第一話 六人の勇者
白い光が。
ゆっくりと消えていく。
「……ん」
リリスは。
閉じていた黒い瞳を開いた。
最初に見えたのは。
白銀色に輝く巨大な魔法陣だった。
「ここが……」
足元いっぱいに。
複雑な文字と幾何学模様が広がっている。
周囲は。
高い天井を持つ石造りの広間。
白い大理石の柱。
壁には。
金色の装飾。
巨大な魔石を埋め込んだ照明が。
室内を明るく照らしていた。
そして。
魔法陣を囲むように。
何十人もの人間がいる。
白や青のローブを纏った魔法使い。
銀色の鎧を身につけた騎士。
誰もが。
驚いた表情でこちらを見ていた。
「――成功した!」
一人の魔法使いが叫ぶ。
「勇者召喚は成功だ!」
「待て!」
「人数が……!」
「六人だと!?」
ざわめきが広がる。
「六人?」
リリスは。
そこで初めて。
自分の周囲を見る。
「な、なんだよここ……」
一人。
黒髪の青年。
「え……私、さっきまで部屋に……」
二人。
長い茶髪の少女。
「これって……本当に異世界召喚?」
三人。
短い黒髪の少女。
「冗談だろ……」
四人。
背の高い青年。
「スマホ……圏外どころか、そもそも……」
五人。
眼鏡をかけた青年。
そして。
リリス。
合計六人。
「エルシア様が言ってた勇者召喚……」
どうやら。
本当に混ぜられたらしい。
しかも。
他の五人は。
何が起きたのか分かっていない。
「皆様!」
魔法使いたちの中から。
一人の老人が前へ進み出た。
白髪。
長い白髭。
深い青色のローブ。
手には。
大きな杖。
「まずは落ち着いていただきたい!」
「落ち着けって言われても!」
黒髪の青年が声を上げる。
「ここどこなんですか!?」
「俺たち、なんでこんなところにいるんだよ!」
「帰れるんですか!?」
当然の反応だった。
老人は。
怒ることなく。
ゆっくりと頭を下げた。
「皆様を突然お招きしたこと」
「深くお詫び申し上げます」
「……」
「私は」
老人が胸へ手を当てる。
「《聖ルミナス王国》宮廷魔法師長」
「オルディスと申します」
「聖ルミナス王国……」
リリスは。
その名前を聞く。
エルシアから聞いていた。
自分が向かう先。
「そして」
オルディスは。
六人を見渡した。
「ここは」
「皆様が暮らしていた世界とは異なる世界」
「《リリンズ・ワールド》です」
「異世界……」
茶髪の少女が呟いた。
「本当に……?」
「はい」
リリスだけは。
その言葉に。
別の意味で胸が高鳴っていた。
五百年後。
ここが。
本物の。
《リリンズ・ワールド》。
「……来たんだ」
小さく。
呟く。
◇◇◇
「詳しい説明につきましては」
オルディスが続ける。
「国王陛下より、直接お話しいただきます」
「王様……?」
「その前に」
彼が。
部屋の端へ目を向けた。
「皆様の適性を確認させていただけますでしょうか」
魔法使いたちが。
数人がかりで。
一枚の巨大な石板を運んでくる。
高さ。
二メートルほど。
乳白色の石。
表面には。
金色の魔法文字が刻まれていた。
「これは?」
「《鑑定板》です」
オルディスが説明する。
「手を触れていただくことで」
「名前」
「種族」
「年齢」
「職業」
「魔力量」
「加護など」
「その人物が持つ情報の一部を確認できます」
「個人情報丸見えじゃん……」
眼鏡の青年が呟く。
リリスも。
少しだけ同意した。
「希望されない情報については」
「すべて公開する必要はございません」
「鑑定板には」
「公開範囲を限定する機能もございます」
「なら……まあ」
少しだけ。
空気が和らぐ。
「では」
オルディスが。
最初の青年を見る。
「順番にお願いいたします」
◇◇◇
一人目。
