26話 記憶、憧れ、穢れ
「また気絶しちゃったなぁ」
意識が戻りベッドから辺りを見渡す
「誰もいないや」
「──────おい───どう─だ!」
何やら下が騒がしい
ベッドからゆっくりと身を起こし、下の階に脚を運ぶ
「どうしたの?騒がしいけど…」
「本当に覚えていないのですか!お嬢様!」
セバスさんが銀河ちゃんに問いかけ
京香ちゃんが銀河ちゃんの方を掴み、俯き、膝をついていた
銀河ちゃんがゆっくりとこちらを見る
「えっと…いきなりで申し訳ないのですが…貴方もわたくしのお友達でしたの?」
「…え?」
「ごめんなさい、わたくし、どうやら、記憶喪失と言うものになったらしいですわ」
いきなりのカミングアウトに思考が停止する
「本当に何も…覚えてないの…?」
こくりと首を縦に振る
「セバスから話を少し聞きましたが…魔法少女?の友人だとお聞きしましたわ」
「…セバスさんのことは覚えているの?」
「それは勿論ですわ、小さな頃からお世話になっていますもの」
「私達だけ覚えていないの?」
「そうですわ」
「なぁ…本当に覚えてねぇのかよ…」
震える声で京香ちゃんが縋る様に聞く
「一緒に勝負もしたし、魔女とも戦ったじゃねぇかよ…」
「勝負については、していたかもしれませんが…、そもそも、わたくしは、魔法少女にはなれませんことよ…?」
この一言に、なんだかとても嫌な予感がした
銀河ちゃんが本当に大切な物を忘れているのではないかと…
恐る恐る口を開く
「銀河ちゃんは…自分のお母さんのこと覚えてる?」
「お母様?私が生まれてすぐに亡くなられたと聞いていますが…」
セバスさんが苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる
「………………………そっか、ごめんね変なこと聞いて」
「いえ、別に大丈夫ですわ?」
「ごめん!ちょっと離れるね!京香ちゃん、ちょっとこっち来て」
なんとか気丈に振る舞い、京香ちゃんの手を引き、別室に入る
「ねぇ京香ちゃん、私が寝てた間に何があったの?」
「あ、あぁ実はな─」
京香ちゃんは少し息を整えてから喋りだした
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「状況的に黒の魔法少女が銀河の記憶を消しやがったんだ!」
「何でそんなことを…てかどうやって…」
自分の憧れが友達をあんな目に合わせて感情がぐちゃぐちゃになる
「本当に黒の魔法少女がやったの?もし銀河ちゃんの記憶を消したとして、きっと何か理由があるはず、私の憧れは無意味にそんなことしない…」
バン!
「黒の魔法少女はお前を殺そうとしたんだろ?!そんなやつをお前は庇うのか?!銀河をあんな目に合わせてよ?!」
京香ちゃんは私の胸ぐらを掴み慟哭する
「その通りだよ、京香ちゃん…」
京香ちゃんはゆっくりと手を離す
「悪りぃ…お前に当たっても仕方ないよな…」
「いや、私の言い方も悪かったよ、私だって銀河ちゃんをあんな目に会わせたのは許せない…けどやっぱり何か理由があると思うんだ」
「どうしてそう思うんだよ?」
「昔私は魔女に襲われて、黒の魔法少女に助けてもらった。それに暴食からも助けてもらった…」
「それだけで黒の魔法少女が、無意味にそんなことしないっていいきれるのかよ」
「いやそれだけじゃ分からない、だからさ京香ちゃん」
「なんだ?」
「黒の魔法少女を探そう、直接話を聞くんだ、そして銀河ちゃんの記憶を取り戻すんだ」
銀河ちゃんの記憶を取り戻すために
私の憧れを、記憶を、穢さないために
私は黒の魔法少女を探す




