42話 撤退
「今…なんと…!?」
「魔法少女は、魔女の幼体、そう言ったのよ…」
「は…え?…あ?」
黒の魔法少女の口から出た、その言葉は、私の思考を止めるには、余りにも十分だった。
黒の魔法少女が動き出し、影からアクセサリーを取り出す。
ガシ
私の頭をアクセサリーを着けた、左手で掴む。
「mul lu HU─」
ドン!
炉さんが黒の魔法少女をタックルで突き放す。
「杏奈君!記憶はあるかい!?」
炉さんが私を後ろに庇いつつ、戦闘体勢をとる。
「……大丈夫です!」
今の一連で、頭がスッキリした。
たとえ、魔法少女が魔女になるとしても、私が歩みを止めるわけにはいかない。
「いきなり、攻撃を加えることは、ないだろう?」
「今のことを、持ち帰られても困るもの。」
「なら折角だ、記憶を消す前に、君と、嫉妬の魔女の関係性を、教えてもらってもいいかな?彼女は君のことを【カプちゃん】と呼んでいたが、一体?」
「ただの腐れ縁よ…」
顔をうつ向かせ、黒の魔法少女は言う。
カプ…何処か引っかかる。
どこかで、聞いたような…見たような…
「!」
「リウィア・カプ・フィア…」
黒の魔法少女が驚愕の表情を浮かべる。
「どこで、その名を…」
「蛇遣いの魔法…古い本の著者…貴方は一体…」
「翻訳された本が残っていたのか…」
小さな声でブツブツと黒の魔法少女が頭を抱える。
「そうね…よく考えてみれば、大魔女のことを知っていたのは、その本のせいか…」
「その本は今どこにあるの?」
「教えたら記憶を消さないでくれますか?」
「無理な相談ね。」
そりゃそうだよなぁ…
「俺からも質問だ!なんで今まで顔を出さなかった?!お前の狙いは、杏奈のはずだろ!」
ギロりと黒の魔法少女が京香ちゃんを、睨む。
「は?貴方が、魔力を消していたからでしょう?」
「使い魔を使って探そうにも、何故か見つからなかった…いや、見つかる前に、使い魔を殺された、といったほうが良いかしら。」
「その言い方だと、魔力さえあれば、君は自力で人を見つけられると?」
「そんなことも、知らないで魔力を消せた?何故?」
また黒の魔法少女が小言で呟き、思考する。
しばらくして、こちらに杖を構える。
「やはり、東野杏奈、貴方は殺したほうが良さそうね…」
杖に黒い光が集まり、放たれようとした時。
ゴゴゴゴゴゴ
地面が激しく揺れる。
「なぁ!?」
「Graaaaaaa!」
地面からミルワームの様な、魔物が現れ、黒の魔法少女を襲う。
「ネビュラ!」
「しま…!」
辺りは煙で覆わる。
炉さんは、私達を腕で担ぎ、採掘場から脱出した。




