第4話
着々と屋敷のお掃除が進んでいく。
昨日はお休みにして書庫にこもったから、今日は廊下の窓枠を拭く日にした。
キッチンに置いてあった背もたれのない丸い木の椅子を持って来て、その上に乗り窓枠のホコリを払ったり雑巾で拭う。
「くーっ、上の方が届かない」
「任せて」「私たちがやるよ」「うんうん」
3人で私の届かない場所を拭いてくれる。
一生懸命に頑張る姿が可愛い。
「ちょっと待っててね」
バケツを持って汚れた水を捨て、周りをふわふわ飛ぶスイにお願いした。
「悪いんだけどスイ。このバケツに水をお願い」
「はい、ご主人様」
お昼前まではこのまま窓枠のお掃除をしよう。
お昼ご飯はパンケーキかな?
それともリンゴジャムのパン?スコーン?
みんなは私が魔法を使わなくても何も言わない、一緒になってお掃除の手伝いをしてくれる。
「ご主人はお掃除が好きなの?」「お掃除が好き?」「?」
「そうね好きかな?キキ、スイ、メラ私はこの家を大事に使いたいの…自分の家だもの」
自分の手で奇麗にする自己満足かもしれないけど、この自分で手に入れた私の家を大切にしていきたい。
「じゃあ、私たちも大切にする」
と彼女たちは笑って言ってくれた。
彼女たちにお手伝のお礼にお昼はパンを焼いて美味しくできたら、小麦粉を貰ったお店のおばちゃんにも持って行こうかな?
お店で新しい果物を買ってきて違うジャムかコンポートを作りたいな。
窓の掃除をしながら食べ物のことを考えていたら「ぐうっ」とお腹がお昼の催促をし始めた。
「よし、いまからパンを焼くからお掃除はおしまい」
「やったパン!!」「わーいパン!!」「うまぁー」
彼女たちも喜びさっさと片付けをしょうと、バケツと椅子を持ってキッチンに向かう。
コンコンコン、コンコンコン
「!?」
木製の玄関についていたドアノッカーを叩く音が聞こえた、真鍮製でいかついライオンの口に真鍮の輪が付いたドアノッカーだ。
コンコンコンまた鳴った。
ここに住み始めてからの初めてのお客様が来た。
「みんなは出てきちゃダメよ、少し離れた位置で見ていてね」
「はーい」「わかりました」「うん」
彼女たちを見つけると捕まえようとするかもしれない、私は緊張しながらワンピースに付いた埃を払い玄関に向う。
「はーい、お待たせしました」
木製の重たい玄関の扉を開けると、そこにいたのは美人の女の人、その人は私を見ると微笑んだ。
「こんにちは、あなたがジーアさん?」
「はい、そうです。こんにちは」
「あなたがそうですか。あの子達はしっかりとあなたのお手伝いを出来ていますでしょうか?」
あの子達?
うすうすでふわふわした肌の透けた薄緑色の布地
グリーンのウェーブした長い髪にグリーンの目。
この人はすごく色白で美人さんだ。
身長の高い美人さんを見上げて私は固まった。
美人だけど耳が長い?
もしかするとエルフさん!?
「あの、ジーアさん?」
「ふあい」
初めて見たエルフさんに感動してしまっていた。もしかすると興奮してふーふーと変な息が漏れていたかも…。
そんな私の様子を近くで見ていた3人は気になって扉から顔を出してしまう。
「誰が来たのジーア?」「誰でしょうジーア」「なになに」
「あっ、でちゃダメだよ!」
彼女たちを止めようとしたけど、3人はその綺麗なエルフさんを見ると。
「先生だぁ」「え、先生?」「せんせー」
「先生?」
エルフさんを「先生」と呼び彼女たちはエルフさんの周りを飛んで回った。
先生と呼ばれた美人さんは優しくほほえみ、彼女たちに頬ズリをしていた。
それを私はポカーンと玄関先にただずんで見ていた。
その様子を見たエルフさんは礼をして、ポンと黄色の可愛い花を出す。
「申し遅れました、私は妖精学園の先生をしております。ボアと申します」
エルフさん改ボアさんが差し出した花を受け取り驚く、妖精学園!?妖精にも学園があるの?
