47話 久力京香その1
「何で!何で!魔法少女になれないの!」
魔女が牙をカチカチと鳴らす。
「Gyuraaaaaaaaaaa!」
口から赤い光が零れ、火球を発射する。
「下がれ!杏奈!」
「スイングノヴァ!」
火球とステッキがぶつかり合う。
「ちっ!重ぇ…」
「おらぁ!」
火球を何とか打ち返すも、追撃が透かさず、尾のような物で俺を薙ぎ払う。
「グッ…」
バシャーン!
腕でガードするも、勢いで河川敷から、川に落とされる。
「あーあー、杏奈、そうやって京香ちゃんに丸投げして、自分は手を汚さず、見てるだけなんだ。」
「ち、違…」
「違わない、杏奈は、傍観して、我儘いって、自分は汚れず、友達を汚し、見殺しにする…」
「あ、あ、あ…」
杏奈の様子がおかしい…唐突に耳を塞ぎ、蹲る。
「Gaaaaaaaaaa!」
杏奈に向かって魔女が突進する。
「あ、もう…いいかな…」
杏奈は体を差し出す様に無抵抗で座り込む。
「オォォォラァァァ!」
魔女の顔面を目一杯の力で、ぶん殴る。
「Gua?!」
魔女は川に向かって吹っ飛ぶ。
「杏奈…話の続きだ。耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれ!」
「Graaaaaa!」
向かって来る魔女の対応をしながら、話し出す。
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「京香ー?準備できたー?」
「おう!出来てるぜ!おふくろ!そんじゃあ、さっさといこうぜ!」
髪はショートで、男の子の様なシャツに、ズボンで、少女がするには少し、恥ずかしい格好をした少女。
「京香~もうちょっと女の子らしい格好にしたら?もう14でしょ?」
「動きやすいんだから、これでいいだろ?」
母親が、ため息をつく。
「全く誰に似たんだか…」
「まぁいいじゃないか!母さん、ほれ車の準備も出来たし、さっさといくぞ!」
車の独特な匂いが鼻を通り、心地のよい風が体に纏う。
「でもまぁ母さんの言う通り、京香も、そろそろ落ち着きが欲しいよなー。」
「オヤジもかよ!いいだろ?俺は俺だぜ。」
父親が苦笑し、車を走らせる。
「うん?何か目の前に立ってない?」
「確かに何だあれ?」
前に立つ妙にデカイ影。
その影が急にこちらに向かい、襲いかかる。
「京香!逃げ─」
バゴン。
車は潰れ、俺は車から放り出された。
「おふくろ!オヤジ!」
手に生暖かい感触が伝わる。
「ッ!」
手について、いたのは車から溢れ出した、赤。
「Raaaaaaa」
目の前にいたのは、魔女。
「お前ええええ!」
訳もわからず叫んでいた。
頭の中が怒りと悲しみと理解が追いつかない感情でぐちゃぐちゃになりながら。
「変身!!!!!」
その後のことはよく覚えていない。
血だらけのドレスに、灰になった魔女、目の前には警察。
これが俺が初めて魔法少女になった日の話。




