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オリジン・シード  作者: 草間
アース・エンパイア~地球帝国~
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4話 地球帝国のえらいひとたちと、えらいこと

■セカンドアース ニューブリュッセル 郊外 温室庭園


 地球帝国の首都惑星セカンド・アースに帰国している銀河連邦統合軍参謀、ジョエル・バルテルミー。私は彼に首都であるニュー・ブリュッセルの郊外へと招かれたわけだ。案内人をクラウディア、護衛は引き続きアンジェラとして……である。


 そこで迎え入れられたのが……彼の管理している温室庭園。地球原種(オリジナル・シード)ので残っていたものを栽培しているところであり平時には市民に開放されているとか。もっとも今日は式典の翌日でもあり、政治家の会合の場所として選ばれているためか貸し切りだ。


 私はその温室庭園の中央、そこに設けられた茶の席……といっても長いテーブルにずらりと地球帝国男性貴族諸君が並んだ超政治的な席。その場へ通されてクラウディアから着席を促されたのだ。すごい席だな?しかもツラがいい方々が揃っている。みんなイケメンだらけ……私は浮いていないか?


 非公式な場であるせいか・・・・…皆さまおそらく34世紀地球帝国貴族の、カジュアルでフォーマルな服装をしているのだろう。対して私はいつもの通りオレンジの安全ベストにシャツとジーパン。カメラマンか猟師スタイルで場違いも甚だしい。


「我々は皆、君が今の銀河連邦及び地球帝国の状況について正しく理解していると認識しているが……相違ないな。再生者ケンゴ・ナンブ」


 私の対面の席……といってもLongなテーブルの迎いに座ってる男性が私を呼ぶもので。片手を上げて応えて問う。正しいかはわからないが、のっぴきならない状況に陥っている程度には感じていると。するとその男性……銀河連邦統合軍参謀であるジョエル・バルテルミーは丁寧に纏めて下げた茶の髪を小さく揺らす様に頷き。他の方々も頷き続き。


「どこもかしこも、私のような人間……21世紀の化石を出さないといけない状況なのかと」


「我々には状況を切り開く機会がなかった。それはすなわち、銀河連邦と地球帝国という巨大な組織において憂慮すべき事態に直面し続けていることに他ならない」


 そこから聞くのは銀河連邦の拡張的勢力圏及び経済圏拡張政策政策、巨大に膨れ上がった軍事力との接合。連邦制度というものを取っているが実態は銀河の巨大帝国……そしてその軍事部門と化している地球。これがまず1つ目であり、わかりやすいものだと。


「我々は君を頂点、中心にし銀河連邦統合軍を作らせた。帝国以外にも巨大な軍事力を内包することで、銀河連邦の内部にありながら……内部からは完全に影響を受けない軍事勢力を生み出すことが出来た」


「影響を受けない?」


「君の判断はさておいて、君を意のままに操れる者はこの宇宙に存在しない」


 いやそれは私の独裁の軍事力になるのでは、というところで隣居る別の男性が手を軽く振り否定する。財務関係者の偉い人らしく……お前は独裁者だぜ!というものではなくて、私に与えられている再生者という権威に対して操れるものはいないのだと。まぁ文句言えるのはネロとかリィンぐらい……なのか?それだけ宇宙超常存在の影響力はとてつもないとのことで。


「程度の差はあれ、現状を憂慮している者は銀河連邦内や地球帝国に存在する。内部から拮抗状態を作り出しつつ、変革を進めていこうとしていたところだ」


「そこに外部からの勢力、機械福音教団(エヴァンゲリウム)が出て来た」


「我々よりも強力に、素早くな」


「私たちはこの宇宙の変革を望んでいるが、()()()()()()()()()()()()()()()。それは新たな支配体制に移行するだけだ」


「惑星国家単位で言ってしまえば、支持者が日ごとに増えている。新たな支配者の庇護を望む者たちを生み出し続けていたのは銀河連邦と帝国だ」


 銀河連邦や、その植民地……はたまたその勢力圏の外であるアウター・リムと呼ばれる星域でも勢力を伸ばしているのがマシウスたちエヴァンゲリウム。彼女らの侵攻により勢力図は徐々に塗り替えられて……銀河連邦というものを中心に見れば、内外共に複雑な状況になりつつあると。


「それもこれも君を目覚めさせてからだな。どこもこれを機会に今の状況を変えようと躍起になっている」


「宇宙怪獣もそうだ、ってのは聞いてるかな?」


「聞いてはいる、だがそれについては……フィナメス駐在、頼む」


「地球を侵略したのは、あなたの報告にある種族が関わっているのは間違いない。ただ敵性異星体(エイリアン)は銀河連邦が認定するものであり、銀河連邦人類に敵対的な異星生命体は多々存在する。銀河連邦規模では、問題自体が解決する目途が立っているとは言い難い」


「えぇ~!クオンとでなんとかなるわけじゃないのかぁ!」


 個体名が出たものか、ぴしりと空気が凍った気がした。この温室の空気がちょっと冷え込むような……具合に。そこそこ間があったもので私も考えてしまう。それって銀河連邦が邪魔だなと思ったら指定される有害生物指定みたいなもんで、我々害獣駆除対策の体で異星の生物と戦っているって?得体のしれない侵略的外来種としてぇ~?


