27話 ダレガ為
「記憶を取り戻すつってもよ、黒の魔法少女が記憶を戻せる保証はないんじゃねぇか?」
「うん、それは否定できない。けどね可能性は低いと思うんだ。」
「どうしてそう思うんだよ?」
「多分銀河ちゃんは魔法少女に関係する記憶だけ消されたんだよ。」
「あ?それが記憶を取り戻すのに何が関係あるんだよ?」
京香ちゃんが怪訝な顔でこちらを見る。
「つまり、そんな器用に記憶を消せるなんて魔法ぐらいしかないと思うんだ。」
「?そりゃそうだろ?何当たり前のこと言ってんだ?」
「魔魔法はイメージの世界、記憶だけを消す魔法ではなく、記憶そのものに関する魔法ならさ、記憶を戻すイメージだってできると思うんだ。」
「つまり、黒の魔法少女に言うこと聞かせて、魔法で記憶を戻させるつうわけだな!」
「そうとなりゃ早速、黒の魔法少女を探しに行くとするか!」
「ちょっと待って、その前に確認したいことがあるんだ。」
私は先ほどいた部屋に戻った。
「セバスさん…銀河ちゃん…お話があるんだ。」
「何ですの?」
「恐らく銀河ちゃんは魔法少女に関係する記憶だけ消されたと思うんだ。それでさ銀河ちゃん。」
「はい。」
少し呼吸を整えて、震える手を抑え、話す。
「銀河ちゃんは魔法少女としての記憶を取り戻したい?」
銀河ちゃんが少し驚いた表情を浮かべゆっくりと口を開く。
「お二人が出ていったあと、セバスからお母様のお話を聞きました。わたくしは大切な物を、失いたくないものも、失ってしまったのでしょう…」
「できることなら、わたくしは貴方のことも思い出したい。きっと大切な思い出が沢山ありますもの。どうかお願いいたしますわ。」
「私も執事としてお願いします。お嬢様の記憶を取り戻させてください。」
二人が頭を下げる。
「ちょ、顔上げて!私が銀河ちゃんの記憶を取り戻させて上げたいの!これは我儘!」
「そうですの?」
正直、私は戦うのが怖くなってきた。
魔女は勿論、黒の魔法少女とも戦わなければいけない時が来るかもしれない。
私は覚悟が欲しかった。目標が欲しかった。
魔法少女になって軽い気持ちで戦ってきた。
憧れに近づくために戦いもしたが、それだけでは足りなかった。
守りたいもの、取り戻したいもの。
私は自分のためではなく、誰かの為にしか戦えないのかもしれない。
だからその言葉を聞いて私は強く拳を握り締めた。
「任せてよ銀河ちゃん、セバスさん、きっと取り戻して見せる。銀河ちゃんの記憶を!」
覚悟は決めた後は進むだけだ。




