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アルランティアの日記   作者: 倉門 輝光
異世界文化交流
41/117

人助け


 俺達は広大な平野に立っていた。 

 

 風吹く草原。遥か遠くには山が見えている。


 この約1ヶ月、ずっと森の中で暮らしていた俺達にとって、何とも遠くまで見通しの良い風景。さわやかな光景のはずが、何故かちょっと心細い気がしてしまう。 

 

 ずっと足場を()んで崖を上ってきた。最初に見えていた300メートル程の崖を登り切ると、そこには少し平な地面があり、その先にまた高い崖が(そび)えていた。その崖を登って俺達はここに立っている。 

 

 下を見れば懐かしい森が眼下に果てしなく広がっていて、その向こうには竜が飛んでいく山が見えている。


 垂直移動で来ただけで、そんなにすごく遠くに来てしまったわけではない。戻る気なら10分もかからずに元の場所に戻れてしまう。なのに、目に入る光景が違うだけで、随分と心細く感じる不思議。戻らずに進むという意識がそう感じさせているのだろうか。 


 「この先には未知の世界が広がっているのだ」なんて口に出して言ってみる。 


 「こんな何もない草原って久しぶりだな。なんだろう?道に迷った感がハンパないんですが」と史朗が言う。 


 「あ、やっぱそう思う?」 


 「ああ、なんか気持ちよく(ひら)けてるけどさ、どっちに行ったらいいのよって思っちゃうよな。まあ、あっちに行くんだけどさ」と崖を背にして12時の方向を指差す史朗。


 そう、そっちに村や町があったから。行く方向は決まっているんだ。

 なんか、木が恋しいねと言いながら、俺達は軽く跳びながら崖を背にして進み始めた。


 進んでも進んでも行く手には見渡す限り特に何もない。センサーを働かせると見えない草の中に生き物が潜んでいるのはわかる。でも何故かとても静かに感じてしまう。森は結構騒がしかったんだなと思う。

 

 「こんな風が吹いている所にクソキノコとか出たらやだよな」と史朗が恐ろしいことを言う。


 「やめてよ。笑えないよ」 


 いないはずだ。もしあいつが胞子を飛ばしていたら、どこかにキノコが生えているはずだ。だが無い。大丈夫だ。

 

 天気は良い。この世界に来てから雨にあったのは命の水川の下流に移動した時だけだった。温暖な気候なんだろうと思う。それでも川が流れているのだから、山の方は天気が変わりやすく雨が降ることも多いんだろう。多分、そこは地球と変わらない。


 そこまで考えていて気付いた。あの広大な、どこまで続いているかもわからない森が、たったそれだけの水だけであんなに生き生きとしているのか?水を蓄える木なのか?いやそういう感じじゃなかった。もしかしたら、定期的にまとまった雨が降るんじゃないのか? 


 「史朗、もしかしたらだけどさ、この後、集中的に雨が降る時があるかもしれない」


 「え?雨季みたいな?」 


 「わからない。今の大気の感じだと、そこまでの雨季が来るとは思えないけど、でも多分雨がまとまって降る時期はあると思うんだ。じゃないとさ、森がもっと枯れてるはずだし、ここもこんなに草が伸びてないと思う」 


 「そか。それまでに木を見つけたいな」


 「やっぱ、木だね」


 「おお、俺達もう木がないとダメな身体になってしまったのかもしれないな」 


 本当は木じゃなくて村とか町に着くように早く移動すればいいんだよ。わかってる。でも今はまだ木の方が現実的に感じてしまう。雨が降ったら木の下で雨宿りと思ってしまうんだ。

