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アルランティアの日記   作者: 倉門 輝光
人間界
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相変わらず下戸でした


 「俺もさ、履かなきゃって思うんだけどさ、でも手を放すとお前がまた消えそうで怖くて…」と言って、俺の服の端を掴んだまま動かない史朗。 


 仕方ないので一緒に着替えが置いてあるソファまで移動した。片手で俺の服を掴んだままパンツを履こうとする史朗だが、ばっちりアイロンがかけてあって上手く脚が入らず履けないようだ。

 多分、シャノトワ城の洗濯係なんだろうが、こんなにもパンツをパリッと糊付けしてアイロンをかけなくても良いんじゃないのかな。

 

 「アラン、履けない」


 そう言って困ったようにじっと見上げてくる史朗に頷いて、両手が空いている俺がパンツを受け取り、脚が入れやすいように広げ、そして履かせる。

 後から思えば物凄く馬鹿みたいなんだけど、でもこの時は2人とも本当に真剣に取り組んだんだ。 

 

 風魔法で史朗の髪を乾かす。それから2人で癒しの水を飲んで落ち着く。一息ついてから史朗が俺に問う。

 

 「アランは何でそんな格好なの?」 

 

 そう。俺は精霊界で銀河になり宇宙になり、人に戻った時には白い布を身に纏っただけの古代人ぽい格好だった。そしてそのまま人間界に戻って来ていたのだ。

 片側の肩が出ていて、ウエストを紐で結んだ膝上丈のミニスカートスタイルだ。精霊の趣味なのかも知れないが、とっても微妙。

 そして俺はパンツを履いていない。


 とにかく互いにちゃんと服を着ようということなった。

 史朗が「やっぱり手を離すとアランが消えそうで不安だ」と言うので、史朗が服を着る時には俺が史朗のどこかを掴んでいて、俺が服を着る時には史朗が俺のどこかを掴んでいるという方式を採用した。 

 

 俺の荷物はとっくに城に運ばれていて、ここには俺の服はない。なので史朗の着替えを借りて着た。サイズ合わせ魔法が役に立った瞬間だった。

 城に滞在していた史朗だったが、戻ると予告をされていた1〜2週間を目処に、日中は捜査と城、夜は宿で過ごしながら俺の帰還を待っていたそうだ。

 

  着替えた俺達は並んでソファに腰掛けた。史朗は俺の服を掴んだまま、ペタペタと俺の腕や肩を触って幻ではなく実体があると何度も確かめている。


 「本物だな。本当に戻って来たんだな」確かめるように史朗が言う。


 そして「何で3週間もかかったんだ?1〜2週間って言ってたのに随分と長くかかったじゃないか」と問う。 


 俺は精霊界に行ってからの出来事を話した。結構時間をかけて話し、途中で俺が出して飲んでいたスープが3杯目になる頃、「地球がある天の川銀河は、俺命名で「白い楽師銀河」になった」と言うと、「そのネーミングはお前にしては上出来だな」と言って初めて史朗が笑顔を見せた。

 それから更に少し話してから、やっと俺から手を離す事が出来た。


 「でも、そうか、そんなに遠いんだな」と呟いてから、「一旦帰ったら簡単には来られないな…」と黙り込む。

 俺が「どうしたの?」と言うと、「だってさ、お前はこっちに残るのかも知れないんだろ?俺はこっちの人間じゃないからさ、時が来たら帰らなきゃならないけど、そうしたら、もう会えないかもしれないじゃないか」と言った。 

 「そうだね」と言ったまま、俺も何も言葉が出てこなかった。

 しばらくまた無言で過ごした。


 おもむろに史朗が「お前、腹減ってないか?」と言う。

 そう言われてみれば、俺はかれこれ人間界時間で3週間何も食べていない。まあ、精霊界では1〜2日の感覚でしかなかったわけだが。 


 「スープで結構満ちた気はするけど、そういや、ここで夕食を食べてから何も食べてないや」


 「それはダメだな。ちょっと下で何か作ってもらって来るよ。消えないで待ってろ」 


 「え?いいよ、俺も一緒に行くよ。下で何か食べれば良いだろ」 


 俺がそう言うと、史朗が真顔で俺を見てからゆっくりと首を左右に振る。そしてきっぱりと「ダメだ」と言う。

 