「今日はジーアさんに伝えなくてはならないことと、この子達を抜き打ちで見に来ました」
私に伝えたい事とキキ、スイ、メラの抜き打ちと言いにこやかに微笑むボアさん。
「ここではなんですから中にどうぞ、まだ奇麗ではないのですみません」
「いいえ、大丈夫です。貴方がいままでて1番綺麗に使っています」
「えっ」
ホールにたたずみ辺りを見渡して1番奇麗と言ったボアさん。
「前の住人さんはそんなに酷かったのですか?」
「ええっ、他の魔法使いなんて研究ばかりで片付けなんて、誰一人していませんでしたからね」
他の魔法使い…
「やっぱり、私って魔法使いなんですか?」
「ええ、そうです。ジーアさんは書庫で魔法使いになりたいと書かれた魔道書の魔方陣に触れましたよね…この子達もあなたによってここに招かれました」
「魔道書、キキ、スイ、メラを招いた?」
ボアさんは頷くと
「ええ、この家は魔法使いの方しか住めない家なのです。前回までは魔法の国の魔法使いの中から選び管理を任せていたのですが、とある問題が発生しました」
「はあ」
「皆での話し合いの結果。今回は試験的に人間の中から魔力の高い方にここを任せてみましょうとなり、魔法で書かれたチラシをこの国の各所にバラ巻き、チラシを読めてその中で1番に魔力の高い人を選びました」
「魔力が1番高い?」
「実際にジーアは魔法で書かれたチラシが読め、魔道書の魔法陣に触りこの子達を招きました、今日お伺いしたのはあなたがこの家に来てから1ヶ月達がたち、あなたに魔法使いになるか、なりたくないかを聞きに参りました」
「…魔法使いになりたいか、なりたくないか?」
ちょっと待ってここで魔法使いになりたくないと言ったら…折角手に入れたこの屋敷を手放さなくてはならないの?
「で、どうですか?あなたは魔法使いになりますか、それとも私達を見て気味が悪くて屋敷を出て行きますか?」
私たちを見て気味が悪い?
「ちょっと待って私はキキ、スイ、メラやボアさんを見てもそんな風に言いません!」
「まあ…」
ボアさんは私の言葉に驚きを隠せないみたいだ。お客様のボアさんと立ち話もなんなので、一応お客様が来るかもと奇麗にした応接間に案内をした。
「メラ、スイ紅茶を入れるから手伝って」
ボアさんの近くで飛ぶメラとスイを呼んだ。
「はい」
「あいあい、任せて」
「すみません、しばらくここでお待ちください」
しかし彼女は「いいえ、見学します」と、微笑んでキッチンについて来た。
お鍋にスイに水を入れてもらう。
「ありがとう、スイ」
「いいえ」
「じゃあ、次はメラよろしくね」
「任せて」
私は棚から缶に入った紅茶の葉を出して、紅茶の準備と2日前に試しに焼いたスコーンとりんごジャムを出した。
スコーンとりんごジャムを見た3人は
「ジーア、スコーンてまだある?」「スコーンあります?」「グググ」
「ふふ、大丈夫よ、たくさん焼いたからみんなの分も出すわね」
「まあ!!」
ボアさんが驚きの声を上げた。
「あなた達も食べさせてもらっているの?」
この驚き様って…まさかこの子達にあげちゃダメだったの?準備してしまったお皿にキキとスイとメラ用に焼いた小さなスコーン。
「…ボアさん」
「ジーアさん食べるのがダメとかでは無いの、ただ、驚いただけ魔法使い達はこの子たち妖精に頼み事はしても、魔力を分ける事以外は何もしなかったから」
「魔力を分ける?」
聞き返すとまた驚いた顔をしたボアさん。キキ、スイ、メラから何も聞いていない。
「あら?この事を話してないのですね、あなた達も人に付くのは初めてですからね」
「ボアさん私はキキ、スイ、メラに魔力分けてないけど彼女たちは大丈夫なの?」
心配になって彼女たちを見ると眉が3人共に八の字になっていた。
「ジーアごめんね」「ジーアすみません」「ごめん」
え、なんでそこで謝るの?




