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独言兼世迷言と書いて、れくいえむとか読めないかしら。






 またね? またね、なんて、しょっちゅうおかしな会いかたしてる、こっちが夢ならよかったですね。枕に埋まってつぶやいたところ、ベッドが否定のつもりか軋んですこしわらえてしまいます。だから、こういうのはどうでしょう、旅に出たんだというのはどうか。

 ある日の午後に思いたったから、いつものリュックでそとへ飛びこむ。ふよふよ、泳ぐみたいな気分。すきなところにすきなだけもぐる。すけそうなまるい貝殻や、さくらのガラスのかけらをさがす。リュックがひょいっとさらわれるけど、そよ風とさざ波はなにがちがうの、まあいいか、とわらってながれ、足がつかなくて指のさきまで、わくわくしびれる高鳴りにまかせ帰りの道をわすれてしまう。そういう、旅に出ていった。

 どこかでたのしくやっているけれど、もうこちらには帰ってこない。そうなんだろうわかってるよと、あきれて雲とか見あげていたい。それなのによく帰ってくるから。あなたが、かえってきてしまうから、いまだに写真もかざれないおしまい。



 あなたはやさしい金属なのか。体温はすぐにつたわっていく。あまり硬くはなくてかろやか。わたしの知らない、とりどりの花でかたちづくられた服といっしょに、あおい影のある香りをまとう。いっとき、わたしのハンカチや髪もおなじにおいになっていました。

 あなたは、わたしの膝に座って、そっと頭をなでようとする。覗きこんでくる、目は海じゃない。空でもないし宝石でもない。言いあらわせないなんて言ったらぜんぶそうなってしまうから、ことばをさがしてわたしは迷子、ではないと言いはろうとしている。

 理科の実験で解剖をした。イカの水晶体をとりだした。すごくちいさくて、プリントのうえにのせると文字がおおきく見えた。あなたの、目もきっとそういうふうだ、わたしはあなたの目に固執する。あなたにはもう目しかないのだ。もうじき、目すらなくなりそうで、だからことばをさがしています。もしも見つからなかったときは、世にもかなしいような感じのそのどちらかに吸いこまれよう。

 あほらしいことを思っていると、あなたはわたしの手をとった。目に入れても痛くないなんて比喩。わたしの指は、あなたの目玉に刺さって沈みこんでいく。あなたは、まえからずっとときどき、突拍子もないことをするんだ。こうして、手をつかんですぐに、目玉に突っこませるとかね。はなはだ平気な顔をしていて、わたしの指も、なにも感じない。あなたはなにも、言ってくれない。でも指を入れていないほうの目が、もっと奥までいけとうながす。奥までいってちょっとうわむけて、脳みそもさわっていいよとゆるす。そこに、ほしいものあるかもしれない。ないよと、わたしはだきしめる。あなたを、あなたは空気だったか。花が飛びたつように舞いちる。



 またね。

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