「そうであれば、君とそのクオンとので全て収まる話ではあった。だがあれと同等のものは存在する。銀河史研究者、教導院のほうでも探ってはいるもの……それは神話と呼ばれる時代に起きていたことで忘れ去られていた」


「だが神話の再来みたいなヤツが出て来たから、思っていたようにはならないと」


「その通り。これは今方針と結論を出せるものではない、今日はこの状況を知ってもらいたかっただけだ」


 これだけでも銀河連邦がどういう体制基板状況か、またねじれたり歪んでいる部分のまま拡大していたかはわかる。本当に連邦と言う名前の銀河帝国じゃないのか?みたいな……もしかして銀河民主主義が、腐敗している時代でこうなってしまっているのだろうか?


「保険衛生からもあるが、これはそうだな……」


「遺伝子情報提供への感謝を。治療の目途が立つ遺伝子疾患がいくつか出てきました」


 全部が全部解決できるわけではないんだ、という私の疑問には保険衛生担当の彼が答えてくれた。地球脱出時、第一次防衛戦争時代からの遺伝子改造や調整の影響もあり、多岐に変容が渡ってしまい疾患の程度もバラバラだという。それもまた、貴族の階層とかに関わるものらしいのだが……つまり、純然的に昔の改造前の遺伝子に近いほど治療の目途が立ちやすいと。


「先代の皇帝に間に合えばよかったのですが」


「早い逝去だった……地球帰還への目途が立つ前だったのが、悔やまれる」


「あぁその……それで言えばアンリは、大丈夫なの?見た限り大丈夫そうだけど。本人曰く結構偉いらしいとのことですが」


 そこでまたピタリと止まってしまった。あれ、遣いとしてこちらに出しているのは彼だし若いから……当然そういう治療の対象に入っていると思っていたのだけれど。もしかしてまだとか?本人との弁に認識の差がある!?あの場で無理にでも保証人になった方がよかった!?手続きの簡略化とはそういうことだったんだろうか!?


「いやあれは既に治療済みだ。君の感じただろう通り異常はない」


「それはよかった。まだ子供だし、子供が元気ないのは見てて……嫌だしね」


 ゲーミング・キャッチボールをした間柄のヤンチャボーイが元気であること、問題ないことに胸を撫で下ろすと……手を付けていなかったお茶にも手が伸びる。焦って渇いた喉をいやす冷たいハーブティーが気付けをしてくれる。さわやかに、しぶい。 


「あれも色々特殊でな、よくしてくれるとありがたい。我々との間では立場が微妙でな……ただ妙な騒ぎは起こさぬように。特に公共地では」


「いや、その昨晩のはね。エレナとね」


「私はローデンシア提督のことについて聞いているわけではないが」


 いや誘ったの私だから私のせいかぁ!?そんなことを考えてしまったら……ジョエル氏が周囲の側仕えのデカい女性らへ手で指示を出している。短い間ではあったが、政治的なものに関わる話はこの程度にしようとものらしく。給仕係やドロイドどが集まり各々に菓子類や茶を提供していく。


「各々楽にしてくれ。本日は初回であるし、伝えられることは伝えた。互いの認識の確認が出来ただろう。これで最後にならぬように各々邁進されたし」


 うんうん、とめいめい頷き合い。これで難しそうな話は終わりかと思い。アンジェラとクラウディアとでお茶しようかなと席を立ち彼女らを見ると……彼女らは私から数歩どころかどんどん下がって壁際に行く。なぜ逃げていく?私この場所で知り合いはあなた方しかいないんですが?


 いや……なぜか、というのがわかったというか……わかってしまったというか。


 男性陣みんな席を立って私を包囲しているんだが何?


「ところでケンゴ・ナンブ。いやナンブ、聞きたいことがあるんだが」


「アーサー!私からだろうが。エヴァンゲリウムの騎士と戦ったと聞いたがどんな相手だった?剣と鎧は?」


「まて最近のことからでもいいだろう。ダーク・エルダーとはなんだ!?闇のエルダーと何をいうのだ?」


「あの工作艦の諸元はどうなっている?全部が上がってきていないんだ、おそらくハイマン局長が止めているのだろうが……」


「まてまて、宇宙超獣についてはいいのか!アーマーを復元していると聞いたぞ!いつ出来上がる!?」


 何だこの人らは!?茶飲み話の話題を私にしたいのか!?


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