 もしもの為に、雨具を直ぐに出せるようにしておこうと、立ち止まってザックの中の雨具の位置を取り出しやすい上の方に移動させる。


 「アランさ、雨を(さえぎ)って足元も濡れない魔法ないの?」


 「え?」


 「透明な車みたいなさ、ドームっていうか、透明な丸の中に入ってさ、それで移動したら雨とか関係ないんじゃない?」


 「横着だな。だが、その発想は悪くない」


 「だろ?横着が魔法を進化させるんだよ」史朗が笑う。


 史朗は魔法のセンスがある。いや、俺が思考し過ぎるのか。

 せっかくコーヒー豆の焙煎とか大ザリガニのボイルで脱したと思っていたのに、またもや「雨といえば雨具!」という頭になっていた。

 そう言うと、「アランは常識的なんだよな。まともなんだよ。あの奈々恵さんがそばに居たからさ、一生懸命自分が常識的であろうとしてたんだろ?」と言われた。確かにそうだ。


 「この世界はある意味で奈々恵さんの得意分野なんだからさ、奈々恵さんのエッセンスを取り入れてみればいいんじゃないか?」


 「そうか、奈々恵のエッセンスか。まだちょっと抵抗があるけど、でもそうだな。じゃ、雨が降ったらやってみようか。一応雨具は取り出しやすくしておいてさ」


 「おお、楽しみにしてるぜ」



 あ、そうだ。俺が竜鷲に攫われたのって爺ちゃんたちに報告してないな。あと森を出たのも伝えてない。ちょっとこの風景と一緒に伝えておこう。 


 「史朗、爺ちゃんにさ、森を出た事を報告しておこうかなと思う。(はぐ)れてた時って俺写真撮ってないからさ」


 「ああ、そうだな。俺もあの時は写真どころじゃなかったからな。今朝のメテオ練習までずっと撮ってなかった」


 「ね。心配してるよね」


 「ついでにさここから見た森の全景も見せよう」 

 

 俺と史朗はそれぞれにカメラを出して、好きなように撮り始めた。


 撮りながらお互いを写して、撮られている方がメッセージを話す。

 俺は大きな鳥に攫われた事と、上空から見た風景の事、人がいるみたいだからそっちに行ってみる事を話した。大きい光が守ってくれているらしいこと。それと、妖精さん達に貰った珠やモハメドのお守りを見せた。

 史朗も逸れていた時の事や、女の子妖精達にもらった小石とか、お見送りの妖精さん達が如何に美しかったかを話した。  

 

 「なんか、史朗だけモテてたんだよ」と俺が言うと、史朗が自撮りで割り込んで来て「人生であんなに女の子に贈り物貰ったのは始めてでした〜」とにやける。

 「いいもんね。俺はあんなにちっこくない女の子にモテるもんね。いや、そうじゃなくて、キャロが居れば良いんだもんね!」と言って、俺も史朗と自分を交互に写した。 


 「とにかく、俺達は元気です。また報告しまーす」 


 そう言って撮影を終えた。  


 

 それから5日、俺達は雨にも降られずに平原を旅した。

 食料はかなり沢山持っていたが、それでも狩りのチャンスがあれば獲る事を忘れなかった。と言っても、ちょっと大きめの兎が出てくるくらいで、あとはネズミのような動物がたまに走って逃げる程度。狐のような物もいない。これと言って魔物にも大型の動物にも出会わなかった。 

 この大地は、言ってみれば森を流れる命の水川にぐるりと取り囲まれた位置にある。魔物たちはこっち側には居ないのかも知れない。そういう土地だからなのか、兎もそれ程には大きくはない。森では鹿サイズだったのに、この辺では中型犬くらいしかない。 


 「兎が小さいね」


 「そうだな。ま、小さくはないんだろうけど、でも小さいよな」


 「この辺は瘴気がないからかな」 


 「そうかもな。瘴気がないのは川の恩恵なんだろ?有り難いよな、命の水川。こっから拝んでおこうっと」 


 そう言って史朗が森の方に向かって拝んだ。その時だ。急に雷が鳴ってにわかに空が暗くかき曇り大粒の雨が降ってきた。


 「うわ!来た!」と言って、俺と史朗は慌ててザックから雨具を出して着用する。雨宿りをする場所はどこにも無いので、そのままその場で立ち止まっていた。雨だけではなく風も強くなって来て、嵐の様になってきた。目を開けているのも厳しい。スノーゴーグルを装着してフードを深くかぶる。


