未成年確定
地球語(英語/日本語)での会話(聞き取り)を「」で、グラウギリスの言葉での会話を『』で表記してます。
「まあ、そう落ち込むな」
打ちひしがれ項垂れて歩いている俺の肩をポンポンと叩きながら史朗が言った。
遡ること1時間と少し前、俺達はシャノトワ領グワエウの街に到着し、転送門から出て来る馬車や荷車や徒歩の人達に混じって南門の前に出来ていた列に並んだ。
この街の名前「グワエウ」とは「風」という意味だ。風の街か、なんかロマンチックだな。
この南門はニルスに乗って花を撒いた時に最初に飛んだ所だ。獣人や虫人も少なくはなかったので、俺達も虫人と肌のきれいなドワーフのコンビとして、さほど違和感なく列に入ることが出来た。
入国管理と言うか入街管理というか、まあイミグレだな。
レーンが3つに分かれていて、貴族や金持ちと思しき人達のVIPレーン、戻って来た住人用のレーン、そして外からやって来た者達用のレーン。
俺達は外から来た観光庶民として並んでいた。史朗はいつもの格好で、俺はまとめた髪をニット帽に入れてゴーグルをつけ、マスクの上に更にストールを巻いてフードを被っている。完全に不審者だが、虫人のふりだから素肌を見せないようにしているんだ。
史朗が前後に並んでいる人達とおしゃべりをしているなと思っていたら、果物を売りに来たという農家の人達に売り物のマンゴーの様な実をもらって食べている。俺は見ているだけ。
『美味いな。どの辺で店を出すんだい?買いに行くよ。宣伝もするぜ』と言い、俺に「買ったらお前も食えよ、美味いぞ」と言う。
後ろに並んでいた商人が俺に『あんたは何の虫人なんだい?初めて見る虫人だね。…もしかしたら蟻人、アンティアンか?』と聞いてきたので、俺は頷いた。
『本当かい?!こりゃ縁起がいいな。そうか、アンティアンか。いやあ、随分とまた目がピカピカだね』と言われた。
商人は七色に反射している俺の目が気になったらしく『その目はずっとそのままなのかい?もし脱皮する時にその目も殻みたいに取れるんだったら、売ってもらいたいもんだが』と、脱皮はするのか、するなら周期はどのくらいかと言い出し、危うく予約を入れられそうになった。
史朗が『こいつは脱皮はしないぜ』と言うと、マンゴーもどきをくれた農家の人が『目を取られたら大変だかんな。気をつけろ、断れよ!』と大きな声で言って笑った。そうやって笑い飛ばして商人の気を削いでくれたらしい。
商人も苦笑して『いや、無理には取らねえよ。脅かしたら悪かったな。しかしきれいな目だねえ。お貴族様達が欲しがりそうだ』と言う。その商人に『なあ、魔石って売れるのか?相場はどのくらいなんだ?』なんて聞いている史朗。
アンティアンと聞いて周囲が多少ザワザワしたものの、悪い絡みをして来る者もなく、まあ、退屈もせずにのんびりと順番を待っていたわけだ。
30分程並んで、俺達の番が来て兵士達に身分証の提示を求められ、俺は王様と領主さまから貰った許可証を出した。すると、兵士達が少し緊張した様子になり互いに目配せをし、その場で少し待つように言われた、敬語で。
すぐに彼らの上司にあたると思われる中年のヒゲ男がやって来て『こちらにどうぞ』と俺達を誘導し、『この許可証をお持ちでしたら並ばずともお入り頂けましたぞ』と言った。そうか、国のトップがくれた許可証だもんね。
ヒゲ上司に連れて行かれたのは貴族用のVIP受付だった。そのまま通れるのだが、毎回王様発行の許可証を出すのも大変だろうからと、皆が持っているカード型の身分証を発行してくれるらしい。
iPadみたいな板に手を乗せるようにと言われ手を置く。情報を読み取って記録するようだ。静脈認証みたいなものなのか?
当然魔法でやっているんだろうと思ったが、係の人が説明をしてくれ、このiPadの様な板が生き物なのだと知った。え?これが生き物なの?
