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第二話 王都で旅支度と規格外の錬金術



 国王との謁見を終えたあと。


 リリスは。


 専属護衛となったリーナと共に王城を出た。


「まずは装備ですね」


「うん」


「これから冒険者として活動するつもりなら、最低限の装備は揃えておいた方がいいでしょう」


 隣を歩く。


 赤髪の美少女騎士。


 リーナ・ヴァルセイン。


 二十歳。


 リリスより一歳年下。


 鮮やかな赤髪を高い位置で結んだポニーテールが。


 歩くたびに揺れている。


「リーナって二十歳なんだよね?」


「はい」


「私より一つ下なんだ」


「リリス様は二十一歳でしたね」


「様はいらないよ」


「しかし、私はあなたの専属護衛騎士です」


「じゃあ命令」


「……何でしょう?」


「リリスって呼んで」


「そういうところで勇者の権限を使うのですか?」


「駄目?」


 リーナが。


 少し困ったように眉を寄せる。


「……分かりました、リリス」


「うん」


「その代わり、私のこともリーナで構いません」


「最初からそのつもりだった」


「でしょうね」


 勝気そうな顔で言いながらも。


 リーナは。


 少し笑っていた。


◇◇◇


 王城を出る。


 目の前には。


 巨大な王都が広がっていた。


「……すごい」


 石畳の大通り。


 三階。


 四階建ての建物。


 行き交う馬車。


 露店。


 商人。


 武装した冒険者。


 獣人。


 長い耳を持つエルフ。


 ローブ姿の魔法使い。


 さらに。


 頭上には。


 魔導機関らしきものを搭載した小型飛行船まで飛んでいる。


「これが五百年後……」


「五百年?」


「……なんでもない」


「?」


 まだ。


 エルシアから聞いたことを。


 どこまで話すべきか決めていない。


「武具屋はこちらです」


「駆け出し向け?」


「はい。新人冒険者に人気の店です。値段が手頃な割に品質も安定しています」


「じゃあそこがいい」


 まだ。


 この世界の物価も。


 装備の相場も分からない。


 最初は。


 普通の装備から始める。


◇◇◇


「いらっしゃい!」


 武具屋へ入る。


 壁には。


 剣。


 槍。


 斧。


 弓。


 盾。


 棚には。


 革鎧。


 金属鎧。


 籠手。


 脚甲。


 様々な装備が並んでいた。


「……楽しい」


「まだ入っただけですよ?」


「こういう店好き」


「分かりやすいですね」


 まずは。


 武器。


「剣を使いますか?」


「うん。最初は剣で」


「なら」


 リーナが。


 一本の直剣を手に取った。


 派手な装飾はない。


 実用性を優先した。


 頑丈そうな剣。


「鉄製です。駆け出し用ですが、きちんと手入れすれば十分使えます」


「《鑑定》」


━━━━━━━━━━


《鉄の剣》


品質:良質


分類:片手剣


━━━━━━━━━━


「これにする」


「即決ですね」


「最初だし」


「良い判断だと思います」


 続いて。


 防具。


 丈夫な黒灰色の服。


 黒いズボン。


 その上から。


 茶褐色の革鎧一式。


 革胸当て。


 肩当て。


 籠手。


 腰当て。


 脚甲。


 革ブーツ。


「動きやすい」


 リリスが。


 身体を軽く捻る。


「重くないし」


「軽装ですからね。駆け出し冒険者の定番です」


「見た目も好き」


 黒灰色。


 黒。


 茶褐色。


 落ち着いた色合いで。


 全体がまとまっている。


 腰には。


 鉄の剣。


「どう?」


 リリスが。


 リーナへ向き直る。


「似合っています」


「ほんと?」


「はい」


 リーナが。


 少しだけ視線を逸らす。


「……かなり」


「ありがとう」


「そこで素直に喜ばれると困るのですが」


「なんで?」


「なんでもありません!」


◇◇◇


 次は。


 服屋。


 普段着。


 外出着。


 部屋着。


 着替え。


 下着。


 靴。


 ブーツ。


 靴下。


 タオル。


 その他。


 生活に必要そうなものを。


 まとめて購入する。


