その2
夕食後。目に涙を溜めながら、天神川に貰った小袋の中味を食べていた。
クッキーは典型的なプレーンな味で、食べ終わっても、まだ袋の中からその甘い残り香が漂ってきた。
そして、感想として山城はこう呟いた。
「うまい。うまいがのどが渇くな」
山城は冷蔵庫の中を覘き、ある事に気が付いた。
「炭酸系のが無いじゃないか」
そして、近くの交差点の向かいにあるコンビニへひとっ走り。
しかし。
「あら山城クン、奇遇ね」
「知立・・・何の用だ」
「運動会の駆け足の待機状態みたいになってるって事は・・・何か用事があるのね」
「ええ。あなたになんか構ってられない用事が」
淡々と話す山城。
そして、知立は白衣のポケットを弄った。
「じゃあ、ここで射撃といきましょうかね」
「いきなり銃は馬鹿らし過ぎます!」
「そうね。わたしも、そこまで馬鹿じゃないもの」
山城は安堵したが、知立の前だ。気を抜いていられない。
「瑞穂は何処へ行ったんですか。一日中探しても居ないんですよ」
「そりゃあそうよねぇ」
知立は、何時もの不敵な笑みを浮かべこう言った。
「だって、私達が誘拐したんですもの」
盛大なカミングアウトに腰を抜かしそうになった山城。しかし。
鋭利電気の株価が下がろうが、日本の技術レベルが下がろうが知ったことじゃない。
さぁ、瑞穂のために。
天神川や出羽、瑞穂の知り合いのために。
そして、自分のために。
立ち上がって。
立ち向かって。
何度だって。
何度だって。
力強く。
一歩踏み出した。
そして、声を張り上げた。
「知立ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううう!!」