「魔法生物か」と史朗がつぶやく。「良く物語にある犯罪履歴の有無を調べたりするやつだろうな。生き物を使ってるってのは予想外だな」
魔法生物iPad君は触れた者の情報を読み取り、その情報をコピーした物を排出するのだそうだ。精度が非常に高く間違うことはまず有り得ないのだと自慢された。
少し待つとハガキサイズの銀色のカードがキラキラしながら出て来る。プリンターから印刷をした用紙が出て来るような感じ。口から出してるのか尻から出てるのか。尻だとしたら排泄物じゃないのか?それとも情報を受け継いだ子供とか?
『これに息を吹きかけて名前を言って下さい。それで登録完了になります。あ、大丈夫ですよ、排泄物じゃないし。まあ子供みたいなもんでしょうかね。と言っても、別に成長もしませんから安心してください』
割と多くの人に聞かれる「良くある質問」の回答を先んじて教えてくれる係の人。
特殊な育て方をしない限りは成長はしないので問題ないという。このカードも生きているってことだよね。どういう生き物なんだろう。俺は銀色の魔法生物iPad君miniをそっとナデナデしてみる。キラッと光った気がするのは気のせいだろう。
言われたように息を吹きかけて名前を言う。史朗はさっさと手続きが完了して、俺を待っている。俺は何度もやり直し中。
「フルネームで言わないとダメなんじゃないのか?俺はジュセ・シロウで一発でいけたぞ。ジュセが姓でシロウが名だって、ちゃんと登録されてるってよ」
「言ってるんだよ、ちゃんとフランツ・アラン・ロートリングって」
俺を案内してきたヒゲ上司や、受付の人達が怪訝そうにしている。持って来た物は間違いなく王の発行した許可証であり、許可されている本人以外が持つと警告を表す色が出るのだそうで、それが出ていないので許可されている本人達である事は間違いがないと。
それなのにカードの登録が完了しないと言うことは、本名を名乗っていないという判断になるようだ。
参ったな。
史朗は既に完了しているので、嘘偽りはないと信頼度100%となっていて、その史朗が『こいつも本名をちゃんと言ってるはずなんですけどね』と説明しているので、更に困惑しているらしい。
もう7回くらいやっているが依然として登録が完了しない。俺は軽く苛立ち、いっその事いい加減な名前を言ってやろうかなんて思い始めていた。
ジラールとかカドクラコウキと言おうかと思った瞬間、ふと癒しの泉での事を思い出し、少々自棄になりながら「アルランティア!」と言ってみた。
その瞬間に登録完了の音がして、受付の人達に呆れたように『最初から本名言ってくださいよ』と言われる。そして『はい、アルランティアさん、15歳ですね』とカードを渡された。
は?
『いいえ。私、18歳。15歳違う』と、今回は史朗に通訳を任せると言っていたにもかかわらず、自分で言ってしまった。
『ああ、アンティアンの数え方と違うんですかね?でもほら、手を置いた時に生まれてからの時間が出るんですよ。ここですが、ほぼ170400時間ですよね。これは我々の社会では15歳7ヶ月24日で、あなたはまだ未成年ですから、この国では酒を飲んだりすると違法ですよ。気をつけてくださいね』
はあ?
