神の鳥ニルス、人の街の上を飛ぶ
「ニルス、楽しそうに飛んでるな」
史朗がニルスの頭と翼の間から地上を撮りながら笑っている。
望遠にしないと翼と頭が入っちゃうと言いながら、「綺麗だから空と後ろ頭だけも撮っておくか」と広角でニルスの頭部を後ろから撮る。
確かに、陽に当たって白金に輝く羽毛の頭と、空に透けるラベンダーアメジストの様な透き通った紫の角がとても綺麗だ。
この世界の空は青い。太陽も地球の太陽とほぼ同じだと思う。ただ、紫外線はちょっと強いんじゃないだろうか。気温はそれ程高くなく日差しもやわらかいのに、村人達はみんな結構な日焼けをしていたし、森を出てから史朗が随分日焼けしている。
不思議だけど、俺は全然変わらない。髪がやたらと伸びるだけだ。
「史朗、日焼けしたなあ」
「そうなんだよ。妖精たちにもらったピンクの石は美肌じゃなかったじゃん、俺のお肌はもうボロボロだよ」
あれ?美肌は大事だって言ってたけど、本当にお肌気にしてたの?
「もしかしてそれで髭をはやしっぱなしなの?」 俺は聞いてみた。
「ああ、ちょっとそれもある。肌荒れの時は髭はやしといた方が状態がよくなるって聞いたことあるからな」
本当かどうかわからないけどさ、と言いながら顎をさする史朗。
「ちょっと、手出して」
俺は史朗に両手を出してもらい、手のひらに聖なる水を少し出した。
「何?」
「聖なる水、顔につけてみたら?日焼けに良いんじゃないかな?なんとなく」
「おお、どれ」
パシャパシャと顔につけると言うか、肌に叩き込むようにつける史朗。1分くらいパンパンしている。
「化粧水はさ、肌に叩き込むんだよ。パンパン!ってな」
「そうなの?」
「そうだよ。そんでからクリームの油分で蓋をするとしっとりが逃げなくてモチモチ肌になる」
「そうなの?!」
よく知ってるなと言うと、大学の時にバイトで化粧品を売ってたことがあると言う。
「バイトは飲食系が多かったけどな。金タコでたこ焼き焼いたり売ったり、カフェでウエイターしたり、レストランでは厨房で皿洗いしてるうちに料理も作らされるようになったり。
あとは、英語教室で子供に会話教えたり、化粧品売ったり、工場で働いたり、内装とか造園なんかもしたし、やれることは何でもやったなあ」と笑う。
こっちに来る前に辞めた会社は商社だったそうだ。
「結構大きい会社で、入社した時はおばあちゃんが喜んだんだよなあ。すぐ死んじゃったけど」
そうか。そのすぐ後にお祖父さんも亡くなったって言ってた。嬉しい事と悲しい事が立て続けだったんだな。俺はなんだかしんみりしてしまった。
「そんな顔すんな。有名な会社に入れたのは、最後に出来た良い祖母孝行だったと思ってるんだからさ。ま、結局辞めたけどな。
バイトで俺が売ってた化粧品、おばあちゃんも使ってくれてさ、モチ肌になったって、いつもこんな風にほっぺたを触っ…あれ?」
史朗が急に、何かを確かめるように自分の顔をペタペタ触り始めた。
「どしたの?」
「すべすべだ。さっきまでの日焼けで乾燥したカサカサ肌じゃないぞ。すべモチだ。ちょ、ちょっと触ってみて」
そう言って俺に顔に触れという。どれどれ。
「おおおおお、すごい、モチモチだ!」
「日焼けは?日焼けは白くはなってないか?」
「そう言われると微妙に明るくなったような?ああ、でも、気のせいかも」
「よし、俺は今日から朝晩、聖なる水を化粧水として使うぞ!効果が出るようだったら…」
「出るようだったら?」
「街で金貨が使えなかった時は、聖なる水を化粧水として売ろう」
えええええええ?
