11話 聖鉄
おもちゃっぽい話は今回まで、次回から本筋っぽいところに戻ります。
■海軍捜査局 特別捜査協力班 別室
さて海軍捜査局にお呼ばれしたのは……何もゼノ・テック関連の押収品に関わることであったり、アンジェラのタイタン用のパートナーについてだけではない。
いや……局長であるハイマン提督から協力要請があり数日間は、そのパートナーとなるだろうデカいスペース・ミスティック&メタル・ビーストの彼らを受領する期間ではあった。
受領するといっても手続きすれば「ハイどうぞ」というものではなく。アヴァロンからさらに隔離された要塞に赴き……彼らと会い、顔を合わせるところから始まったのだ。巨大な火の鳥、雷のライオン、氷のイルカとだ。海軍捜査局どころか、海軍で兵器開発に関わっている人から見ても「どうしたらいいかわからない」ものだったようで……スター・ブレイザーにも出向している専門家もお手上げだったらしい。
曰く、どうアプローチしていいのかわからなかったとのこと。
しかし私の中で(幼児化し)ぬいぐるみ遊びしているバファムト曰く、どんな形であれ原生動物?モデルなら遊んであげればいいとのこと。大きい方のバファムトしか知らないのでなんとも信頼性をだが、コレクターと呼ばれるギルドの幹部だった彼女。当然そういうのに詳しい……と思われた。ので、そのビーストたちの前でアンジェラに説明したら。
55mという彼らに近い大きさのスケールである、タイタンを用いてぶつかり合い?仲良くなることに成功していた。多少まだまだ荒っぽく、慣れていないところはあるが……同じ大きさ、近い大きさのものが近くにいるほうが安心するのかもしれない?飼い主ではないと思うが……そういう関係を構築し始めたと思えた。
ただそういう巨人と巨獣の肉弾戦を連日見せられ、挙句の果てに飼いならしているような姿を見せられたアヴァロンの技術職員兵士やクレア少佐は堪ったものじゃなかったようだ。監査する側、報告する側なので我々の側にいないといけないからだが……まぁこれからもこういうことばかりだ。慣れてもらう他はない。
とかくそういうことはあった、として。
もう1つ大事なことがある、と局長であるハイマン提督から聞かされたのだ。
それは聖鉄と呼ばれる……ダーク?エルダーである?あった?レーツェン・ヤガールが秘密裏に産業同盟へ製造させてバファムトにも流していたレアメタルの合金の話。
それについては先の慰霊式典(での特赦関係の手続き)もあり、地球帝国の首都惑星に来ていたシルバー・サムライのカナタと……ヤマト04の執政官ハルカも来ている。会議室に並んで座る武士と巫女執政官の姉妹……絵になるな~とうんうん頷いて見ていたわけだが。並んで座っているアンジェラに足の甲をゆっくり加重をかける形で踏まれて姿勢を正す。
視線がわかりやすいというが、直せない!でっけぇんだよ!でっけぇから視界の占有割合がさぁ!
「用途不明の素材、ロスト・テクノロジーとされていた技術で製造。産業同盟どころか帝国も関与している案件。エルダーだけでもというもの……報告していただけるのは、そのありがたいのですが」
カナタとハルカは執政官の方。一応管轄はさておいて国家元首に近いものであるからクレア少佐の対応も控え目。いや権力構造がどうの、ではなく……その彼女らが私を通して捜査局に何を話すのかというものだ。
レアメタルから超金属を密造の件にしても、ヤガールが関わってくる。産業同盟をつつくにしても、あのマジン……超合金なブレードとかの件で既に介入しているだろうし。そうしたことが以前にあってのもの、色々ハイマン提督は考えているのだろうが……やるならやっている。やらないというのなら、何か理由があるだろう。
故に今動けない状態で……他に確固たる証拠もなければ何をしろともなるのがクレア少佐だろうか。
「再生者様が、これから捜査局とも協力するとのことで御耳に入れておきたかっただけのこと……ではあるのですが」
「まず聖鉄はマスター・パワーを用いて精錬される、超伝導合金ということはご存じでしょう」
改めて言葉にされるとなんじゃそりゃ、という顔でクレア少佐が見ている。仕方ないだろう、皆マナだの聖なる力だの言っててドレがドレだかわからないし。私がノリで言ったのがそのまま正式名称っぽくなってるのも……仕方ないんだよ!