『いいえ…、私は大人…』
そう言いながら俺は史朗を見た。史朗はゴーグルとマスクの下の俺の表情を察したようで、自分のカードを見ながら『俺は?俺は何歳になってます?』と受付に聞いている。
『シロウさんは20歳ですね。成人ですからお酒も飲めますよ』
『…この国の成人って何歳でしたっけ?』
『16歳ですよ。え?知らないんですか?』
『え、ええ、まあ、ちょっと外国に長くいたもんで』
『ああ、確かに国によって成人年齢が違う事もありますもんね』
…と、こういうやり取りがあっての今。
「俺が未成年だと?そんなバカな…」
「まあ、そう落ち込むな」 と、冒頭に戻るわけだ。
外門を通過し打ちひしがれながらトボトボと歩いて内門に着いた。そこで再度カードを出してチェックを受けて街に入る。
そこでも俺は、『あと2ヶ月と4日で成人ですね。アンティアンは成人すると幼生体から変態するとかってあるんですか?』とフレンドリーに問われ、力無く黙って左右に首を振った。俺は脱皮もしなければ変態もしません。
ダブルチェックを通過し街に入った俺達は、まずは中央のイシルディン神殿に向かう事にした。言葉の実をもらうためだ。先日ニルスで飛んだ時に上空から見ていたので位置は大体把握している。
賑わいを見せる往来を眺め歩きながら俺は史朗に愚痴る。
「何でいちいち年齢なんか記録するんだろ。こういう世界ってさ、あんまり年齢なんて重視しないんじゃないかな。大体さ、魔法生物でチェックしてるみたいだけど、精度が悪いんじゃないの?
だって、史朗の20歳はわかるけど、なんで俺が15歳なわけ?地球年齢を変換するなら…悔しいけど、更に子供だけど、14歳が正しいはずじゃん。絶対いい加減だよ」
「ああ」
「史朗、聞いてないだろ」
「あ、ごめん。あそこの屋台で売ってる串焼きみたいなのがさ、美味そうじゃね?」
「…美味そうだけど」
「神殿行って言葉の実を貰ったら、服買って小銭作って、そんであれ食おうぜ」
「まあ、食うけど」
「もう、いいじゃん。どっちにしたってお前は未成年なんだよ。しょうがないよ。酒も飲めないし娼館も入れないんだよ」
「…史朗、面白がってないか?」
「ゴーグルとマスクの下で膨れてる顔が目に浮かぶぜ。どうせ酒なんてジュースで割っても舐めてるだけで飲めないだろ。いいか、そんなに拘るのは、お前がお子様だからだぞ。大人なんだったら「この世界ではそれもいいよね」位にしてろ。ほら、行くぞ」
くそう、ニヤニヤしやがって。そりゃ確かに俺がお子様なのかもしれないけど。
でもさ、あんないい加減なチェックで良いのか?あの魔法生物iPad君はリストラして別のを入れた方がいいんじゃないのか?170400時間なんて地球時間にしたら19歳だ。丸々1年も誤差が出てるじゃないか。
マスクとストールの下で口を尖らせながら上を向くと、飛行物体が目に入った。
「史朗、上見て。竜が飛んでるぞ」
「ホントだ。あれは、ニルスを追って来たのと同じやつだな」
「兵士が乗ってるんだろうな。何かあったのかな?」
「さあなぁ。あ、着いたぞ。見ろよ、すっげえ立派な神殿だぞ」
でかいな。上空から見ても立派な作りなのはわかったが、地上で見るとまた違って見える。
白くてきれいだ。掃除が行き届いているのか、それとも魔法が掛かっているのか。建築されてからの時間の経過が全く読めないピカピカの建物だ。
神殿の中央には高い塔がある。先日上空から見たから知っているが、その天辺には天に向かって両手を伸ばしている女性が2人と、彼女達を支えるようにしている、まるで天使のような翼のある数人の像がある。
両手を伸ばす姿が神を求める人々の思いを形にしたような像だなと思ったっけ。
数段の階段を上がった入り口の大きな扉の両脇には、太い柱が建っていて文字が刻んである。俺は読めないけど、何となくグラウギリスに暮らす種族の名が彫られている気がした。
アーチ型の美しい装飾がされた大きな扉を左右に押し開けて中に入る。俺も史朗も片手ですっと開けたんだが、多分他の人達には重い扉なんだろうとは思う。
分厚いし高さは6〜7メートルはあるし、何よりも中に入った時に、扉の両側にいた男性2人が『あの人達片手で開けてなかったか?』『俺も見た。ドワーフと虫人すごいな!』と言っているのが聞こえて来たから。
どうやら、扉が重くて女性や子供、お年寄り等は開けるのが大変なため、扉の脇の紐を引いてベルを鳴らすと扉係の彼らが内側から開けて入れてやるらしい。専用の係を置かなければならない程に重い扉を、何でずっと使ってるんだろう?何か意味があるのかな?