「い、良いのかな?だって、聖なる水だよ?」
「良いだろう。飲んでも問題がない、むしろ健康にいい水だぞ。化粧水として売って何が悪い?」
「でも、聖なる…」
チッチッチと舌を鳴らして史朗が言う。
「アランオリジナルの美肌化粧水、だ」
「えええ…」
「もしも、どうしようもなくなったら、だよ。だからさ、その時はちょっと香りつけて、ラベンダーか何か。な」
「…はい、店長」
「ところで、今どの辺飛んでるのかな?」
「ああ、そうだね。『ニルス、今どこか』」
『欠片よ、麗しの森を過ぎた。すぐ人の街見える』
「え!マジ?史朗、喋ってるうちに麗しの森過ぎちゃったって。もうすぐ街だって」
「やっぱニルス速いな。20分ちょいくらいだろ。あ、あれか?向こうに小さくポチっと見える、白い城壁みたいなのに囲まれた丸!」
「そう、俺が見たのもあれだ。わー、近付いちゃうのドキドキするな」
いつの間にか麗しの森を通り過ぎてしまったので、俺達は麗しの森の周りに、ご領主様の見張り番が居たのかどうかも全然見ていなかった。
おばばは俺が自由に出入りできるはずだと言っていたが、実際はどうなんだろうと思っていたので、事前にチェックしたかったんだが仕方ない。
街に近付いて来て、街を囲んでいる白い壁がすごく高いのと、その壁にある門と思われる所に、兵士のような人々や出入りする人達や馬車や動物がいるのが見えてきた。
白い壁の外、500メートルくらい手前には、大神達が立ち止まって引き返した地点にあったのと同じ様な、小さな建物が門のように2つ建っている。その間から立派な馬車や馬に乗った人が急に出て来たので、あれがスザナが言っていた魔法の転移ポイントなんだなと思った。
「あれが魔法の転移ポイントみたいだね」
「お〜、あの何もない所から急に人が出てくる感じ、『スターゲイト』を思い出すな」と史朗が笑う。
「俺も、今それ思った」
「やっぱゴアウルド出てくんじゃね?」
「あはは!てか、状況的に巨大な鳥で急に上空に現れた俺達がゴアウルドっぽいよね」
そう俺が言うと、史朗の笑いが消えた。
「…やばいな、それ」
「え?」
「…ほら、ご覧。人々が…逃げ惑っているよ」
真顔で下前方を指差す史朗。
「あ!まずい!!『ニルス!もっと上飛ぶ、上飛ぶ!』」
史朗の言ったように人々が逃げ惑っていたのだ。
そうだよ。いきなり空に巨大な鳥が現れて、街に近づくにつれて下降して来たら、みんな捕食されると思って大パニック必至だ。当たり前だ。
わー!ごめん!どうしよう。村人達がニルスに慣れてたからうっかりした。考えてみれば俺達だって、最初にニルスに掴まれた時はパニックになったじゃないか。
「やばい、どうしよう。みなさーん!俺達はゴアウルドではありませーん!凶悪な宇宙人ではありませんよー!」
「通じえねえよ!アラン、花だ!花を撒け!良い香りの癒しの花を撒き散らせ!!」
「そうか!敵意が無いのを伝えて、安心してもらうんだね!よし!『ニルス、同じところ、もう一度飛ぶ。私、花を撒く!』」
そう言うと、ピィイイイイイイィィィィィッ!と鳴いて、ニルスが言った。
『欠片、祝福の花を撒く。イシルディン神、予言した。ニルスは神の鳥、手伝う!』
は?