 「アラン!雨よけだ!」

 

 史朗に言われて思い出し、空気の膜を自分たちの周りに張った。身体を浮かして足元まで全部をくるんだ。史朗が言っていた、透明の丸の中に入ったような状態だ。 


 「おおお、快適だな」 


 完全に雨風をシャットアウトしている。外は嵐だけど家の中にいるみたいな感じ。 


 「いやー急に来たな。参った、参った」


 史朗が雨具を脱ぐ。

 そうかと思うと命の水を水筒からついで俺に飲ませる。「俺達浮いてるけど、こういうの疲れないのか?大丈夫か?」と俺を気遣う。 


 「それがさ、全然平気なんだよね」と俺が答える。本当に平気。どんだけ何をしても全く平気なんだ。やっぱり光合成イメージのお陰だと思う。


 「だったら良いけどさ。まあ、疲れたなと思ったら、また雨具着るから無理するなよ」

 

 俺はふと、浮いているなら、史朗が言ってたようにこのまま移動しても良いなと思った。そして嵐の中を透明な丸に入ったまま移動を始めた。外は嵐だけど透明丸は雨や風の影響も受けない。

 史朗が「快適過ぎる!お前、もはやキャンピングカーと言っても差し支えはないぞ!!」と笑う。スピードも普通の車の感じで、まあ80kmくらいは出てるのかな。なんだ、これで移動すれば楽で速いじゃないか。


 ふふふ。キャンピングカー良いよね。もう、テントも要らないかも知れないね。俺はこの透明丸が自慢で胸を張った。そして、この透明丸に大ザリガニとかビッグバードを入れていけば、地球に楽に連れて帰れるかも知れないなとホクホクした。


 3時間程そのまま移動していた。史朗は居眠りをしている。透明丸の外は相変わらず激しい嵐だ。

 こんな嵐が定期的に来るんだろうか。その時、あの兎達は草の中で小さくなってやり過ごすんだろうか。そんな事をぼんやり考えながら移動をしていると、俺のセンサーに大型の何かが引っかかった。5kmくらい先に何かがいる。


 「史朗、この先11時の方向に何かがいるみたいだ」 史朗を起こす。 


 「…え?動物?まさか魔物じゃないだろうな?」 


 「いや、魔物じゃない。ちょっと待ってて」 俺は意識をその方向に向け探ってみた。


 「史朗、人かもしれない。あと動物がいる。感覚としては…だけど、まるで馬車がはまって動けなくなっている人達、みたいな」 


 「え、それは助けに行った方が良いんじゃないか?」 


 「だよね」


 「うん。違うかも知れなくてもさ、一応確認して手助けが必要そうだったら助けようよ。何でもないならそれでいいし」 


 「じゃ、行くか。でもさ、モハメドみたいな虫の人かもしれない。俺達、ゴーグル戦隊になっておいた方がいいんじゃないかな?」


 「ああ、そうだな。じゃ、準備しようぜ」 


 俺はスピードアップして、その方向に近づきながら、ザックから帽子とマスクとゴーグルを出して装着する。史朗も準備オッケーだ。この姿は何となくモハメドを思い出す。俺達は「誇り高きモハメドに恥じない行動を!」と合言葉のように言った。


 透明丸は自動操縦のように、俺が他のことをしていても行きたい所に進んでくれる。程なくセンサーに引っかかった場所に到着した。

 少し離れた所に止まって様子をうかがう。雨がひどくてはっきり見えないが、四角い大きな物の前に馬っぽいものがいて藻掻(もが)いていて、その周りを3人くらいの人型の生き物がウロウロしている。びしょ濡れで車輪を持ち上げようとしたり、馬車を後ろから押したりしているようだ。   


 「やっぱり馬車がはまって動けなくなっている感じだな」

 