「バイト先の候補をひとつ見つけた気がする」と史朗が言った。確かに雇ってもらえそうではある。
神殿の中は広い礼拝堂になっていて、天井まで軽く25メートル位はありそうだ。音もよく反響する。床には柔らかそうな布が敷いてありクッションが並んでいて、皆そこに座って祈ったり瞑想をしている。
かなり広い空間なので、もしも入り口が広かったら、羽を広げなければニルスもなんとか入れそうだなと思ってから、慌てて打ち消した。そして『呼んでない、呼んでないぞ。来るな、来るな』と心の中で繰り返した。
うっかり考えると来てしまうから危ない。今来られたらせっかくの観光がぶち壊しになる。…というか、神殿そのものがぶち壊しになるかもしれない。
「まあ、でっかい教会って感じだな。やっぱどこもこんな風なんだな」
「そうだね。ロウソク…じゃないみたいだけど、祈りと合わせて火を灯すのも似ているし」
礼拝堂の一角に、祈りを込めた火を灯す台がある。地球の教会では少額を箱に入れてロウソクを取り火を灯して置いていく。ここでは小さな石を使うみたいだ。
神官と思われる人が、火を灯したい人が選んだ石に何かを言って火を灯す。そして、本人が祈りをつぶやいて台の上の好きな場所に置くらしい。火の色が様々だ。これは選ぶ石によるものなのか、祈る人によるものなのか。
「魔法でやってんだろうな。あの石は魔石なんじゃないのかな。俺達の持ってる魔石に火を灯したらどうなるんだろうな」
「んー、まずサイズが違うからでっかい火になってびっくりされるかな。その前に出した時点でびっくりされると思う」
「まあな。あのちっこい石はどのくらい燃えてるんだろうな。魔石って燃料なんかな?」
ぶつぶつ言っている史朗は放っておいて、礼拝堂の中を更に観察する。祈りの場所という事もあるんだろうが、大体どこに行ってもこういう場所は和やかで、不思議と人がにこやかに親切になる。みんなが自分の中の善意を意識するからなのだろうか。
「なあ、アラン、こっちの神殿は併設のカフェとかないのかな?」
「カフェ?」
「俺さ、好きなんだよね、教会の併設のカフェ。安くて素朴なメニューが多いじゃん。そんで、おばあちゃん達が働いてたりさ、知り合いみたいに話しかけてくれたりさ。なんだかホッとするんだよな」
「そっか。俺は利用したことないからわからないけど、そうなんだ」
「今度あったら行ってみな。いいぞ。俺的ベストはイギリスのバースかな。あとグラスゴー」
「史朗、イギリスも行ったの?」
「子供の時に母親とな。バースで食った豆のスープが今でも忘れられないよ。味が美味いってより、素朴で温かいんだよ。外が雨で寒かったからさ、おばあちゃんウエイトレスにゆっくりして行きなさいって言われて、余計にそう感じたのかもしれないけど、心に美味いっていうかさ」
そうか、心に美味しいスープか。そう考えると俺はいつも味も心にも美味しいスープを飲んでた気がする。皆どうしてるかなあ。早く帰りたい気がして来た。もう3日、いや1週間なのか、爺ちゃんに会ってない。
「おい、この絵見ろよ」と史朗が言う。「これ、ほぼお前だな」
「…ほんとだ」
壁に掛かっている大きな絵。銀の甲冑をまとい、剣を上に高く掲げている男が描いてある。頭の上には王冠が浮いていて上からは光が差し全身が光を放っているようだ。そして一段下では沢山の種族が傅いている。そして、銀の甲冑の男は俺に良く似ていた。
「素顔で街に来なくて良かったよ」
「だな、こんな絵が普通に人々の目に触れているんだったら、また違う意味で目立ってしまうところだったな」
「…ねえ、俺ってさ、本当にアルランティアなのかな?」
俺はモヤモヤしていた事を口にしてみる。
「ああ、そうだろうな。…え?何?今何か言ったか?」
史朗の制限はまだ生きてたらしい。麗しの森を離れたから解除されたかと期待したのに。