 「待ってろ、すぐに持ってくるからさ。とにかくな、お前は消えるなよ」


 そう言って部屋を出て行った。 


 一人になって改めて部屋を見回す。ここで史朗は暗殺者と戦ったんだ。でも、そんな痕跡は残っていないな。むしろ小綺麗になった気がする。改装したのかもな。


 テーブルの上にはバッグがあって、スマホとカメラが無造作に置いてある。戻って来た時の為にか俺のスマホやカメラもこっちに持って来ていたらしい。無限充電にはしてあったが、一応電池を確認する。うん、大丈夫だ、フル充電になっている。


 スマホの画面では時計が12時38分を示している。こっちの時間では今何時くらいなんだろう?

 俺はそっとカーテンを開けて外を見る。暗いが外には人が歩いているから、そんなに遅い時間ではないようだ。宿の1階の飯屋もやっている時間らしい。

 

 俺は変な笑顔を作ってピースをしながら自撮りをしてみる。写る顔はやつれている訳でもなく、まあ元気そうだ。…やたらとキラキラしているのが気になるけど、まあいいか。爺ちゃんに連絡をしようと、動画に切り替えて撮り始める。 


 「爺ちゃん、セバス、奈々恵、皆見てますか?長く行方をくらませてしまって、心配をかけてすみませんでした。史朗に聞いてると思うけど、この前そっちに行くって言った直後にアクシデントがあって、思いがけず精霊界に行っていました。

 あっちでは2日くらいだと思ってたんだけど、3週間が過ぎていたんだよね。ずっと連絡出来なくてごめんなさい。ちゃんと無事に帰って来てるので安心してください。

 ついさっき元の宿に戻って来たんだ。

 えーと、俺は精霊界でご先祖様に会いました。それで…俺はこっちの世界の人間で、小さい時に誘拐されて、その時の事故で時空が歪んで地球に飛ばされたらしいです。その様子を精霊界で見せられました。

 生まれてから誘拐されるまでの様子も見た。俺には両親と祖父母と、姉と妹と弟がいることがわかりました。あ、史朗がもう知らせてるのかもしれないよね。

 でも、俺はまだ家族に会ってなくて、何か実感がありません。

 

 初めてロートリングの家で目を覚ました時の様子も見ました。あの時俺は記憶がなくなっていたんじゃなくて、誘拐犯に連れて来られたと思って怯えてたみたいです。でも、すぐにそうじゃないってわかって安心した様子を見たよ。

 怪我が良くなって俺の部屋に移った時に、カーテンやベッドカバーが俺の…実家の部屋と同じ色だったから、それで「家に帰って来た」って感じたみたいだ。そこから記憶が混ざって上書きもされて色々忘れて行ったっぽい…。

 それで、精霊界には行ったし色々思い出したんだけど、俺は特に何か中身が変わったわけじゃないです。

 何か変わったことは、あ、髪がものすごく長くなって擦り引きそうです。切りたいんだけどさ、切ってもすぐに戻っちゃうんだって。

 この髪が長くなってるのは、神様の力があるからなんだってさ。変だけどさ、俺は神様の一部なんだって…。


 それと、ここは地球とは違う銀河系にあって、とんでもなく遠いことがわかりました。アンドロメダ銀河より遠いです。

 あ、でも方角が違うから、アンドロメダ銀河の方を探ってもわからないよ。

 不思議なんだけど、まるで自分が宇宙になったみたいな体験をしてさ、わかってたけど、宇宙には銀河系とかもう本当に物凄く沢山あるんだよ。同じ空間に幾つもの次元が重なってるし、それが俺たちの宇宙なんだ。

