43話 ノア
「おい!離せ!まだ聞きてぇことが!」
「ちょっ!暴れないでくれたまえ、運び辛いだろう?!」
「俺は!…」
炉さんは京香ちゃんに目で訴え、黙らせる。
私達を両脇に抱え、炉さんは、研究所まで走っていた。
「きっと黒の魔法少女なら、あの程度の魔物はすぐに倒して、こちらに追ってくるだろう。その前に急いで身を隠すよ。」
「とはいっても、研究所も見つかったら、まずいんじゃ…」
「そこは問題ない、楽海助手に、大切なデータは持たせているからね…そもそも向かっているのは研究所じゃない。」
しばらくすると、炉さんは古いトンネルの中に入り、トンネルの扉の前に止まる。
ガチャ
「さあ入ってくれたまえ。」
中に入ると、下に続く、長い長い階段があり、下っていく。
「どこまで続いてんだ?これ?」
「もう、10分くらい、この階段下ってますよね?」
「もうすぐさ…」
階段を下り終わると、そこには…
「これまったデッカいですねぇ…」
20mは、あるだろうか、金属の特有の無機質さのある巨大な扉がそこにはあった。
ギギギギ、ガチャン!
炉さんが扉の前のカメラに目を近づけると、扉の歯車がゆっくりと動き出し、扉が開く。
「ここは…」
扉が開くと目の前には、巨大な都市が飛び込んできた。
「地下都市『ノア』元々は、魔女や自然災害、戦争といった時の、避難場所として作られた、場所さ。」
「今は、使われていないから、我々が管理し、研究施設の保険として、使っている。」
「黒の魔法少女は魔力を探知できる。そう言っていたね?」
炉さんが私達に問いかける。
「はい、確かに言っていたはずです。」
「どのようにして、魔力を探知しているのかは…定かではないが、少なくとも我々は、魔力の粒子を探知して、魔女を探している。」
「今は魔力を消せているそうだが…この地下なら魔力粒子も探知できないだろう。」
「しばらくしたら地上に出るとしよう。」
炉さんが真面目な顔でこちらを見る。
「それで魔女のことだが…秘密にしておいて欲しい。これは魔法少女の保護の観点から考えても、世間に伝える訳にはいかない。」
「下手したら、魔法少女を殺そうとする、人々がでてもおかしくないからね。」
「な?!そんなこと…」
「実際、魔法少女を怖がる人も多い、魔法が未知の力過ぎるからだ、それが魔女になると知れたらどうなるか…暴動が起きたって不思議じゃない。」
その現実に私は何も言えなかった。




