53話 降ってきた怠惰
「どうなった…?」
とてつもない熱気に包まれながら、目を開ける。
「誰もいねぇな。」
「油断しちゃだめよ。周囲に警戒は怠らないように。」
爆心地に向かって進んで行く。
「中々深いクレーターができたねぇ。」
直径50m深さは10m程はあるだろうか。
深いクレーターがこの地に刻まれた。
「シャドウレイン」
「!」
声の方向を向くと目の前に、黒い光が入る。
「アイ!」
くるみ先生が、光線の起動を変え、受け流す。
「また、魔法少女が増えたわね。」
「現れてくれたね、黒の魔法少女、いや、リウィア君。」
「……」
「早速だが、取引をしないかい?」
「貴方達がワタシと対等に、取引できると思っているの?」
こちらに杖を向ける。
「魔女…いや、魔法少女を根絶できると言ったら?」
「…それは、意味を解って言っているのかしら?」
少し驚きの表情を浮かべ、黒の魔法少女の目に光が灯る。
「あぁ、君が世界から消した、記憶を教えてくれたら、僕は不可能とは思わないさ。」
「魔法少女にならずとも、魔力を使う方法、君はよく知っているだろう?」
魔法少女が影から、アクセサリーを取り出す。
「魔道具…あなたは、そう呼んでいたわね。」
「こんなもの、そんな便利なものじゃないわ…」
何処か悲しそうな目でアクセサリーについた、宝石を見つめる。
「君も、一人じゃ限界があることは、解っているんだろう?」
「どうだい?僕達と一緒に戦ってみないかい?」
炉さんが手を差し出す。
「ワタシは今さっき、東野杏奈を殺そうとしたのよ?そんな魔女に手を差しのべるとは、とんだ甘ちゃんね…」
「おい!黒の魔法少女!俺はおまえのこと許せねぇけどよお…1人でずっと抱えてきたんだろ?」
「くるみは初めましてだけど、貴方の魔法…本当に殺すつもりで放ったの?それにしては迷いを感じる威力だったよ?」
黒の魔法少女の瞳が揺らぐ。
「貴女が銀河ちゃんの記憶を消したのも、魔女にならないために、考えなしに消した訳じゃないんでしょ!」
「貴方は、私の憧れで、私を救ってくれた…今度は私が貴方を助けたい!貴方が何か大きなものを抱えているなら、せめて一緒に持っていたい!」
「なんで…魔法少女てやつは、そうやって、人の気持ちを考えずそんなことを吐けるの!!」
黒の魔法少女から魔力が吹き出す。
「ワタシの事を何も知らないで、貴方達の親友の記憶を消して!貴方達に怖い思いをさせて!殺そうとして!」
「…なのになんで、ワタシに手を差しのべるの…訳が分からない…」
子供が癇癪を起こしたように、その場に膝をつく。
私が手を差しのべようとした時。
「杏奈ちゃん!」
「え?」
私と黒の魔法少女2人は、吹っ飛ばされた。
グシャ。
その場の全員が目を見開いた。
「おい…?おい…くる…み?」
「…先生…?」
くるみ先生は、足に下敷きにされ、潰されていた。
顔がまるで二つの顔をくっつけたような、四つの目に、二つの口に鼻。
ベールの様なものを纏ったそれが…
「「はぁ…傲慢も人使い荒いよな…魔女使いか?はぁ…」」
「「で?どいつが、嫉妬ちゃん殺したんだ?」」
「怠惰……!」