「こんなに買うんですか?」


「《インベントリ》があるから」


「確かに荷物にはなりませんね」


「あとこれ」


 リリスが。


 布製品の棚を見る。


「布マスク?」


「うん」


 白。


 黒。


 紺。


 灰色。


 色違いで。


 十枚。


「好きなのですか?」


「なんとなく落ち着く」


「そういうものですか」


「そういうもの」


 購入品は。


 次々と《インベントリ》へ収納した。


◇◇◇


 さらに。


 道具屋。


「こちらが《冒険者セット》です」


 リーナが。


 大きな鞄を指差す。


「新人冒険者が旅を始める際に必要な基本用品がまとめられています」


「便利そう」


 火起こし道具。


 小型ナイフ。


 ロープ。


 食器。


 布。


 簡単な補修用品。


 その他。


 野外活動用の小物。


「買う」


「でしょうね」


 さらに。


 簡易テント。


 寝袋。


 水袋。


 ランタン。


 予備の油。


 携帯調理器具。


 応急手当用品。


 保存食。


 その他。


 必要になりそうな物を。


 一通り購入した。


━━━━━━━━━━


《インベントリ》


旅用品を収納しました。


━━━━━━━━━━


「これで野宿もできる」


「野宿する気満々ですね」


「世界を旅するなら必要でしょ?」


「まあ、そうですが」


 リーナが。


 少し笑う。


「本当に世界を旅するつもりなのですね」


「うん」


 百年。


 千年。


 その先まで。


 時間はある。


「全部見てみたいから」


「……そうですか」


「リーナも来る?」


「私は専属護衛ですよ」


「じゃあ一緒だ」


「そうなりますね」


 リリスは。


 少し嬉しくなった。


◇◇◇


 市場では。


 食料も購入した。


 パン。


 肉。


 野菜。


 果物。


 香辛料。


 菓子。


 知らない物を見つけるたび。


「《鑑定》」


━━━━━━━━━━


《蜜リンゴ》


《火香草》


《大角牛の干し肉》


《月麦パン》


《白蜜糖》


━━━━━━━━━━


「リリス」


「ん?」


「さっきから鑑定ばかりしていますね」


「知らないものがいっぱいあるから」


「楽しいですか?」


「すごく」


「……」


 リーナが。


 くすりと笑った。


「何?」


「本当に楽しそうだと思っただけです」


◇◇◇


 昼食を済ませ。


 再び王都を歩いていた時。


 リリスが。


 足を止めた。


「……錬金術店」


 薬草とフラスコの看板。


「入ります?」


「入る」


 即答。


「ですよね」


◇◇◇


 店内には。


 ポーション。


 薬草。


 魔石。


 鉱石。


 錬金素材。


 様々な商品が並んでいる。


「……」


 リリスの黒い瞳が。


 明らかに輝いた。


「楽しい」


「まだ何もしていませんよ?」


「見てるだけでも楽しい」


 その時。


 店の奥から。


 困り果てたような声が聞こえた。


「まったく……どうしたものか」


 店主らしき男性が。


 大量の木箱を前に。


 頭を抱えていた。


「どうしたんですか?」


「ん?」


 木箱の中には。


 大量の緑色の葉。


「《治癒草》だ」


「こんなに?」


「商会が仕入れ数を間違えてな。安かったから引き取ったんだが……」


 店主が。


 ため息を吐く。


「普通品質の治癒草だ。そのまま売っても大した値にはならん」


「ポーションにしないんですか?」


「したいさ」


「だが、量が多すぎる。うちの錬金術師だけでは加工が追いつかん」


 時間が経てば。


 品質も落ちてしまう。


「なるほど……」


 リリスは。


 山積みの治癒草を見る。


「……」


 錬金したい。


「店主さん」


「何だ?」


「私が」


 一拍。


「ポーションに加工しましょうか?」


「……え?」


「全部」


「全部!?」


「はい」


「君、錬金術師なのか?」


「一応」


 リリスが。


 《錬金術》へ意識を向ける。


━━━━━━━━━━


《錬金術》Lv10


上位進化条件達成。


━━━━━━━━━━


「あ」


「どうしました?」


「進化できる」