 そして、やっぱりこの宇宙の外は別の宇宙があった。更にその別の宇宙も同時に次元が重なってあって、そういうのが本当に沢山あるのが解ったよ。


 あ、俺途中で地球に行ったんだよ。家を見つけて帰ったんだけど身体が無かったから皆には見えなかったんだと思う。爺ちゃん具合はどう?点滴してたからびっくりした。もう大丈夫だと良いんだけど。心配してます。

 もうちゃんと身体もあるし、今度は見えるように行けるよ。早くそっちに行きたいです」 


 そこまで話していたら史朗が戻って来た。ホカホカのシチューとパン、それと魚料理を持って来たようだ。

 俺は史朗の方を写し、また自分に戻す。


 「史朗が戻って来ました。俺が腹が減ってるからって下に食べ物をもらいに行ってくれたんだ。ちょっとご飯食べます。また後で連絡します」 


 そう言って切ると、史朗がテーブルに料理を並べながら「なんだ、俺が撮るからそのままにしておけば良かったのに」と言う。

 ああ、そうか。でも、もう切っちゃったし。温かい内に食事しちゃうことにすると言い、俺はまず腹を満たすことにした。


 「お前は相変わらずフリードリヒさん達に話す時は甘ったれた話し方になるな」


 笑いながら手を出す史朗にスマホを渡し、多分とても久しぶりと言っていいだろう食事を始める。うん、温かい。胃に固形物が入る感じが「食ってるな」と実感させる。

 今の自分に胃があるのかどうかという点については謎だけど。でも感覚は感じる。…それが体験的な記憶の生み出す感覚なのか、肉体的な現実なのかはちょっと脇に置いておこう。


 「地球に行った時にさ、爺ちゃんが具合悪くて寝込んでたんだよ。医者が来て点滴しててさ、びっくりした。でもその時にね、爺ちゃんの周りに奥さんのシーラさんとか、亡くなった子供達とか本物のフランツとか、みんなが心配そうに寄り添ってたんだ。ああ、爺ちゃんはちゃんと許されて愛されてるんだって思った」 


 「そっか。…気付かなくてもそんな風にそばに居てくれたりするんだな」 


 「うん。ほら、俺も精霊界で曾祖父さんとか、曾曾曾曾祖父さんと会って、いつでも見守ってるって言われたしさ、何ていうか、史朗もきっとお母さん達が見守ってくれてるんじゃないのかな」 


 「…そうかもな。うん、なんかそんな気がするよ。不思議だけど、きっとな、そうなんだろうな」


 「史朗が歌う時に一緒に演奏してるかもしれないよな」


 「それはありそうだな」

 

 そう言いながら、史朗は俺が食事する様子をスマホで何枚か撮る。「元気に飯食ってる所を報告しないとな」と。

 そしてつぶやくように言う。


 「良かったよ。そうやって飯が減っていくのを見て、やっとお前が俺の妄想とか幻覚じゃないんだって思える」 

 

 「史朗…」


 「2週間目までは良かったんだぜ。捜査したり、お前の家族に色々聞かれて話したり、あと王様に呼ばれて王宮で皆でお茶したりさ…。だけど、2週間過ぎても帰って来ないじゃん。言われてた時期が過ぎて3日目位には、皆段々「本当に帰って来るのか?」って悲壮な雰囲気になって来てさ。

 お前が戻って来た夢を何回も見てさ、それで起きるといないだろ。だから、さっきも夢なんじゃないかって思ってさ。まあ、今もだけど信じられなくてさ」


 「そうか…、ごめん。俺もそんなに時間経ってるとは思ってなくて…」


 「お前の家族に会った」


 「あ…うん」


 「皆すごく良い人達だ。安心しろ。そんで、お前は4人兄弟の二番目な。お兄ちゃんだ」


 「うん。精霊界で見た」


 「ああ、そっか。見てるならいいな。さっき下に行った時に、待機中の伝令にお前が戻ってきた事を伝えたから、城に知らせが向かってる。夜が明ける少し前に迎えに来てくれって頼んだから」 


 「そっか…」 


 「多分、間違いなくお父さんとお母さんが来ちゃうね。待ちきれなくてな」


 「そっか…俺どうしたらいいかな」


 「まあ、どうしようもないからな。流れに任せとけば?」


 「…そうだよね、はぁ。緊張するな」 


 「皆すごく心配してた。お前が無事に戻るのをずっと信じて待ってた。お父さんもお祖父さんも…お祖母さんも格好良いし、お母さんはすごく綺麗だ」


 今、お祖母さんも格好良い枠に入れた?