 「とにかく手を貸そう。史朗と俺、別々になっても濡れないようにするから。ただ浮くのは無しになっちゃうけど」


 「おお、全然OKだ。とにかく行こうぜ!」 


 俺達はいつもどおりにジャンプして近付いて行った。彼らはまだ俺達に気付いていない。いきなり跳んで現れたら驚くだろうと思ったので、手前で止まって「おーい!大丈夫か?!」と声を掛けてみた。 


 あ、普通の人だ。おじさんとおばさん、そして13〜4歳の女の子だ。家族かな。


 こっちに気付いてギョッとして、おじさんがおばさんと女の子を庇うように動いた。

 まあ、そうだよね。 


 こっちに向かって何かを言っているけど、雨音が強くてはっきり聞こえないしわからない。様子をみたところでは、多分「なんだお前たちは」「近寄るな」「あっちへ行け」ってとこだと思う。

 

 俺達がどんなに「手助けに来ただけで安全ですよ」と思っていても、または、そう言葉が通じたとしても、知らない連中をホイホイ信じるなんてあるわけがない。というか、警戒するのが正解。こっちの治安はわからないが、この普通の反応を見る限りでは地球とそう変わらないんだろう。

 てか、おじさん、何も武器持って無くて大丈夫なの?逆に心配だよ。

 

 おじさんが2人を庇いながら少しずつ後ろに後ずさって行く。丁度いい。馬は暴れているけど、脚は大丈夫そうだ。馬車の前輪の片方が深いぬかるみにはまって抜けなくなっているようだ。


 3人が馬車から離れてくれたので、俺と史朗は馬車に近付いて一緒にはまっている方の車輪を持ち上げた。あれ?軽いじゃん。なんだ、やっぱり俺達には軽いんだ。1人でも十分だったね。

 簡単に持ち上がったので、馬を引き倒してしまわないように、史朗が馬を誘導してそのままそっと平らな所に移動させた。それを見て唖然としていた3人だったが、馬車が無事ならもう大丈夫だろう。 


 お話したい気もしたけど、彼らの様子的に長居は無用だと思ったので、片手を上げて「じゃあね」と言って、その場を立ち去ることにした。ま、雨音でじゃあねは聞こえてないと思うけどね。 


 彼らから見えない所まで離れた。そしてまた透明丸に入る。この場所に来たことでわかったのは、この半径5km以内に村があるらしいということ。


 「近くに村があるっぽいぞ」


 「おお、いよいよだな。行ってみるか」


 「そうだな。あの人達のおかげで、こっちの人が普通の人間だってわかったし」


 「サイズも普通だったな」


 「だね。良かった」 


 「小さいって言われなくて済むな」


 「…大事だよね」 



 土砂降りだった雨が弱まって空が明るくなってきた。

 広い平野に大きな虹がかかる。


 「うわ、綺麗だな」


 「なんか幸先良い気がするな」


 不思議だ。虹が出て雨が上がると、辺り一帯が綺麗に洗い流されて浄化されたみたいに感じる。

 完全に雨がやんだので透明丸から出て、村のある方に向かって進む。泥濘(ぬかる)んでるから透明丸に入っていた方が良かったかと思ったが、どうせ瞬間高圧洗浄で綺麗になっちゃうんだし、いいか。

 それに、村に近いなら他にも人が歩いているかもしれない。浮いてるよりは普通に移動していた方が怪しくはないだろう。まだこちらの人族の普通がわからないから、これからはちょっと人目というものを意識しなければならない。

 

 俺達が進んでいると、さっきの馬車がいた。あれ?まだいたのか。 

 少し距離を取りながら通り過ぎようとすると、御者席からあのおじさんが降りて来て、俺達に向かって何かを言いながら大きく手を振っている。何だろう?何かまだ困っているのか? 