「アラン!ほら、早く!みんな怯えてるぞ!!」
「あ、はい!」
ニルスがくるりと旋回して、もう一度同じ場所を飛ぶ。俺はパニックになっている人達の上に、妖精が生まれるあの花、花びらの端がラメのようにキラキラ光る花と、新しく生まれたピンクの花を上空から撒いて、風で皆の所に届けた。もちろん良い香りと共に。
上から 降ってくる無数の花と、それぞれの手の中や髪に留まって良い香りをさせる美しい花に驚きながら、少しだけ落ち着いて空を見上げる人々。
後に、それを撒いていたのが白く輝く大きな鳥に乗った、白く輝く髪の美しい若者であったと、人々は証言した…らしい。隣にはドワーフが居たと言う者も多かったそうだ。
空から届けられる花に触れ、身体の痛みが消えたとか、目が見えるようになったとか、頭に毛が生えたとか…、とにかく様々な幸運がやって来たと、花と共に祝福の言葉を受けたのだと、多くの者達が嬉しそうに語ったとの事だ。
撒いている俺は、祝福の言葉ではなく、ひたすら「俺達はゴアウルドのような凶悪な宇宙人ではない」と叫び続けてたわけだが、この時から、この街にひとつの方言が生まれたのだそうで、『ゴアウー』というのが最新の祝福の力が強い挨拶と広まって行った…らしい。
後日、それを知った時に史朗が激しく笑い転げたのは言うまでもない。
門の外の騒ぎを聞きつけた兵士たちが、何事だと出てくる頃には、当然だがニルスはとっくにその場を通り越して飛び去っていた。俺が撒いた花は、一部風に乗って門の中、つまり街の中にも降り注いだ。
驚いて取ろうと手を伸ばした人々は、上空を飛び去る大きな輝く鳥を見た。急に影が差して暗くなったと上を見た者達は、大きな輝く鳥に乗った人影を見た。
街に入って来た者達が興奮して口々に『神の鳥だ!』『イシルディン神が乗っていた!』と言い、街の中にいた人達も『私もみたわ!』『俺も見たぞ!』と騒ぎ出す。
『長く姿を隠していた神が、伝説の通り神の鳥に乗って我々の元に戻って来た!』
その噂は、あっという間に街中に広まっていった…らしい。
地上でそんなことになっているとは知らない俺達は、一度高く上がって街の上空から全体の様子を見ることにした。街の中央に一番大きな広場がある事を確認し、その近くに神殿と思われる高く尖った白い建物を見つけた。そこを目印に東西南北の大体の位置関係を把握する。
この街はきれいな円形で、白い高い壁にぐるりと囲まれている。東西南北にそれぞれ門があり、その門から中央の広場に向かってメインの道がつながっていて、上から見ると大きな十字に見える。
そして、中央の広場からは、白い壁に向かって放射線状にいくつもの道が縦横に広がっていた。俺は凱旋門のてっぺんからパリの街を見下ろした感じに似ていると思った。
結構大きい街だ。測ってないからわからないけど、上から見た感覚だとストックホルム位あるんじゃないかな。そこまでじゃないにしてもパリよりは全然大きいと思う。公爵領の首都って感じなのかな。
中央から北と思われる方角は、少し小高くなっていて大きなきれいな建物が多くなっていく。北西にかけてアッパークラスの皆さんが暮らす地域なんだろう。
西から南西の方は、こちらも小綺麗な建物や公園、そして商業施設のようなものが立ち並んでいる。
東側、南側は街の壁の外にも畑などがあり、街の中にも緑が多く家畜を飼っているようでもある。小さな家が沢山あって町という感じだ。建物も少し小さいが、こちらにも中央付近は商業施設が並んでいるようだ。
全体に、中央から壁の方に向かって、建物が減っていく。これはまあ、どこでもそういうものかな。
俺達が滞在するとしたら東か南の中央近くだろうな。いい宿があるといいな。