さておいてマスター・パワーの伝導率が高い、ということは……その超パワーを利用できるものなら強力無比な力を得られる超合金だ。アヴァロンにあった次元潜航艇も精度はさておいてそうらしく、スター・ブレイザーにも動力関係に使われている。アース・ゼノンは違うようだが……ショック・セイバーとかもそう。クオンやレーツェンが持っている錫杖もそう。
滅茶苦茶すごいやつじゃん!と思っていたのだが……クオン曰く、マスター・パワーを扱う才能があればという前提があるらしい。使えれば壊れない超高度の合金で、かつ超伝導体のものになる。スペース・オリハルコンとかスペース・ヒヒイロカネだぁ~!となるものだが……マスター・パワーが扱えなければただの壊れにくい金属にしかならない。
それ以外にも欠点として多少の精度を落として工業生産できるような組織でもなければ使えないとも。
「残っていた流出先の情報を探らせていていますが、規模も大きくない上にあまり多くはないと」
「銀河中に散らばっているわけじゃないんだ……よかった」
「そこは良い報告です。しかし悪い報告でもあります」
えっ何?と思っていると……アンジェラはあぁ、と理解しているようで。クレア少佐もうわぁという嫌な顔をしている。2人とも別個の反応をしているということは……各々理解して、それぞれ思うところがあって表情に出ているのだろう。なんとなくわかっているわけじゃない。わからないな?どういうこと?という顔をしていると……クレア少佐が補足してくれたわけだが。丁寧な心配り、真面目で親切な人なんだよなぁクレア少佐は。
「21世紀の再生者様に、わかりやすく説明すると金は希少性もありますが電気抵抗や銅と比較して、電気製品に便利なものとして需要がありました」
うん、銅の方が伝導率が高いけど金は錆びるもんじゃないからね。スマホ錆びさせるわけにはいかんでしょうし。それが関わるということは……聖鉄も、こう……低効率とか伝導率の関係で……いけない知らない力学の話に入りそうで混乱しそうだ!
「この場合は電気というエネルギーに関わるからです。では聖鉄と呼ばれるものは?マスター・パワーが関わるものですよね?それを必要とするということは」
「マスター・パワーを扱えるものが欲している……?」
おそらくそうでしょうね、とのクレア少佐。うそでしょって見るとアンジェラも頷いている……カナタもハルカもだ。受容と供給じゃないが……欲しているなら、欲している理由がある。その必要性がある者が望んでいたと。産業同盟のような大規模な国家でもなく、となると個人の需要。
「他のエルダーか機械福音教団が?」
「教導院に所属しない、力を使える才能があるものかもしれません」
しかもバファムトとかこう……銀河の裏ルート、闇の流通ルートに乗るようなもので欲されてたり流されているものだ。産業同盟というのが私の予想する「あくの軍産複合体’80」なら才覚あるやつに渡してデータを取っていた……と言うこともあり得るだろう。想像の通りなら、だが。
「事態を重く見た我々……とクオン姉さまは統合軍に籍を置く情報部の設立を要請しています。捜査局とも、協力するべきだと」
クレア少佐を見るとすっごい苦しい顔をしている。当然だ。捜査局という職務上絶対協力した方がいい、それは職責としてそうだろう。だが……何が関わっているって、バファムトとかあの宇宙怪獣とか宇宙超生命体。
苦しい顔をしながら「私は了承し、上にも通しておきます」と伝える悲しき執行機関の管理職!本当にすまない、海軍捜査局の人にスペース・ファンタジー案件を共有させるのはどうかと思うのですが。
「それとこちらを再生者様にと、クオン姉さまから」
「あれ、そういえばクオンは来てないようだけど……」
「隠しても隠せない者がおりましょう。地球帝国の首都が大騒ぎになりますから……それと師を一人にしておくわけにはいかぬと」
おばあ様思いだななぁクオンは。流石長女?だ。と感心していれば、だ。カナタが出してきたのは頑丈なケース。ジュラルミン・ケースみたいだが……それを彼女が開くと出て来たのは!巻物!そして……綴じられた冊子!和歌が綴られていそうな古風な書物!一方でその雰囲気には似合わない、真新しい外装だがこれは一体!?
