第5話
「メラお湯が沸騰し過ぎよ、このままではあなたがやけどをしてしまうわ」
「あ、ごめん」
キキ、スイ、メラとも肩を落としシュンとしてる、何か悪いことをしたの?聞いたら教えてくれる?
「あなたたち、ちゃんとジーアに言わなくてはダメよ」
ボアに言われて「わかった」と、キキが近くにふわっと飛んできた。後ろでスイは顔を下げスカートを握ってる。
本当にこの子たち何かしちゃったの?悲しい顔をしてる。その顔を見ているだけで胸が痛んだ。
「ジーアがね…寝てる時に黙って足りない分の魔力をもらってた」
「ごめんジーア」「ジーア」
彼女たちの報告になんだ、そうなのとホッとした。
「キキ、スイ、メラ、ちゃんと言ってくれてありがとう。これからは魔力が足りなくなったらちゃんと言ってね」
怒られると思っていたのだろう、怒らない私に3人は驚いた顔をしてる。ボアは「良くできました」と言ってほほ笑んでいた。
「ジーア、怒らないの?」「そうよ」「うん」
「怒らないわ、あなたたちと契約したのはわたしで、みんなからはたくさんの元気をもらって、たくさん手助けしてもらっているだもの」
いままではタダ働きをさせていたということになる。彼女たちにひどいことをしていたのはわたしだ。
「やだジーアは泣かないで」「やだやだ」「泣くな」
涙を浮かべた私の周りを飛んでくれる、そんな3人に笑顔を見せた。それ以上に反応したのはボアさん。
「なっ、なっ、なっ、なんていい人が…ここに来てくれたのかしら」
ブワァァッといきなり滝の様な涙を流した。
「ボアさん!?」
「先生!?」「ボア先生!?」「ありゃりゃ」
その涙は止まらない
「タオル、タオル」
お風呂場に走り大きめのタオルを持ってきた。そのタオルでさえボアさんの涙を吸ってぬれていく。
「ああ、なんて良い人に、良い人に恵まれました」
「これはしばらく止まらんな」「ええ、そうですね」「あはは」
「その間に、お茶の用意をしちゃいましょう」
応接間もいいけど、やはり天気のいい日には外でしょうと、いつもみんなで使っている布を広げた。
キッチンではえっぐえっぐと、泣き過ぎてしまったボアさんが…あらら、目を真っ赤で腫らしていた。
「ボアさん大丈夫ですか?お茶にしましょう」
「はびっ、あまりにもうれしくなり取り乱しました、大丈夫です」
外に出てみんなでテーブルを囲み「いただきます」をしてから、スコーンにジャムを落としてかじった。
「うまい」「おいしい」「うまうま」
「本当、スコーンも手作りジャムもおいしいわ」
みんなの手が止まりません。
カゴに用意したたくさんのスコーンはあっという間に消えた。
これはまた作ろう。
「ジーアさんありがとう、とてもおいしかったです」
と言い満面の笑みを浮かべた次の瞬間に〈パァァァッ〉とボアさんが光った。
「ボアさん!?」
「あらあら、まあ信じられない肩こりがなくなったわ。歳をとると肩が痛いのその痛みが取れて、腕が上がるし軽くなったわ」
ブンブンと笑顔で腕を回す。
歳を取るとと言ったボアさんに何歳なの?とは聞けませんでした。
「ふふっ、先生も体験した」「うん、しましたね」「したした」
「本当にすごいわ。まだ力は微々たるものだけど、これほどまでとはね」
この子達とボアさんにしかわからないことを言っている。ふふっ、うふふっ、はははって、笑ってる。
「ジーアの料理はおいしいだけじゃない」「わたし達に元気をくれるの」「力が回復」
「回復?」
「ジーアさん…自分の気づかない所で力を発揮していたのですね」
そうなんだ実感がわかないけど、お役に立てたみたいでうれしい。クッキーとか蒸しパン、プリンに焼きドーナツ。
次々とレシピが浮かぶ。
「ジーアさんご自分で作った料理のレシピを魔道書に記入しておくといいかもしれません、いずれ役に立ちますわ」
「はい、わかりました」
「では、そろそろわたしは帰らなくてわ。これを帰る前にあなたに渡しておきます」
懐から真鍮製の呼び鈴を出した。
持ち手の所に花の彫刻が施してあるかわいい呼び鈴。
「かわいい」
「それを鳴らすと私が飛んで来ます。困った時にいつでもお呼びください、特に3時のおやつの時間が良いです」
