39話 妬ける
「あッつ!」
カラン、カラン
金属が融けた嫌な臭いが漂い、京香ちゃんは魔力砲から手を離す。
辺りは、とてつもない熱気に包まれ、大量の土煙が舞う。
「これで倒しきれてればいいのだけれどね…」
高密度の魔力で地面は、抉れ、道となり、そこにいたのは…
「があ…まに…あっ…たよ。いい…な…かっこ…よか…った。」
体全体は溶けているが、辛うじて体と認識できる状態で、立つ。
嫉妬の魔女がそこにいた。
「う…そ…」
嫉妬の魔女の体は徐々に再生していく。
「プロミネンス!」
炉さんが飛び出し、蒼炎を纏った拳で溶けた顔面を何度も殴る。
「無駄だよ、もう、再生の方が早─」
「炉さん離れて!」
こちらに気付き、炉さんが後ろに下がる。
「花の柱!」
「サン・フレア」
蒼炎と光の柱が、嫉妬の魔女を襲う。
「そんなに魔法を使って大丈夫ー?」
完全に体が再生した、嫉妬の魔女が、蒼炎と光の柱をなぎ払う。
「気付いてるんでしょー?エルが魔法を物真似できるのー?」
「だからこそ、再生を凌ぐ勢いで、攻撃を与えたかった訳だがね…」
流石の炉さんも魔力砲で倒しきれなかったのは、堪えたのか、若干表情が曇る。
「もう、策がないならバイバイだね。」
「エルナート!」
嫉妬の魔女は炉さんに攻撃を仕掛ける
1度目よりも速いスピードで突っ込んでくる。
目の前に突然、ロケットが突っ込んでくる感覚。
死を連想させる感覚。
時がゆっくり進み、記憶が流れ込む。
嗚呼これが走馬灯か…
こんな道半ばで、すまない楽海君…
どうか…君が僕の夢を叶えんことを…
…妬けるな─
違うな…僕が僕の夢を叶えなければ意味がない。
グサ!
角が炉さんの腹を貫いた。
「炉さん!!」
角が抜かれ血が流れ出す。
「じゃあ次はどっちがいいー?」
「くっそ!よくも炉を!」
「そこの琥珀色の子からがいいのねー。」
ゆっくりとこちらに近づいてくる。
が瞬間、小さな蒼炎の火球が嫉妬の魔女に当たる
「ま…ちたま…えよ」
嫉妬の魔女が振り返る。
風穴を開けられた腹から、優しいを感じる、暖かな光を放つ、炎が燃える。
「再起の炎、とでも名付けようか…」
腹の傷がみるみる塞がっていく。
「へえ!すごい!すごい!魔女でもないのに!」
「魔力を体の一部として構築する…君のお得意の真似っこってやつさ。」
「でも…それだけじゃ決着はつけられないよ?」
「本当にその通りだから困るよ。」
両手を左右に広げ肩を上げる。
「今の僕達では君に、なす術はないね。逃げるのが最善手になるほどにね。」
「逃げられるの?」
「考えてみるさ…」
「影槍」
空から嫉妬の魔女に向かって、黒い柱が降ってくる。
間一髪で嫉妬の魔女が避けるも、右半身が抉られる。
「今ので仕留められたら楽だったのに…」
空を見上げるとそこには。
「野郎!」「君は…!」
「黒の魔法少女…!」