「俺から行く」
黒髪の青年が。
鑑定板へ手を置く。
瞬間。
金色の文字が浮かび上がった。
━━━━━━━━━━
名前:神崎蓮
種族:人族
年齢:19
職業
《勇者》
《剣士》
━━━━━━━━━━
「《勇者》!」
魔法使いたちから。
歓声が上がる。
「本当に勇者様だ!」
「剣士の適性まで!」
「……俺が勇者?」
神崎蓮。
本人は。
まだ実感がないようだった。
次。
━━━━━━━━━━
名前:桜庭美羽
種族:人族
年齢:18
職業
《勇者》
《聖術師》
━━━━━━━━━━
「私も……勇者」
三人目。
━━━━━━━━━━
名前:九条蒼真
種族:人族
年齢:21
職業
《勇者》
《重戦士》
━━━━━━━━━━
四人目。
━━━━━━━━━━
名前:朝倉琴音
種族:人族
年齢:20
職業
《勇者》
《賢者》
━━━━━━━━━━
五人目。
━━━━━━━━━━
名前:三上悠斗
種族:人族
年齢:20
職業
《勇者》
《弓術士》
━━━━━━━━━━
「全員……」
オルディスの声が。
少し震えている。
「五名全員が《勇者》」
本来。
召喚される予定だった五人なのだろう。
そして。
「最後に」
老人の視線が。
リリスへ向けられる。
「あなた様を」
「はい」
リリスは。
鑑定板の前へ歩く。
五人の勇者たちも。
こちらを見ていた。
「……」
右手を。
白い石板へ触れる。
その瞬間。
――カッ!
「わっ」
鑑定板が。
眩い光を放った。
「なっ!?」
「鑑定板が!」
「この魔力反応は……!」
魔法使いたちが。
一斉に騒ぎ始める。
「大丈夫なんですか?」
「こ、壊れてはいません!」
「たぶん!」
「たぶん?」
少し不安になる。
やがて。
光が落ち着き。
文字が浮かび上がった。
━━━━━━━━━━
《鑑定結果》
名前:リリス・ルクスヴィア
種族:人族
年齢:21
Lv:1
職業
《勇者》
《錬金術師》
MP:100,000
加護
《創造神エルシアの加護》
《不老不死の加護》
━━━━━━━━━━
「……」
静寂。
「勇者」
リリスは。
そこを見る。
「本当に持ってる……」
エルシアは。
教えてくれなかった。
だから。
これが。
リリス自身にとっても初めて知ることだった。
「《勇者》と……《錬金術師》?」
オルディスが呟く。
しかし。
次の瞬間。
「――待て」
彼の表情が変わる。
「MP……」
「どうした?」
隣の魔法使いが。
表示を見る。
「十万……?」
「…………」
「じゅ」
絶句。
「十万!?」
召喚の間へ。
大声が響いた。
「そんな馬鹿な!」
「鑑定板の故障では!?」
「いや、術式は正常だ!」
「人間が持てる魔力量では……!」
「そんなに多いんですか?」
リリスが尋ねる。
オルディスが。
ゆっくりこちらを見る。
「……極めて」
「そうなんですね」
「そうなんですね、で済む数字ではありません!」
「わっ」
普段。
穏やかそうな老人が。
思わず声を上げるほどらしい。
「さらに……」
オルディスが。
加護欄を見る。
「《創造神エルシアの加護》」
その言葉。
魔法使いたちの空気が。
完全に変わった。
「創造神……?」
「エルシア様?」
「そんな……」
「神話に記される創世の女神……」
「直接加護を授かったというのか?」
そして。
もう一つ。
「《不老不死の加護》……?」
五人の勇者たちまで。
こちらを見る。
「不老不死って……」
「文字通り?」
「リリスさん、死なないの?」
琴音が。
少し戸惑いながら尋ねる。
「たぶん」
「たぶん!?」
「女神様には死なないって言われました」
「女神様に会ったの!?」
今度は。
勇者五人まで騒ぎ始めた。