「何が?」


「錬金術」


 迷わず選択。


━━━━━━━━━━


《錬金術》Lv10



《上級錬金術》Lv1


━━━━━━━━━━


「上級になった」


「今!?」


 リーナが。


 目を見開く。


「今、目の前で上位スキルへ進化しましたよね!?」


「したね」


「そんな軽く……」


 店主も。


 固まっている。


「じょ、上級錬金術師……」


「これで加工していいですか?」


「ぜひお願いします!」


◇◇◇


 まずは。


 一本。


 普通品質の《治癒草》。


 水。


 空の瓶。


「どの程度のポーションにする?」


 店主が尋ねる。


「……」


 リリスは。


 考える。


 しかし。


 特に決めていなかった。


「とりあえず作ってみます」


「とりあえず?」


 回復量。


 品質。


 投入魔力。


 何も設定せず。


 ただ。


 普通に魔力を込める。


「《上級錬金術》」


 ――キィィィン。


「なっ!?」


 作業場いっぱいに。


 青白い光が広がる。


「何だ、この魔力……!」


「リリス!?」


「大丈夫」


 治癒草が。


 光の粒へ変わる。


 不要な成分が取り除かれ。


 治癒成分だけが。


 高純度へ精製されていく。


 そこへ。


 リリスの強大な魔力が。


 注ぎ込まれた。


「このくらいかな」


 やがて。


 透明度の高い。


 美しい翠色の液体が。


 瓶へ収まる。


━━━━━━━━━━


錬金成功!


《HP全回復ポーション》


品質:最高


━━━━━━━━━━


「……」


「……」


「……」


 三人。


 沈黙。


「HP全回復?」


 リリスが。


 首を傾げる。


 店主は。


 震える手で瓶を取った。


「待て」


「?」


「使ったのは普通の治癒草だよな?」


「はい」


「普通品質だよな?」


「はい」


「……普通の治癒草からHP全回復ポーションなんて作れるか!」


「でもできましたよ?」


「目の前で見たから余計に混乱してるんだよ!」


 リーナが。


 額へ手を当てる。


「リリス」


「ん?」


「加減しましたか?」


「してない」


「ですよね」


「どれくらいの物にするか決めてなかったから、普通に魔力を込めただけ」


「あなたの普通を基準にしてはいけない気がします」


「そう?」


「MP十万ですよ?」


「あ」


 忘れていた。


◇◇◇


 リリスは。


 大量の治癒草を見る。


「じゃあ」


「?」


「全部これにします?」


「…………全部?」


「はい」


「三千本近くあるぞ?」


「作れると思います」


 リーナが。


 割って入る。


「待ってください」


「何?」


「少し魔力を抑えて、普通のポーションを作るという方法もあるのでは?」


「……」


 リリスは。


 少し考えた。


「加減する理由ある?」


「…………」


 リーナが。


 黙った。


「店主さんも性能が高い方がいいですよね?」


「そりゃあ、もちろん」


「じゃあ決まり」


「本当に三千本やるのか……?」


「はい」


◇◇◇


「《上級錬金術》」


 光。


━━━━━━━━━━


《HP全回復ポーション》


×100


━━━━━━━━━━


 さらに。


━━━━━━━━━━


《HP全回復ポーション》


×500


━━━━━━━━━━


「……」


 店主が。


 次第に無言になっていく。


「疲れていませんか?」


「全然」


「魔力は?」


「まだいっぱい」


 MP十万。


 さらに。


 《創造神エルシアの加護》。


 《魔力自然回復超強化》。


 使った魔力が。


 次々と回復していく。


━━━━━━━━━━


《上級錬金術》Lv1



《上級錬金術》Lv2


━━━━━━━━━━


「あ、上がった」


「でしょうね!」


 千本。


━━━━━━━━━━


《上級錬金術》Lv2



《上級錬金術》Lv3


━━━━━━━━━━


 二千本。


━━━━━━━━━━


《上級錬金術》Lv3



《上級錬金術》Lv4


━━━━━━━━━━


 三千本目。


 最後の光が。


 静かに消える。


━━━━━━━━━━


錬金完了!


