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そんなつもりではなかった  作者: はるくうきなこ


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4/25

4聞いていなかった事


 その日も忙しかった。

 アルベルトは鉱山に出向いて工房はディアナ一人だった。工房は屋敷の隣にあって昼食は屋敷に帰って取る事にしている。

 工房には金具を作ったりする場所や宝石を加工してアクセサリーを仕上げる場所や検品をする場所がある。

 他にも事務スペースもあり今日も新たに企画している商品の打ち合わせや納期の近い商品の確認を担当者とすませたが書類仕事もたくさんも残っていた。

 アルベルトは夕方まで帰って来ない予定だったので午後は屋敷で執務をする予定だ。

 アルベルトは出掛ける事が多いので書類仕事はディアナがすることが多かった。おかげでこの一年で経理や税務書類など大抵のものはこなせるようになっていた。

 昼に屋敷に帰るとルナが出迎えてくれた。

 「奥様お疲れ様です。お食事が出来ております」

 「ありがとうルナ。そう言えばカレンさんはどうしてる?」

 「カレンさんはお出かけになりました」

 「出掛けた?どこへ?」

 そう尋ねるのも無理はない。ここは王都ではない。賑やかな店も立ち並んでいるわけでもない。あるのはせいぜい食堂、パン屋、肉屋、果物屋に服屋もあるが若い娘が好むような品ぞろえではない。

 あっ、でも、服飾品はあちこちから商売人がやって来るのでそれなりの品ぞろえはあるし店数も多い。

 それに鉱山があるせいでギルドがあって若い男も多い。宿屋も多く昼時は食堂もにぎわっている。

 「街を散策したいと言われて、昼は食べて帰るとおしゃっておりましたので用意はしていません」

 「そう、まあ、彼女も子供じゃないんだしまだ明るいし心配ないわよね」

 「そうですよ奥様。あちらではずっと屋敷に閉じこもっていらしゃったんでしょう?少し気晴らしがしてみたいんですよ」

 「ええ、夕方までには帰って来るでしょう。じゃあ、忙しいから執務に戻るわ。ルナありがとう」

 「いえ、奥様。私はこれからはカレンさんの部屋の掃除や洗濯ものもやるんでしょうか?」

 「ええ、あなたが忙しいのはわかってるんだけど、最低限でいいから彼女の部屋の掃除と洗濯もお願い」

 「掃除はいいですけど‥これを見て下さい」

 ルナが大きな桶いっぱいの衣類を見せた。

 「誰の?」

 「カレンさんです。ずっと洗濯もしてもらえなかったからとおっしゃって」

 「まあ‥いいわ、出来る範囲でお願い。カレンさんには私からも話をするから」

 「ありがとうございます」

 「いいのよ。あなたにはいつも無理を言っているのはこっちなんだもの。これからカレンさんの事で何かあったら何でも教えてちょうだい」

 「もちろんです奥様」

 昼食はダンもルナも一緒に取ることにしていた。


 ディアナは午後の仕事を始める。いつもダンがある程度の仕事をまとめてくれているので仕事は何とか回っていた。

 そして今日の仕事終えるとダンとルナを見送った。

 今日の夕食は豆の煮込み料理だ。

 アルベルトが帰って来た。カレンさんはまだ帰っていない。


 「ただいま」

 「お帰りなさいアルベルト。実はカレンさんがまだなの」

 「カレンさんが?何処に行ったんだ?」

 「それが私が仕事に行った後で街に散策に行くと言って出かけたらしいの。私も昼に聞いてでもすぐに帰って来ると思っていたのよ」

 「なんだ。昼には知ってたのか?だったらなぜその時探さなかった?カレンさんはまだ来たばかりだろう。道に迷って困っているかもしれないじゃないか!」

 「仕方ないじゃない。私だって今日中に仕上げなきゃならない仕事があったのよ。子供じゃないんだもの夕方までには帰って来ると思ったのよ」

 たった二日。なのにどうしてこんなにいらいらするんだろう。


 「ああ、わかったわかった。俺が探しに行く!」

 「だったら私も行くわ!」

 「いや、行き違いになると困るからディアナは家にいろ。もし帰って来たらそのまま待っていろ。いいな」

 アルベルトは急いで上着を着ると出て行った。


 ディアナは食事もせずに待った。

 そして3時間、夜はすっかり更けていた。

 二人は上機嫌で帰って来た。


 「まさか、カレンさん酔ってるの?アルベルト一体何があったのよ!」

 「いや、カレンさん今日が誕生日らしいんだ。彼女18歳になったんだ。それでお祝いにって食堂で大勢にお祝いされて酒も飲める年齢だからって‥なぁカレンさん」

 まあ、それで食堂で飲んで来たって事?私はずっと心配して待っていたって言うのに。

 「きゃ、もう、だんなさまぁったら‥おしゃけっておいしいんです、ヒック。ひゃ、わたしぃ、みんながおいわいしてくれちぇ、うれしくっちぇ‥」

 それにそんな話聞いてない。今日が誕生日ですって?じゃ、もう彼女は18歳になるって事?じゃ、急いで仕事を覚えてもらってここを出て行って貰わなくちゃ。


 「カレンさん、そう言う事ならあなたには急いで仕事を覚えてもらわなくてはいけませんね。18歳にもなったんですもの、独り立ちしなくては。今日はもう休んで下さい。話は明日しましょう」

 ディアナはカレンにはっきりそう言った。

 「わかりまちたぁ~おやしゅみなしゃ~い!」

 アルベルトが酔っぱらったカレンの腰を抱えながら部屋に連れて行く。ディアナは後ろをついて行きアルベルトと一緒にベッドに彼女を横たえた。布団をかけてやると夫であるアルベルトをさっさと部屋から追い出した。

 

 寝室に行くとアルベルトに言った。

 「あなた、こんな話聞いていませんでしたわ。カレンさんがもう18歳だなんて。そう言う事ならすぐにでも仕事を覚えてもらいしょう。それに住まいはここではなく使用人が住む部屋を借りるべきです。詳しい話は明日。でも、そのつもりでいて下さい」

 「なんだ?18歳になったからっていいじゃないか。あの子は可哀想な子なんだ。ずっと日陰の身で虐げられてきたって言ってたぞ。少しくらいゆっくりさせてやれないのか。仕事も教えながらここで暮らせばいい事だろう。固い事言うなって。それよりディアナぁ。なぁ、ディアナぁ~俺は今日は気分がいいんだ。こっちに来いよ。なぁ、いいだろうディアナ久しぶりに‥」

 「酔ってるくせに。もぉ!アルベルトったら」

 ディアナはアルベルトに押し流されその夜は二人仲良くベッドに入った。


 まあ、話しは明日でもゆっくり。

 






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