「……言わない方がよかったかな」
「もう遅いと思います」
オルディスが。
額へ手を当てていた。
◇◇◇
しばらくして。
ようやく。
召喚の間が落ち着いた。
「国王陛下にも」
「この件はご報告する必要がございます」
「分かりました」
「それでは」
オルディスが。
六人へ頭を下げる。
「《玉座の間》へご案内いたします」
◇◇◇
召喚の間を出る。
長い廊下。
「……広い」
リリスは。
思わず周囲を見回した。
磨き上げられた白い石床。
金色の装飾。
壁には。
歴代の王らしき人物の肖像画。
赤い絨毯。
巨大な窓。
そして。
窓の外。
「……!」
そこには。
広大な街があった。
巨大な城壁。
石造りの建物。
教会。
塔。
市場。
馬車が走る大通り。
遠くには。
巨大な飛行船まで浮かんでいる。
「これが……五百年後」
知らない。
LGOで。
こんな王都を見た記憶はない。
「リリスさん」
隣を歩いていた琴音が。
小声で話しかけてくる。
「五百年後って?」
「あ」
「さっきも女神様とか言ってたし……」
「それは」
説明しようとしたところで。
「到着いたしました」
オルディスが。
足を止めた。
目の前には。
巨大な両開きの扉。
白銀の鎧を着た騎士たちが。
左右に立っている。
「国王陛下がお待ちです」
騎士たちが。
扉を開く。
――ゴゴゴゴゴ。
重い音。
その向こう。
長い赤絨毯が。
まっすぐ奥へ伸びていた。
◇◇◇
《玉座の間》。
左右には。
武装した騎士たち。
魔法使い。
貴族。
そして。
最奥。
数段高くなった場所。
巨大な玉座へ。
一人の男性が座っていた。
年齢は。
五十歳ほど。
白と金を基調とした衣。
王冠。
威厳ある眼差し。
「よくぞ参られた」
国王が。
ゆっくりと立ち上がった。
「異世界より招かれし」
「六人の勇者よ」
六人。
自然と。
足を止める。
「まず」
王が。
玉座から一段降りた。
「我が国の都合によって」
「皆をこの世界へ召喚したこと」
「国王として詫びよう」
そして。
頭を下げた。
「……」
蓮たちが。
驚いたように顔を見合わせる。
「突然呼び出した者へ」
「当然のように命を懸けろと命じるつもりはない」
王が。
ゆっくり顔を上げる。
「だが」
「我々は」
「皆の力を必要としている」
王が。
側近へ合図する。
一人の魔法使いが。
杖を床へ向けた。
――キィン。
光が広がる。
玉座の間。
その中央へ。
巨大な球体が現れた。
「これが」
王が言う。
「我々の暮らす世界」
「《リリンズ・ワールド》だ」
リリスは。
息を呑んだ。
青。
緑。
白。
巨大な球体惑星。
そして。
その表面には。
五つの巨大な大陸。
それ以外にも。
無数の大小さまざまな大陸。
島。
群島。
「……大きい」
「過去に召喚された勇者たちの記録によれば」
国王が続ける。
「この星の表面積は」
「勇者方の故郷である《地球》のおよそ三百倍」
「三百倍!?」
蓮が。
思わず声を上げる。
「そんなに?」
「ええ」
地図。
中央にある。
巨大な大陸が光る。
「世界の中央」
「《アルセリア大陸》」
その中心。
一本の。
途方もなく巨大な柱。
「そして」
「アルセリア大陸中央には」
「神界へ通じるとも伝えられる」
「《神天の柱》が存在する」
「軌道……エレベーター?」
悠斗が呟いた。
「過去の勇者は、そのように呼んでいた」
国王が頷く。
次。
西の大陸。
「《ユグドラ大陸》」
「世界樹が存在し」
「それを守護するエルフの王国」
「《ユグリア王国》がある」
南。
「《レオニス大陸》」
「大砂漠」
「サバンナ」
「熱帯雨林」
「獣人が最も多く暮らす土地であり」
「《レオニア獣王国》が存在する」