「クオン姉さまが綴られた、古代エルダー文字で書かれたものです。先に巻き物を見ていただきたいと」
クオン曰く……ではあるが。レーツェン・ヤガールの記憶を見てこの世界を学習していた。レーツェンの気が、淀んで曖昧になっていた時期にもそれは行われていただろう。つまり……彼女がこのタイミングで出してきた、ということはカナタ達がいう聖鉄関係のものかもしれない!もしかしたら……流出先の……まだ我々が知らぬ、ダーク・エルダーに関する情報がこの巻き物に!古代エルダー真実が明らかになるのだろうか!
「開けて……いいんだよね?」
「是非お願いします、我々も何を綴ったのかを知らされておりません」
ごくり、と喉がなる。なったのは私だけではない。この部屋にいるすべての人が……息をのんだ。本来触れるはずのない銀河神話の一端……それも出自が出自のクオンが態々私にと夢を通さずに齎した情報。古代エルダー語も、おそらくスマート・ウォッチに追加されている機能で翻訳出来るに違いない。
いくよ、と……表題のない巻き物を開き。そこからシャーって広げていくと見えてきたものは!
「ちょ、超装甲戦士?」
書かれていたのは……その、なんというか重い装甲だろうなぁというのが一目でわかるシルエットのパワー・アーマー。しかも若干顔の造形がクオン本来のボディらしい昆虫?っぽいものをイカつくしたやつ。それらが達筆に筆で書かれているのだ……私の似顔絵も添えて。
監獄要塞で作られたヴォイド将軍というパワー・アーマーの偽装。それが怖くて装甲を剥がしてフレームにしていたが……それを流用し新たな戦士にしようという計画書らしい。すごいな、これこの前クオンと見てたあの……あのシリーズのやつじゃん!企画書だろこれオモチャ会社の!
「あ、あの……そちらの冊子は?クオン姉さま何を?」
「超装甲戦士秘聞録ってあるね」
「あ、はい。そうですか」
「このまま話を続けるとこういう具合に知性感性を引っ張られるから、ここまでにしましょ。あなたたち予定は?」
「いえこれ以上予定もありませんから、適当に観光して終わろうかと」
「これ報告に書かないといけないんですか?海軍捜査局の報告書に?」
「どうだろうね……これ公文書扱いになるの?」
「なるわけないじゃないですか!バカにしてます!?」
ごめん、してないんだけどこう……こうさぁ!一応その……古代エルダー文字とかでさぁ!
本当になんでこれを厳重に輸送させてたんだよクオンは!
うわご丁寧にショック・マグナムっていう専用装備にテンキーついてる!しかもこっちの秘聞録ってのは自創作小説みたいになってるけど、何だよこれ!どっかのイベントで頒布するつもりじゃないだろうな!?
「今から食事にいきましょ、今日の予定は終わりよ。こいつはここに置いておいて」
「なんで!?私も行っていいじゃないか!」
「それに関する報告書を再生者様が綴って今日の業務は終わり、終わったら呼んで。私たちの食事が終わった頃合いをみてね」
「そんなぁ!」
クレア少佐もそそくさと部屋から出ているし、本当にこの……この!
あっこれ面白いな。もうちょっと読んでから報告書書こう。
アンリも読むかなぁ~うおこれはちょっと盛りすぎ!