ふふっと笑うボアさん。みんなも喜ぶだろうから、お茶の時間にお呼びしましょう。
「後、もう一つだけ屋敷の中に見知らぬ扉を見つけても、まだ開けない方が良いでしょう。あちらにもまだ報告を入れてませんし、もう少しここでの生活に慣れてからの方が良いでしょうから」
「扉ですか…はい、わかりました。ボアさん明日の3時ごろお呼びしますね」
「うれしい、明日のおやつを楽しみにしています。キキ、スイ、メラ。ジーアさんをよろしくね」
「はい、任せて」「わかりました」「ガンバる」
お茶とスコーンのお礼にジーアさんに「魔法を少しお見せしましょう」ボアさんはそう言ってくれた。
「ではまた、明日3時にお会いしましょう」
ボアさんが手を上にかざすと周りに色取り取りの花びらが舞い彼女を包む。
その花びらと、ともにボアさんは風に乗り奥の森へと消えていった。
その光景をぽかーんと眺めていた。
「魔法ってステキ」
奇麗な魔法に胸が踊るステキな人は、去り方もとてもステキでした。
「さてと、片付けをしましょう。みんなは夜はなにが食べたい?」
「「パンケーキ」」
「わかった。メラ夜にパンケーキを焼く時によろしくね。2人はお手伝いをよろしく」
「はい!!」「はい」「あいあい、任せて」
片付けの後に書庫にいき本を読みながら椅子を堪能した。わたしの名前の付いた魔道書を胸に抱え
「あーだめだ顔がにやけちゃう、魔法を使っちゃった」
わたしの料理を食べてみんなが元気に回復しちゃうなんてうれしい!わたしは1人書庫でもだえた。
その後はスイとメラに頼んでお風呂を沸かしてもらい「一緒に入る?」と聞くと喜ぶ3人。湯船につかりせっけんを泡立てて背中を洗ってもらった。
泡泡の3人と私たち、キキがじーっとわたしの胸を見てひとこと言った。その後スイか見てメラは胸を張る。
「ジーアの胸の大きさわたしのと変わらん」「わたしと一緒」「わたしの方が大きい」
「そんなことないわよ。わたしの方が…大きいもん」
ないないと笑う3人、ない胸同士で胸に泡をつけて大きくしてみた。泡の付いた自分を見て本当はこれくらいは欲しいのにとこっそり落ち込んだ。
お風呂上がりも大変だ、彼女たちは自由に飛び回る。
「こらっ動かない。キキぬれたまま廊下に行かないのメラもその後に続かない、スイは拭き終わったよ」
裸のまま「待てー」と追いかけてタオルで包みこみわらう彼女たちと楽しんで、その後はみんなでベッドに飛び込む。わたしの重さでぽよよーんと弾む3人。
「ふーっ、お風呂が温かくて気持ちよかったね」
「うーん」「体がポカポカ」「良い」
寝る前に彼女たちに「魔力をどうぞ」と言っては見たもの…どうやるのだろう?
「私はどうすればいい?」
「手を出して」「わたし達が握る」「いただきます」
手を出すと彼女たちの小さな手がわたしの手を握る。わかる、何かを吸い取られる感じに、わたしにも魔力があるんだなぁって思っていた。
「ジーアの魔力」「感じる」「うーん」
彼女たちの手が離れていくと、ロウソクの明かりとは別に彼女たちがぽわあっと、キキは緑色、スイは青色、メラは赤色。まあるい光に包まれ目を閉じら3人。
「「ありがとう、ジーア」」
「はい」
程よく力が抜けて眠くなる。
「わたし寝るねおやすみさない、みんなもここでねて…いい…から…ね」
と言って先にベッドに潜った。
「おやすみジーア」「おやすみなさい」「ふわぁ」
次の日はいつもよりは遅めに目が覚めた。ベッドの真ん中に丸まって眠るキキ、メラ。
あれっスイは、探すとわたしのすぐ横に寝ていた。
私は彼女たちを起こさないように、そっとベッドを抜け出して井戸水で顔を洗った。
「いい天気、朝食は何にがいいかな?」
昨日焼いて、残ったパンケーキを温め直そうかな?
「今日はお掃除をおやすみにして、書庫にこもろう」
今日こそ魔導者を開いてレシピを書く。
廊下の窓を少し開けながら空気の入れ替えをしていた。
書庫の窓も開けようと書庫に行く途中に
「あれっ」
こんな所に部屋があった?
つい、わたしはドアノブを握りその見つけた、扉を開けてしまった。
昨日ボアさんに
『屋敷の中に見知らぬ扉を見つけても、まだ開けない方が良いでしょう』
と、言われていた。