東から南の辺りをニルスが高度を下げて飛ぶ。みんなニルスを見てキャーキャー言って隠れようと走り回っている。やっぱり怖くて驚いてるんだよね。ごめんね。
家畜はのんびりしてるみたいだけど、人々はパニックだ。遠くを飛行機が飛んでると思っていたら、だんだん降りて来ちゃったみたいなものだもんね。
何でニルスが降下したかと言うと、『欠片、早く花を撒く』だそうだ。
俺はニルスに旋回してもらって花を沢山撒いた。子供たちが多かったので、無意識にいつも爺ちゃんが口に入れてくれる飴を複製していたらしく、俺は花と一緒に飴も降らせていた。
「俺達はゴアウルドではありませーん」と言いながら花と飴を降らせる。
人々が、上から降ってくるのが花と飴であると気付いて、さっきとは違う様子で空に手を伸ばしキャーキャー言い出した。必死な様子だったり、笑っていたり、スカートやエプロンを広げて受け止めようとしていたり。とにかく怖くないと思ってくれたなら良かった。
俺達が手を振ると、気付いて手を振ってくれた子供達がいて、それを見て他の子供たちも、大人も手を振ってくれた。
「パニックになるほど怖かっただろうに、結構立ち直りが早いな」
写真を撮りながら史朗が言う。
「村の人達もそうだけどさ、なんか純朴ってか、たくましいよね」
「やっぱさ、花撒くのは良いよな。今の飴も良かったぞ」
そう言ってグッジョブ!と親指を立てる史朗のお肌が、何だかさっきよりも綺麗になっているように見えた。
「肌、綺麗になってるぞ」というと、まじか?!と両手で自分の顔を触って、「よし!これで俺達は食いっぱぐれる事はない!」とバンザイをしている。
俺は「アランオリジナル美肌化粧水もいいけど、花と飴を売るのも良いかもな」と密かに思った。
「あのさ、街の中の一角にだけじゃなく、全体に花を撒こう」と史朗が言い出した。
「皆喜んでただろ?でも花が降らなかった地域の人達はどう思う?神の鳥が飛んだのに一部にだけしか花が降らなかったって、気になると思わない?」
なるほど。さすが史朗、気遣いの人だ。
「全体に万遍なく行こうよ。ほんの数分だろ?出し惜しみしないでおこうぜ」
「了解。『ニルス、街全部に花を撒く。全部ゆっくり飛ぶ』」
ニルスはその通りに万遍なく街全体を飛んだ。北の方を除いて。
何故、北だけ避けるのかと思ったが、どうやら最後にじっくり行くプランらしい。
『欠片よ、これから行く方に、この街の長の巣ある。そこに沢山花を撒く。イシルディン神、言った』
街の長の巣って、ご領主様の城ってことだよな。そこに祝福の花を沢山撒けと神様が言ってたんだね。よし。
すぐに見えて来た、中央から北の丘に建っている広い土地の立派な建物。あれが城か。
「あれがご領主様の城らしいよ」
「へえ、…なんか、お前んちの方がでかくない?」
「それは…、まあ、そうだね。前庭に大きな池があるな。後庭には森もある。離れみたいな建物も幾つかあるし、道も舗装されてて素敵な造りじゃないか」
「そうだな。趣味の良い感じだよな」
ニルスが急にピィイイイイイイィィィィィッ!と高く鳴いた。それを聞いてなのか、城から人が出て来た。
「あ、ほら、花撒け!庭とかベランダに人がいっぱい出て来てるぞ!」
「おう!」
俺はまた沢山の花を撒いた。お城の人達は誰も逃げ隠れしようとしていない。ニルスも低くゆっくりと旋回してるからたっぷり花を撒ける。風を使って広い範囲に、城の敷地中に舞い降りるように撒いてみた。
庭に綺麗な格好をした子供が出て来た。ここの子供だろうか。お付きの人がそばにいるみたいだから、公爵家の坊っちゃんなのかもしれない。金髪で青い目をしている。小学生くらいの可愛い男の子だ。