北端。
赤い光。
「そして」
「世界最大の火山地帯」
「《煉獄火山帯》」
「そこには」
「太古の勇者によって封印された邪神が眠るという伝説もある」
「邪神……」
美羽が。
少し不安そうに呟く。
次。
東。
「《リュウガ大陸》」
「東方文化の栄える大陸」
「龍神を戴き」
「龍皇が治める」
「《龍皇国リュウガ》が存在する」
「その国力と軍事力は」
「実質的に世界最強とも評される」
さらに。
「大陸東方の海を越えれば」
「《日の本》と呼ばれる島国もある」
北。
「《フロスト大陸》」
表示された大陸は。
ほとんどが白い。
「一年を通して雪に覆われる極寒の地」
「中央には」
「世界最高峰」
「《神峰》がそびえる」
「その地には」
「《冬将軍》と呼ばれる強大な魔物が存在する」
「かつて」
「二千を超える軍勢を率いて勇者の前へ現れたという記録も残っている」
「二千……」
蒼真が。
低く呟く。
「そして」
「フロスト大陸北部には」
「人類最強の軍事国家」
「《アイゼン連邦》」
映像が切り替わる。
巨大な。
人型の兵器。
「……ロボット?」
「全高十五メートル前後の人型兵器を開発・運用する」
「極めて高度な技術を持つ国家だ」
「ファンタジー世界じゃなかったのかよ……」
蓮が。
呆然としていた。
リリスは。
逆に。
目を輝かせていた。
「すごい……」
五百年。
本当に。
自分の知らない世界になっている。
さらに。
地図の外側。
「五大陸以外にも」
「数多の島国や小大陸がある」
「サキュバスたちが暮らす《リリム諸島》」
「そして」
北の果て。
黒く染まった巨大な大陸。
「《魔大陸ネクロディア》」
「世界で最も多くの魔王が存在する土地だ」
玉座の間の空気が。
少しだけ重くなる。
「魔王……」
「この世界において」
王が。
六人を見つめる。
「魔物」
「魔族」
「魔王」
「それらは基本的に」
「人類と敵対する存在として認識されている」
そして。
地図上。
聖ルミナス王国周辺へ。
一つの黒い光が現れた。
「現在」
「我が聖ルミナス王国の領域へ」
「一体の魔王が勢力を伸ばしている」
「すでに」
「複数の村が滅ぼされた」
「街道も襲撃され」
「魔物の活動も急激に活発化している」
「……」
国王は。
六人の前へ進む。
そして。
深く頭を下げた。
「どうか」
「我々へ力を貸してほしい」
「この国を」
「民を守るため」
「魔王を討っていただきたい」
◇◇◇
「……」
すぐに。
答える者はいなかった。
突然。
異世界へ召喚された五人。
いきなり。
魔王を倒してほしい。
簡単に。
決断できることではない。
「もちろん」
国王も。
それは理解しているらしい。
「今この場で」
「答えを求めるつもりはない」
「皆には」
「この世界を知る時間が必要だろう」
「そして」
「自らの意思で」
「進む道を決めてほしい」
その言葉に。
五人の緊張が。
少しだけ和らぐ。
「まず」
王が。
再び側近へ合図した。
六つの革袋が。
運ばれてくる。
「皆には」
「当面の支度金として」
━━━━━━━━━━
《勇者支度金》
銀貨 500枚
━━━━━━━━━━
「一人につき銀貨五百枚を支給する」
「五百枚……」
「この国で生活し」
「衣服」
「装備」
「旅の道具」
「その他」
「必要な物を揃えるために使ってほしい」
リリスも。
革袋を受け取る。
ずしりと。
かなりの重さ。
「ありがとうございます」
受け取った瞬間。
ふと思う。
「……これ」
《インベントリ》。
試しに。
意識してみる。
袋が。
淡い光に包まれた。
――シュン。
「え」
手の中から。
消える。
━━━━━━━━━━
銀貨 ×500