《HP全回復ポーション》


製作数:3,000


━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━


《上級錬金術》


Lv4



《上級錬金術》Lv5


━━━━━━━━━━


「終わった」


 店中に。


 翠色のポーションが並んでいる。


「…………」


 店主が。


 椅子へ座り込んだ。


「大丈夫ですか?」


「常識が……」


「?」


「俺の知ってる錬金術の常識が……」


 リーナが。


 店主の肩を叩く。


「気持ちは分かります」


「護衛騎士殿……」


「私も昨日出会ったばかりです」


「大変だな……」


「はい」


「二人とも酷くない?」


◇◇◇


「リリスさん」


 しばらくして。


 店主が。


 深く頭を下げた。


「本当にありがとう」


「役に立ったならよかったです」


「役に立ったどころじゃない」


 大量に余っていた。


 普通の治癒草。


 それが。


 三千本の。


 《HP全回復ポーション》へ変わった。


「報酬を受け取ってくれ」


 まず。


 完成品の一部。


━━━━━━━━━━


《HP全回復ポーション》


×100


━━━━━━━━━━


「百本?」


「ああ」


 さらに。


 重い革袋。


━━━━━━━━━━


《報酬》


金貨 300枚


━━━━━━━━━━


「金貨三百枚……」


「加工賃だ」


「多くない?」


「少ないくらいだ!」


「そうなんだ」


「この三千本がどれだけの価値になると思ってるんだ!」


「分からない」


「でしょうね」


 リーナが。


 即答した。


━━━━━━━━━━


《HP全回復ポーション》×100


《金貨》×300


《インベントリ》へ収納しました。


━━━━━━━━━━


「また来てくれ」


「はい」


「薬草が余ってなくてもな」


「もちろん」


 リリスは。


 満足そうに。


 店を後にした。


◇◇◇


 王城へ戻ったあと。


 勇者用客室。


「そうだ」


 リリスが。


 ベッドへ腰掛ける。


「訓練の前に、必要そうなスキルを取っておこう」


「今からですか?」


「うん」


 スキルウィンドウを開く。


 近接。


 遠距離。


 魔法。


 探索。


 回復。


 今後。


 世界を旅するために必要そうなもの。


「まずは剣」


━━━━━━━━━━


《剣術》習得


Lv1



Lv10


━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━


《剣術》Lv10


上位進化条件達成。


━━━━━━━━━━


「進化」


━━━━━━━━━━


《剣術》Lv10



《上級剣術》Lv1


━━━━━━━━━━


「……今日二つ目の上位スキルですね」


「そうだね」


「もっと驚いてください」


 続いて。


━━━━━━━━━━


《雷魔法》Lv10


━━━━━━━━━━


「雷魔法ですか」


「速いし」


「ええ」


「格好いい」


「やはりそちらも理由に入るのですね」


 次。


━━━━━━━━━━


《魔力弓》Lv10


━━━━━━━━━━


「魔力で弓と矢を作る……」


 リリスが。


 興味深そうに表示を見る。


「矢を持ち歩かなくていいの便利」


「MP十万のあなたとは相性が良さそうです」


「じゃあ」


 その弓を扱う技術も。


━━━━━━━━━━


《魔弓術》習得


Lv1



Lv10


━━━━━━━━━━


 そして。


━━━━━━━━━━


《魔弓術》Lv10


上位進化条件達成。


━━━━━━━━━━


「進化」


━━━━━━━━━━


《魔弓術》Lv10



《上級魔弓術》Lv1


━━━━━━━━━━


「上級……魔弓術」


 その瞬間。


 さらに。


 いくつもの表示が現れた。


━━━━━━━━━━


《上級魔弓術》


戦技(アーツ)解放


多重捕捉射撃マルチロック・ショット


魔爆矢マナ・バーストアロー


貫通魔矢ピアシング・マナアロー


追尾魔矢ホーミング・アロー


連環速射ラピッド・チェイン


魔弓狙撃マナ・スナイプ


散華魔矢スプレッド・アロー


魔力集束射チャージド・マナショット


雷装魔矢ライトニング・アロー


矢雨降臨アローレイン


━━━━━━━━━━


「……いっぱい増えた」


「ちょっと待ってください」


 リーナが。


 素早く横から覗き込む。


「《多重捕捉射撃》?」


「複数の敵を同時に狙えるみたい」


「《追尾魔矢》まで……」


「逃げても追いかけられるのかな」


「《魔弓狙撃》……」


「遠くから狙えそう」


 そして。


 リーナの視線が。


 一つの項目で止まる。


「……《魔爆矢》?」


「これ面白そう」


「待ってください」


「魔力を矢に込めて」


「待ってください」


「命中したら爆発するみたい」


「絶対に訓練場で大量の魔力を込めないでください!」