口を開けてぽかんと見上げているので、俺はその子にも花と一緒に爺ちゃんの飴を降らせた。俺が手を振ると、ぴょんぴょん跳びながら両手を振っている。
綺麗なドレスの女の子も慌てて出て来た。男の子が何か話しかけている。似ているから姉弟かな。男の子がこっちを指差して何か言っている。彼女にも飴をあげた方がいいかな。いや、女の子はきっとお花が良いな。
俺は妖精の花とピンクの花の他に、彼女の上に地球のピンクの薔薇を降らせて、ひとつ髪に乗せてみた。史朗に学んだ「女性は花が嬉しい」を実行してみたんだが、薔薇を両手で持って泣きそうな顔をしている。
「…飴の方が良かったかな」と俺がつぶやくと、史朗が「薔薇で正解。見ろ、両手で包むようにして胸の所で大事そうにしてるだろ。あれは嬉しいんだよ」と言う。信じよう。
ふと見ると、お城の高い所のベランダに女の人達が出て来た。真ん中にいる金髪の女の人の着ているドレスがキラキラしてる。身分が高い人なのかな。こっちにも花を撒いていると、彼女が両手を上げて何かを叫んでいる。何だろう?聞こえないけど、何だか必死な様子だ。
「あの人、何かすごく必死に叫んでないか?」 史朗も気付いたらしい。
ニルスがまた旋回する。もう一度花を撒きながら飛ぶ。さっきよりも低くゆっくり飛ぶから、女の人の顔が見えた。あれ?この人見たことある。どこで見たんだっけな…。女優の誰かに似てるのかな?
陽の光に透けて目がスミレ色に光った。泣いてるみたいだ。
俺は、妖精が生まれる花とピンクの花と一緒にスミレの花を撒いた。風に乗せてあの女の人の周りを舞うように沢山降らせた。スミレの良い香りが癒してくれますように。あの女の人が泣いているのは何故だかとても胸が痛い気がする。
ニルスがすっと高く上がってご領主様のお城を離れる。振り向くと、彼女はまだ叫んでいた。ベランダから乗り出して手を伸ばしている。そんなに乗り出すと危ないよ。落ちちゃうよ。俺は手を振って風を送り、彼女が落ちないように押し戻した。
ベランダの中央に押し戻された女の人は、その場に座り込んで手を伸ばして泣いている。他の人達も一緒にこっちを見ていて、やはり泣いている人もいる。俺も胸が詰まってくる。
遠ざかる城を振り返り、俺は命の水を一瞬だけ小雨のように降らせた。あの人達が、あの女の人が悲しくなくなりますように。どうか、笑っていられるようになりますように。
「何か、悲しいことがあったのかな。それで神様が花を撒いてやれって言ったのかな?なんかこっちまで泣きそうになっちゃったよ」
「城の人達って、みんなニルスが飛んで来ても怖がらなかったよな。むしろ外に出て来てた」
「わかった!ご領主様のご先祖が神様だからさ、ニルスが神の鳥だってわかったんじゃないかな。だから怖くないって」
「ああ、そうかもな。なあ、あの泣いてた女の人さ、目の色がお前と同じだったんじゃない?」
「それだ!」
思い出した。いつだったか夢の中で見た人だ。
俺は史朗に夢の話をした。すっかり忘れてたけど、男の人と子供を探す話しをしていた女の人だ。俺と同じ目の色は珍しいと思った記憶がある。お城に居たってことは、ご領主様の奥方様?
「神の鳥に乗ってる俺達に、行方不明の子供を探してくれって叫んでたのかも知れないね。それだったら、あれだけ必死なのもわかる気がする」
そう俺が言うと、史朗がしばらく黙ってしまい、少ししてから「あのさ…」と言って、また黙ってしまった。
「何?どしたの?」
「いや、ちょっと…、あれだ、あの、コンソメスープくれ」
「あ、はい。コップ出して。俺もちょっと飲む。腹減って来たね」
「そうだな…」
それからスープを飲みながら、史朗はずっと黙ったままだった。