《インベントリ》へ収納しました。
━━━━━━━━━━
「おお……」
使えた。
「リ、リリスさん!?」
琴音が。
驚いている。
「今、お金消えたけど!?」
「収納しました」
「収納?」
「スキルです」
「便利すぎない?」
「私もそう思う」
これは。
かなり助かる。
「さらに」
国王が続けた。
「我が聖ルミナス王国は」
「召喚した勇者を」
「何の助けもなく放り出すつもりはない」
玉座の間。
左右に並んでいた騎士たち。
その中から。
六人が前へ出る。
「勇者一人につき」
「一名の専属護衛騎士を付ける」
「護衛?」
「彼らには」
「この世界の常識」
「戦闘」
「街での生活」
「旅」
「必要なことを支援させる」
一人ずつ。
担当が決められていく。
そして。
「リリス・ルクスヴィア殿」
「はい」
国王が。
一人の騎士を見る。
「あなたの専属護衛は」
一歩。
騎士が。
前へ出た。
「……」
リリスの視線が。
自然と。
その少女へ向かう。
鮮やかな赤髪。
長い髪を。
高い位置で結んだポニーテール。
燃えるような。
赤い瞳。
白銀の軽装鎧。
背には。
一本の長槍。
すらりとした長身。
鍛えられた身体。
細い腰。
長い脚。
そして。
騎士らしい凛々しさと。
少女らしい美しさを。
同時に持っている。
「綺麗……」
思わず。
声が出た。
「……え?」
赤髪の少女が。
一瞬だけ。
目を丸くする。
「あ」
口に出ていた。
「ごめんなさい」
「い、いえ」
ほんの少し。
頬が赤くなった気がした。
けれど。
すぐに。
騎士らしい表情へ戻る。
少女は。
リリスの前へ立った。
そして。
胸へ拳を当てる。
「聖ルミナス王国騎士」
「《リーナ・ヴァルセイン》」
赤い瞳が。
真っ直ぐ。
リリスを見る。
「職業は」
「《槍術士》」
「そして」
「《赤魔法師》」
槍。
魔法。
二つを扱う騎士。
「本日より」
リーナが。
はっきりと言った。
「勇者リリス・ルクスヴィア様の」
「専属護衛を務めさせていただきます」
「よろしくお願いします」
リリスが。
自然に頭を下げる。
「……」
リーナが。
少し眉を上げる。
「勇者様が」
「護衛騎士へ頭を下げる必要はありません」
「でも」
「これからお世話になりますし」
「それは……」
少し。
言葉に詰まる。
「変わった方ですね」
「そうですか?」
「ええ」
リーナは。
少し勝気な笑みを浮かべた。
「ですが」
「嫌いではありません」
「よかった」
「まだ会ったばかりですよ?」
「確かに」
「まったく……」
言いながら。
リーナも。
小さく笑った。
そして。
背負った長槍へ。
軽く手を添える。
「私が護衛についた以上」
赤い瞳が。
力強く輝く。
「あなたの身は」
「必ず守ります」
「頼りにしてます」
「お任せください」
五百年後の。
《リリンズ・ワールド》。
知らない国。
知らない文化。
知らない魔物。
知らない素材。
そして。
知らない人々。
勇者として召喚された。
五人の男女。
赤髪の騎士。
リーナ・ヴァルセイン。
「……」
リリスは。
玉座の間から見える。
青空を見上げる。
エルシアの言葉を。
思い出す。
好きな場所へ行って。
好きなものを見て。
好きなことをする。
「まずは」
小さく呟く。
「この世界を知るところからかな」
「何か言いましたか?」
隣のリーナが。
首を傾げる。
「ううん」
リリスは。
小さく笑った。
「これからよろしくね、リーナ」
「……はい!」
こうして。
リリス・ルクスヴィアの。
五百年後の世界での。
本当の冒険が始まった。
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