第3話
魔法使いになったみたいだけど…まずは掃除からと毎日屋敷のお掃除に明け暮れています。
「ご主人」「ご主人様」「はいはい」
「ジーアと呼んでと言ったでしょう?」
「はーい」
彼女達と書庫で出会ってから一週間たちました。キキ、スイ、メラには困ります。
「ジーアのお手伝いをするね」
みんなでお手伝いをしてくれるのはいいのですが…彼女達の魔法は凄かった。
加減がむすがしいみたいで
洗濯をすればキキが風の魔法を使うのだけど、加減が下手で、風を起こしすぎてしまい洗濯物を飛ばす、洗ったばかりの洗濯物は吹き飛ばされ土の上。
「キキ」
「ごめーん、力加減を間違えた」
「今度は気をつけね」
「はーい」
掃除の後に書庫で読めそうな本を物色中。
「うわぁぁ!」
お風呂場からしたスイの声に行くと、彼女は水魔法でお風呂をお掃除しようとしていたらしく、辺りに水をぶちまけずぶ濡れの彼女と水浸しの廊下。
洗濯物と拭き掃除が増えました。
「スイ」
「ごめんなさい」
「大丈夫?キキに乾かしてもらっておいで」
「はい、わかりました」
みんなのご飯の準備。
硬くなってしまったパンをこんがりサクサクに焼いてもらい、作ったスープに浮かして食べようと思ったのですが、火加減が難しいのかメラに頼んだパンはサクサクどころか丸焦げ。
「メラ」
「ごめーん」
「メラ、火傷はしていない?」
「大丈夫!」
そんな毎日が過ぎ掃除も忙しく。
キキ、スイ、メラの魔法を見るだけで満足。
自分が多分魔法使いになったことさえ忘れてる。
食料も1人分から3人分に増えて家から持ってきていた、日持ちのする物やじゃがいもにさつまいもなどの食べ物が底をつき始めた。
あの子達は体の割に食べる量が凄いのよね。
今日は近くの村にお買い物に行こうかな?
キッチンの棚で残った材料を確認をして、いる物をメモに書いた。
「キキ、スイ、メラ近くの村で食べ物を買ってくるからお留守番よろしくね」
「はーい」「はい」「はいはい」
髪型はお団子のままで、メイド服からワンピースに着替えを済ませて、お財布と買い物カゴを持ち始めて屋敷から外に出た。
小麦畑が風に揺れ舗装された畑道を歩き、近くの村へと着いた。
木造とレンガの建物が並ぶ小さな村。
「ここで、古い小麦粉を少し分けてもらえないかな?」
ダメだったら買うけど…後はお野菜も少し欲しい。
初めて来た村はのどかで前世に住んでいた村を思い出す。しばらく進むと店先に商品を並べるお店を見つけた。野菜にお肉、卵に牛乳なんでも揃っている。
店先に立つおばさんが私に気がつき声をかけてくれた。
「あらっ、見かけないお嬢さんだね」
「こんにちは、この近くに越してきたんです。安い小麦粉は無いですか?」
「安い小麦粉ね、古い小麦粉でいいかい?」
「はい」
おばさんは待っていてねとだけ言い、店の奥に行ってしまった。
「えっ、お店は?」と慌てていると紙袋に小麦粉をいっぱい入れて渡してくれた。
「あの、おいくらですか?」
「この小麦粉は古いから値段はいいよ。でも、ちゃんと食べれるから使ってね」
「ありがとうございます」
分けてもらえたらなって思っていたけど、実際に貰えてしまうと躊躇してしまう。
「他にいるものあるかい?」
「えっと、リンゴ3つとたまご5つ、後、牛乳をください」
「はい、まいど」
小麦粉を片手に持ちリンゴ、卵に牛乳を買い物カゴに入れて行く時と同じく風に揺れる小麦畑を眺め、ゆっくりと散歩をしながら屋敷に戻った。
「キキ、メラ」
「なーにスイ」
「ふふっ、キキ、スイ」
屋敷に戻るとあの子達は日の当たる庭でお互いの名前を呼んで笑っていた。
庭で3人は日向ぼっこ中、荷物を置いてしばらく屋敷に入らずに、楽しげな3人を眺めていた。
「あっ」「どうしたのキキ?」「ん?」
キキが私に気が付き声を上げた。
「ジーアが帰ってきた」「ほんと、お帰りなさい」「お帰り」
みんなは日向ぼっこをやめて近くに飛んで来る。
「ただいまキキ、スイ、メラ。いまからパンケーキを焼こうと思うのメラ手伝ってくれる」
「はいはい」
「火の加減には気をつけてね」
「まかせて!」
りんごは煮込んでジャム?
そうだ、りんごを砂糖水で煮込んだコンポートにしょう。日持ちもするし甘くて美味しい。
この家のコンロは見た目はごく普通に見えるのだけど、薪を入れる所が無い。
火の魔法を使ってコンロを使う?
もしかするとその為にメラがいるのかも。
メラはいっくよーとコンロの近くに座り、大きく息を吸って火を口から吹く。
初めて見たときは驚いたけど、メラの火は火力が強い。
火の加減を間違えるとフライパンに穴が空くだろうな。
閉まっておいた棚からフライパンとお鍋を出し、まな板と包丁を用意してりんごを薄切りにした。次に砂糖水を作りリンゴを入れて煮込み、パンケーキのタネを作りオリーブ油を引いた、フライパンで焼いていく。
メラの火加減も良くこんがりきつね色に、パンケーキが我ながら上手く焼けた。
後はお皿を出してパンケーキとコンポートを添えて出来上がり。
「メラ、ご苦労様」
「ほいほい」
「メラのお陰で美味しそうよ。みんなでいただきましょう」
甘い香りが辺りを漂いお腹が空く、こんなに暖かい日には外で食べ様と、部屋に戻りアタッシュケースから何かの時にと持ってきた、大きめな布を取り出した。
「さあ、庭でみんなで食べましょう」
「おお」「はい」「パンケーキ!!」
1人一皿小さなパンケーキ二枚とコンポート添え、私のは大きな一枚にコンポートを添える。
庭に持って出てひいた布に並べた。
甘い匂いに誘われた3人はパンケーキを見るなり
「ぬぬ」「なな」「おお」
目を大きくした。
「温かいうちに召し上がれ」
「「はーい」」
3人の返事と目が光ったと思ったら、物凄い勢いで、お皿に突っ込んで食べ出した。
なんと言う勢いなの、彼女達より大きめなパンケーキがあんなに小さなお口に消えていく。
「美味しい?」
「うん、美味しい」「とても美味しいです」「うま」
「良かった」
パンケーキは普通に焼いただけだけど、甘いコンポートと合わせるとピッタリ。
次の日もまた次の日もパンケーキが気に入った3人は何食べたいと聞いても「パンケーキ」と答える。
毎日パンケーキを頼むからメラは火加減が上手くなり、私もパンケーキを焼くのが上手くなった。
今日は余ったりんごで作ったリンゴジャムを添え。喜んで食べてくれる彼女達を見て幸せを感じる。
明日はパンを焼いてリンゴジャムを塗って食べようかな?