 「妹と弟はすっげえ可愛い。…妹はちょっとはっきりしてるけどな。弟はとにかく可愛いぞ」


 なるほど、妹はちょっとキツい系なのか…。そして弟は小さい時の俺っぽいのかな。


 「あとあの、お姉さんは結婚して別の国にいてさ、お前が帰って来るってんで2週間くらい前に里帰りして来てたんだけどさ、…まあ華やかな美人なんだけど、何ていうか、すごい」 


 「すごい?」 


 「うん。あのね、お前のお祖母さんもすごいんだけどさ、お姉さんはね、すごいです。強い人です。お前が本当に戻って来たのがわかったらまたすぐ来ると思うから、気合を入れておいた方が良いと思うぞ。ちなみに、俺は初対面で斬られそうになりました」 


 「えっ?」 


 ちょっ、姉テレーシア、何をした?


 「お前のお父さんが俺を紹介した途端に『お前が騙りでないという証拠はあるのか!?』って、もう、俺がこんにちはって言う前に剣を首に突きつけられた。ちょっとだけど切れた」 


 「えー」 


 「いや、お前にはやらないと思うよ。でも、そういう人だった。アマゾネスって実在するんだなって思った」


 まじか。


 「殺気が本物だったから俺びっくりしてさ、つい突きつけられた剣を思い切り殴って粉々にしちゃったんだよ。ほら、折るとどっかに飛んだら危ないじゃん。子供もいたし室内だったし。だから一気に粉々にしちゃったの。でも、やっちゃってから「あああ、やべー!」って思ってさ。

 お前のお父さんが『シロウ殿はアルランティアと共に神の鳥に乗っていたのだ。疑う余地などない!』って言ってくれて、乱暴な娘で申し訳ないって謝ってくれてさ。それで『神の鳥に…?』って言って、じっと俺を見てさ。それからお姉さん何て言ったと思う?」


 「何?まさか…中々やるなとか?」


 「当たり!『神の鳥に乗ることを許された方とは存じず、大変失礼を致しました』って、すごく優雅に綺麗なお辞儀で謝罪した直後に『ふふ、中々やるではないか。これは面白い。シロウとやら、気に入りましたよ』って、ニヤッと笑って肩をポンって叩かれた。剣を突きつけられた時より怖かった」


 もしかして、姉テレーシアはお祖母さんに似てるんじゃなくて、脳筋のご先祖様シモーンに似てるんじゃないのか? 

 

 「そしたらさ、お祖母さんも『これが噂の技。見事ですね。どうやったのです?後でわたくしとも手合わせをなさい』って。目が怖くて、アマゾネスのボスっているんだなって思った」 


 あ、やっぱりお祖母さんにも似てるのか。え?もしかしてお祖母さんもシモーンの血筋?親戚からの嫁入りだったのか?


 「まあ、その2人以外は普通の上品な貴族だから大丈夫だけどな。ただまあ、城の鍛錬場に連れて行かれて本気で斬りかかられて回避しながら、仕方ないから武器を破壊するってのを何回もやらされてさ、『お前のそれは魔法ではないのか?』って言われて、俺は魔法が使えませんって言ったら、余計に興味を持ったみたいでさ。どうやるのかっていうから、石割り教えたんだよ」


