その1
日付が変わっても、一向に帰ってくる気配のない瑞穂。
今日も探しに出るかとソファから立ち上がったとき、玄関から呼び出しチャイムが聞こえた。
「瑞穂か!?」
一抹の希望を抱いた山城だったが、すぐに打ち消された。
しかし。別ベクトルで驚かされることとなったのだ。
「ごめんなさい、山城クン・・・ハンカチの柄、悪かったよね・・・」
天神川若菜が来たのである。
別に謝る事でもないのに、と山城はとっさに返した。
「これ、お詫びのしるしに・・・」
と、山城は天神川から小袋を受け取った。その小袋の中には・・・
「うおっ、手作りクッキー!ひゃっほい!」
小袋を天に掲げ優越感に浸る平凡な少年。
「あはは、すごく喜んでもらえてよかった。昨日はずっとあんな感じだったし・・・」
「意中であろうが無かろうが、女の子のお手製のプレゼントは男子は誰でも喜びますよ!!」
これほどに無く顔を紅潮させた天神川。
天神川は、自分の中のトリガーは外れたような感じになり、こんな提案を山城に持ちかけた。
「あ・・・あのさ、名前でよんでもらっても・・・いい?」
「若菜・・・でいいのか?」
淡々と若菜の要望に応える山城。
そして、ひゃっと声を上げへたれこんだ天神川。
「おーい天神川さん、大丈夫ですかー」
(もどってるしっ!)
しかし、何とも言えぬ暖かさに包まれていた天神川は、そのまま眠りに就いた・・・。