「まだ何もしてないよ?」


「MP十万ですよね!?」


「うん」


「あなたの場合、魔力を込めるという一文だけで嫌な予感がするんです!」


「そんなに?」


「今日、普通の治癒草三千本を全回復ポーションにしたでしょう!」


「あれとは違うよ」


「同じ『魔力を込める』です!」


「……確かに」


 少し。


 納得した。


「じゃあ訓練では少なめにする」


「本当にお願いします」


「でも」


 リリスが。


 《雷装魔矢》を見る。


「これも試したい」


「雷魔法との複合戦技……」


「雷を纏った魔力矢」


「……」


「格好よくない?」


「否定はしません」


「でしょ?」


「ですが加減してください!」


◇◇◇


 まだ。


 スキル取得は続く。


━━━━━━━━━━


《身体強化》Lv10


━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━


《気配察知》Lv10


━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━


《危険察知》Lv10


━━━━━━━━━━


「この二つは重要ですね」


「やっぱり?」


「未知の土地を旅するなら、危険へ先に気づける能力は非常に有用です」


「じゃあ正解」


 さらに。


━━━━━━━━━━


《隠密》Lv10


━━━━━━━━━━


「隠密も?」


「戦わなくていい相手なら」


 一拍。


「見つからない方が楽だから」


「合理的ですね」


「素材が欲しい魔物なら戦うけど」


「結局素材なんですね」


「大事」


 次。


 回復。


 自分自身には。


 《不老不死の加護》がある。


 けれど。


 仲間は違う。


━━━━━━━━━━


《回復魔法》Lv10


━━━━━━━━━━


「私は死なないけど」


 リリスが。


 リーナを見る。


「リーナは違うでしょ?」


「……はい」


「怪我したら治せた方がいいから」


 リーナが。


 少しだけ。


 柔らかく笑う。


「良い選択だと思います」


「リーナが怪我した時にも使える」


「できれば怪我をする前に守ってください」


「護衛するのリーナじゃない?」


「……それもそうですね」


 二人で。


 少し笑う。


 最後は。


 強大な魔力を。


 正確に制御するため。


━━━━━━━━━━


《魔力操作》Lv10


━━━━━━━━━━


「これで十個」


━━━━━━━━━━


《新規取得・強化スキル》


1.《上級剣術》Lv1


2.《雷魔法》Lv10


3.《魔力弓》Lv10


4.《上級魔弓術》Lv1


5.《身体強化》Lv10


6.《気配察知》Lv10


7.《危険察知》Lv10


8.《隠密》Lv10


9.《回復魔法》Lv10


10.《魔力操作》Lv10


━━━━━━━━━━


「よし」


 近接なら。


 《上級剣術》。


 遠距離なら。


 《魔力弓》と《上級魔弓術》。


 魔法攻撃は。


 《雷魔法》。


 探索では。


 《気配察知》。


 《危険察知》。


 戦闘を避けたいなら。


 《隠密》。


 仲間が傷つけば。


 《回復魔法》。


 そして。


 それらを支える。


 《身体強化》と《魔力操作》。


「かなり揃った」


「かなり、どころではありません」


「そう?」


「《上級剣術》と《上級魔弓術》を同時に取得したばかりですよ?」


「Lv1だよ?」


「元スキルを一瞬でLv10にしたでしょう!」


「あ」


「あ、ではありません!」


 リーナが。


 ため息を吐く。


「特に」


「?」


「明日の訓練で」


 リーナが。


 《魔爆矢》の表示を指差した。


「これを全力で使うのは禁止です」


「全力じゃなければ?」


「最低出力からです」


「分かった」


「《魔力集束射》もです」


「うん」


「《雷装魔矢》も」


「うん」


「《矢雨降臨》は?」


「……駄目?」


「どう考えても駄目です!」


「分かった」


「絶対ですよ?」


「たぶん」


「たぶんを付けないでください!」


 リリスは。


 思わず笑った。


 鉄の剣。


 黒灰色の丈夫な服。


 黒いズボン。


 茶褐色の革鎧。


 旅道具。


 衣類。


 食料。


 《HP全回復ポーション》百本。


 金貨三百枚。


 そして。


 新しく手に入れた。


 十のスキル。


 さらに。


 《上級魔弓術》に内包された。


 数々の戦技(アーツ)


「明日の訓練」


 リリスは。


 《魔力弓》の表示を見ながら。


 少し笑う。


「楽しみ」


「私はものすごく不安です」


「大丈夫だって」


「その言葉を今日だけで何回聞いたと思ってるんですか……」


 リーナの。


 深いため息が。


 勇者用客室へ。


 静かに響いた。

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