 「俺達を呼んでるっぽいぞ」


 「まだ何か困ってるのかな」

 

 「行ってみるか」


 「そうだね」 


 さっきの馬車の持ち上げ作業でもわかるが、どうやら俺達はやっぱり強いらしい。気を抜いてはいけないが、俺達の方があんまり怖がる必要はないと思う。 


 馬車の方にゆっくり近づくと、おじさんが笑顔になって走ってくる。あ、転んだ。馬車から慌てておばさんが出てくる。女の子には中に居なさいって言ってるみたいだ。

 俺達がジャンプして一気に近づくと驚いていたが、おじさんを助け起こして、泥まみれになっているのを魔法で綺麗にすると、警戒とは違う驚きに変わったようだった。 

 

 おじさんがしきりに「ハンノンレ」と言っている。 


 あれ?俺、この言葉知ってる。


 「何か言ってるな」と史朗が言う。


 「あのね、ありがとうって言ってる」


 「え?アラン、わかるの?何語?」


 「何語かはわからないけど、ハンノンレが、ありがとうって意味なのはわかる」


 「なんだそれ。天才すげえな」 



 史朗が感心しながら、おじさんに「大した事じゃないですよ」と言って手を胸の前で振っている。この動きは万国というか万世界共通なんだろうか?なんか通じているっぽい。


 娘であろう女の子も出て来た。皆さっきまで雨の中にいたからびしょ濡れだ。俺はおじさんと彼女たちを、改めて瞬間高圧洗浄で綺麗にして水分も飛ばし、そして温風で温めてあげた。驚きながら喜んでるようだ。


 あれ?こっちの人は魔法使わないの? 


 おじさんが一生懸命俺達に話しかける。史朗がなんて言ってるんだと言う。「本当に助かった。ありがとう。村に行くなら一緒に行こう。お礼がしたい」と言っている。意味はわかるんだけど、返事をしようとするとなんて言えば良いのか言葉が出てこない。


 史朗がうんうんと頷いている。おじさん達が笑顔になって馬車に乗れと言うが、俺達はそれは丁寧に断って、馬車と並走して跳びながら移動することにした。

 跳んでる俺達に、御者席のおじさんが「あんたらアンティアンなんだろ?初めて見たけどよく跳ぶなあ、さすがだな」と言って笑っている。


 アンティアンってなんだろう?史朗に通訳すると、「あれじゃないか?俺達いまゴーグル戦隊だからさ、モハメドの種族だと思われてるんじゃないのか?」と言う。ああ、そうか。なるほどね。というか、アンティアンを初めて見て、よく跳んでさすがだと言ってるという事は、人は跳ばないんだね。 


 馬車と一緒に草原を跳びながら、自分が蟻というよりはバッタになったような気がした。馬車の小窓を開けておばさんと娘さんがニコニコ見ている。馬の速度と合わせて軽々とポーンと跳ぶのが面白いらしい。俺達の後ろから木の風呂桶がフワフワと着いてくるのも指差して笑っている。


 史朗が急に馬車から離れて違う方向に跳んでいった。何かと思ったら、花を抱えて戻って来て、それをおばさんと娘さんに差し出した。2人が嬉しそうだ。

 そうか、史朗はこういう事が出来る男なのか。だから妖精さんの女の子達にもモテてたんだな。すごいな、史朗。 


 「史朗、すごいな。女性に花を贈るなんて俺には出来ない」

 

 「俺さ、子供の頃に母親がよく泣いててさ、その辺の花を引っこ抜いて来ては渡してたんだよ。そうすると母親が笑うからさ。ずっとそうやってたから癖みたいなもんだな。女の人はさ、何だか花をもらうと嬉しいらしいじゃん」 


 なるほどね。そういや俺も奈々恵とか厨房のサリー達に、子供の頃に良く庭の花をあげてたな。そういう感じか。


 「よし、今度から俺もやろう」


 「アランはそんな事しなくてもニッコリ笑ってやれば十分だろ。花なんか渡したら偉いことになるぞ、やめとけ」


 「なんで?」


 「花の争奪戦で戦争勃発だ。平和の為にお前は特別な人以外には花を渡すな」


 …なんてことを話している間に村が見えてきた。


 

 いよいよ、始めての異世界文化交流だ。 



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