 「ああ、定番ね」  


 「うん。そっから騎士団も巻き込んで石割りにハマっちゃってさ。それだけじゃなくてガレオ村で岩を割った遠当てを見たっていう騎士が余計なことを言うからさ…」



 「何?」 


 「やって御覧なさいって言い出してさ。「どこに向かって?」って言ったら、領地にある鉱山に連れてかれてさ、俺は働いたよ。穴も掘ったし邪魔な岩も破壊したし」


 「…大変だったな」


 「まあ、日当は貰ったけどな」


 「あ、バイトになったんだ」 


 「うん。最初は技を見せるだけだったんだけどさ、途中から一緒に見てた現場監督から指示が入ってさ。まんま、鉱山の仕事になったんだよ。他にも重い物運んだり高い所の物直したりさ、まあいい運動になったぜ。

 お前の家族も一家総出で見物に来ててさ、楽しかったみたいだ。騎士団の連中も発奮したみたいだし、役に立って日当も貰えてwin-winさ」


 「そうか。何だろう、なんか、俺の家族がごめんって気が…」


 「大丈夫だ。そうだ、これ、お前の家族の写真な」

 

 「写真?」


 「このお前のダウン着てるのがお父さんで、こっちの美人がお母さんな。あとこの動画は、ほら、皆で代わる代わるお前のダウン着てる動画な」


 「…何で俺のダウンを着る?」


 「お前がこんなに大きい服を着る程に成長したのかって感動してた。試しにお父さんに着てみろって皆が言ってさ、着たら『私よりも大きいではないか…』って涙ぐんで、そんで、ダウンが軽くて暖かくて『この様な衣服があるとは』って、また感動しててさ。…皆自分用に欲しいみたいだぞ。領の特産品にしたいっぽい。アランが詳しい作り方知ってるって言っといたから、多分お前が戻ったらプロジェクト始動」


 「えー」


 「あと、自動車に乗りたいんだって。それもお前が作り方を知ってるって言っておいた。王様も乗りたいって言ってたから、よろしくな」


 「ええー」


 そりゃ、知ってるけどさ。 


 「そうだ、城にシャワー付けると良いんじゃないかなって思ったんだよね。お前作れるよな?」


 「作れるけど…」


 「良かった。それも皆期待してるから、よろしくな」


 「史朗…」  


 他にも色々と聞かれたそうで、わからない事は全部俺が戻ればわかると言ってあるんだそうだ。俺は、これから自分がとても忙しくなる事を知った。 


 「でさ、これ飲め」 


 「なにこれ?」


 「酒だ。甘くしてあるから飲め。そんで迎えが来るまで少し寝ろ。多分、城に行ったらしばらく休むどころじゃないからな」 


 ああ、そうか。明け方に迎えが来て、城に着いたらすぐに皆に会って、そしてきっと落ち着かない時間を過ごすことになるんだ。それに、問題の黒幕の捜査の話もしなければならない。のんびりはしてられない。シャワーとか自動車とかは置いておいても、確かに今のうちに少し休んでおいた方が良い。


 「んじゃ、ちょっと飲むよ。でも、寝られるかな?」


 「少し緊張を解いてさ、横になるだけでも良いんだよ。飲みながら話そうぜ。途中で寝ちゃっても良いからな」 


 「うん」

 

 俺はジュース割りの酒をぐいっ…とは飲まず、毎度ながらちびりちびりと舐めるように飲んだ。そして史朗に、俺が精霊界で教えられた捜査するべき人物や場所の話をし、史朗達が調べた情報も聞いて摺り合わせ、まとめていった。


 ちびりちびりと酒を舐めてはいたものの、自分は精霊界で熱い熱い光によって燃やし尽くされ消失し、そこからまた純粋な光によって再生されたのだと自覚していたので、実は史朗の知っている俺とは色々と変わってしまっているのではないかと思った。 「酒に弱い所も変わったんじゃないか」と思っていた。

 だから史朗が以前のように甘くした薄い酒をくれた時に、これは効かないんじゃないかと思った。 

 だがしかし…だ。話が進み今後の計画を立てているうちに、心配する必要もなく俺は眠くなって来た。

 史朗が「本当にお前は酒に弱いな」と笑う。そうか、こういう所は変わってないんだな。


 ちゃんと起こすから休んでおけと、眠気に抵抗するなと言われ横になって、そして俺はすぐに眠りに落ちた。 

 

 

 

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