でも今、無意識に反射的に「そうだろうな」って言ったね。意識して俺の出生についての話しをしようとするとストップがかかるってわけだから、史朗はもう俺が誰なのか気付いているって事だ。
史朗の反応を思い返せば大体見えて来てるが、でも多分まだ何かを決定的に話さないようになってるんだろう。
俺だって本当は、何で俺が14歳じゃなくて15歳になるのか、もうわかってる。でも、それを口に出して認めてしまうと、俺はロートリングのアランではいられなくなる。それは、もう地球には帰れないかもしれないって事だ。
「何でもないよ。言葉の実はどこでもらえるんだろう?」
「あそこの人に聞いてみるよ、ちょっと待ってろ」
そう言って史朗は司祭の様な人に聞きに行った。史朗が話している間、俺は座って天井画を眺めていた。ゴーグル越しだから色は正確にはわからないけど、この世界の歴史が描かれているのはわかった。
白ひげの神様に人の姿を与えられた精霊イシルディンが、戦士の姿になりこの世界の争いを収め全ての種族を統治し君臨するまでの絵物語だ。
壁の絵と同じで、天井画にもとても沢山の種族が描かれている。竜もいる。角がある人もいる。翼がある人もいる。獣人や虫人、あれは人魚か。え、魚人も?神の鳥もいるな。あれが初代なのかな。
この神殿が建てられたのがイシルディン神が地上にまだ居た頃だったなら、きっと周囲にいる皆の姿も当時のままに正確に描かれているんだろう。
色んな肌の色の人達や、小さな妖精さんも描かれている。妖精さんのそばにいるのはエルフか。狼もいるな。え?池の畔に小さく描かれているのってジラール?
「おい、アラン。ダメだ。今切らしてるんだって。2〜3日待ってればもらえるらしい」
びっくりした。史朗か。
「天井画見てたのか。随分集中してたな。あのさ、言葉の実が届いたら連絡くれるって。宿を紹介してくれたんだ。そこに行って神殿の紹介だって言えば安く泊まれるってさ」
「親切だな。じゃあ取り敢えずはそこに泊まりながら連絡待ちか」
「だな。もう少し神殿の中を見るか?」
「いや、もう良いよ。またどうせ来るんだし。遅くならないうちに服屋に行こうぜ」
「そうだな。すぐに宿に行くかって聞かれたから、服を買いたいって言ったらオススメの店を教えてくれたよ。南西エリアで質の良い服を置いてる所だってさ。その店にいけば他の店に行く必要がないくらいだって。絶対ここに行って下さいねって、なんか必死に勧めてくれたよ」
「激烈オススメじゃん」
南西エリアか。上空から見た小綺麗な商業施設っぽい所かな。
親切に教えてくれた司祭に会釈をして神殿を後にした俺達は、司祭が会釈をしてからすぐに足早に扉の向こうに消えた事には気付かなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<アラン達が通った後の南門で起こっていた騒ぎ>
『おい!外門からの伝達だ。アンティアンとドワーフの2人連れが来たら足止めをしておいてくれ!』
『え?その2人ならもう街に入りましたよ。何か問題がありましたか?!』
『どうやらアンティアンの方が行方不明中のご領主様の御子息の可能性が高いらしい。外門で通してしまってから記録の書き出しをしていた者が気付いたそうだ。両親の欄にご領主ご夫妻のお名前が表示されて、家系の欄にイシルディン・シャノトワと出たらしい。外門で大騒ぎになっているんだ』
『ご領主様の御子息はアンティアンなんですか?!』
『いや、姿を隠して目立たぬようにアンティアンの扮装をしてると思われる』
『アンティアンの扮装、むっちゃ目立ってましたけど』
『…まあ、そうだが。最初に名前と、そして年齢を18と偽ろうとしていたらしいから、やはり身を隠しての帰還なのかもしれないんだ。どちらにしろ、もう街に入ったと報告をしなければならない。お前は外門に伝えてくれ。俺は飛竜で報告に行く!』
『了解!』




