掲げる帆船が隊列を組んでいるのだ!
その甲板にただ一人いるのが……ガイコツのボディに海賊の船長服!メタルボーンの怪鳥を伴った、名前の通りデス・キャプテン!とんでもない宇宙超常現象から出て来たんじゃないのかと思わせる存在だ!出身地はスペース・サルガッソーでしょうか?
これがダーク・エルダーの配下!?じゃぁダーク・エルダーってなんだよとも言いたくなる!
「みてくれエルシーの戦いを。ここまで決着が早いとは……流石1号だ」
「何をおっしゃる、元々エルダーの勢力と戦うために作られた鎧でしょう。私はその機能を使ったまでです」
何を、と見ると……これが34世紀の宇宙幽霊海賊船との戦い方なのだろうか!?これまたとんでもない派手な戦いだ!
超戦士1号、エルシーは輸送ヘリで接近した後に……降下!ジェットパックで飛ぶものの、携行武器などなし!対して海賊船団からは光弾が蜂の巣をつついたように出てくるが……それらを全て華麗に躱していく!
そして虚空から対艦レールガン(最初の巨大遺跡構造体でアンジェラがプリムから渡されて使っていたものと同類)を取り出したかと思えば、艦隊を1隻ずつ一射で仕留めていくのだ!全てが炎上すれば、残ったデス・キャプテンの船の甲板へ降り立つ!
メタルボーン・怪鳥をショック・マグナムで大人しくさせた後に……コンバットナイフを引き抜き。キャプテンのサーベルと火花を散らしながら切り結ぶ!しかし相手がダーク・エルダーの配下!何をしてくるかと思えば……ゴースト海賊船の長デス・キャプテンの名のごとし!
幽霊船員たちが続々と現れて来たのだ!
「あれはマスター・パワーで位相をずらした、実態のある幻影だ!ダーク・エルダーの配下……カーネイジ・アサシンの流派とは違う」
エルシーはそれらを、デス・キャプテンのサーベルを交わしながら……ショック・マグナムとの射撃で迎撃していく!左手のコンバット・ナイフで防御と短い斬撃を、右手のショック・マグナムでけん制と船員のエネルギーを散らしていくのだ!CQCっぽい構えだ!いや……CQC(超近接戦闘)だな?
いよいよ船員が居なくなり……進退窮まったデス・キャプテンは何か秘策があるのか!己の身にサーベルを差し込もうとした時……エルシーの方が一歩はやい!ショック・マグナムでサーベルを撃ち落とした後、マスター・パワーを集約させた握り拳を振り抜き……その身を強力なパンチで撃ち抜いた!
「完全には消滅せず、船ごと別次元に退避したようだが……ヴォイドはこれを決着としたようだ」
「地球帝国側にここまでエルダーとの戦い、マスター・パワーの操者がいるとは聞いてなかったな」
「えぇ、公言はしていませんから。我々はそういう戦いを想定されていますし」
「彼らのようなダーク・エルダーとエルダー、或いはエルダーと戦うもの達との戦闘想定データを欲しがっていたのだ。エルシー、君たちのようにヴォイドはこれからの戦いはそうなると予想づけた!」
「あらカナタとジェット・ベアーさんやダーク法師さんとシャイニング・ネクロマンサーさんの戦いはよろしいので?」
「姉上その……私が言うのもですが、特にこの……熊?はなんといいますか」
力と力の戦いだったもので、と巨躯になったシルバーサムライのカナタとジェットベアーとの戦い。巨大な装甲クマがジェットで飛んできている……どういうところの人だろうか。ネオスペース・シベリアの方で?そんな宇宙熊さんと……レプリカ・オーストラリアのエアーズロックを土俵にしての戦い。カナタはスモウの投げでジェット・ベアーを投げ飛ばして勝利している。なんでしょうねこの絵は。
一方ダーク・法師とシャイニング・ネクロマンサーの戦いはダーク・法師の勝利で終わっている。ただし録画映像が真っ白と真っ黒の戦いで全く分からない!映像映えがしないんだが!?何を考えてこんなカードを組んだんだヴォイドは?
「僕がここにいることを許されているのは、ヴォイドもこのダーク・エルダーの配下に危機感を持っているからに他ならない。君たちは宇宙の秩序側であるからこそ、同じ考えを持つと考えている」
「ケンゴには彼らとまではいかずとも、彼らに対抗できるだけの力を……戦いに慣れてもらいたい」
「ごめん、こんなトンチキバトルに追いつけるとは到底思えないんだけれど」
「あら、一番できそうなのはあなたですよケンゴ。あなたが気づいていないだけで」
クオンはそういうけど……クオンのいうような観念とか、赤ちゃんの言っていることもあんまりわからないんだよな。プリズムのおかげでどうにかなっているだけで。OKプリズム、対処法をお願い。
「考えるのをやめないでくれケンゴ、この戦いには様々なものがかかっている」
「特に君の次の相手……輪廻竜ウロボロスをこのままにするわけにはいかない!ダーク・エルダーの気配が最も濃い相手だ!」
ウワーッ!そうだった、私の次の相手これじゃん!なんかレプリカ・イングランドをぶち壊した巨大な蛇の竜!これと戦うのぉ!?アース・ゼノンを呼ばないとどうしようもないじゃないか!
「アース・ゼノンを呼んでも今のままでは敗北は必至、そもそもの彼らとの戦い方の考えが出来ていないんだ」
「なのでビクトリー・コマンダーになる必要があったんですね」
ソニアそこでよくわからないことを言わない!戦い方の話だろ!?いやでもこれどう戦うんだ……?こんな巨大な相手と……私で?
「大きさなど関係ないのですが……困りましたね赤ちゃん、パパは中々わかってくれないようで」
「ううむ、実戦しかないのだろうか?困ったな」
実戦したくない……エステル、ネフィリムⅢを貸してくれない?
ダメ?そうかぁ……あれとドリル戦艦アース・ゼノンで……呼んでいいのかなそもそも?卑怯じゃないからいいのか?アースゼノン=再生者の私とバレていないならいいのかもしれないが。
「とにかく次で当たる前に、君はもう少し戦いについて見て……考えてほしい!」
「カーネイジ・アサシンのように欲を見せたが故に、隙となった相手だけとは限らないんだ!」
「今度は丸のみにされて動けなくされてしまうかもしれないんだぞ」
それはちょっと……かなり嫌だなぁ!しかしだ、大体戦いに……ダーク・エルダーとの戦いに慣れるなんて……どうしたらいいやら。えっイメージでいい?巨大なものとか、超常的なものと戦うイメージをするために動画をもっと見た方がいい?もうレーツェンと戦ったことがあるから、イメージしやすい?
賢いなぁ~バファムトは。さっそくやってみよう、映像は沢山あるようだし。




