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第2話

朝は軽く残っていたパンとぶどうジュースで済ませた、わたしマジーア改ジーアは18歳。

身長は150センチに赤茶色の髪に茶色の目。

長めの髪を結ってお団子にして、持って来たメイドのエプロンなしワンピースをアタッシェケースから出しそれを着た。


「さてと、行きますか」


寝室を出て、朝一番に向かったのは書庫。

書庫の掃除と中を見ようと、ウキウキと書庫の分厚い木製の扉を開けて、それを扉止めで開けっ放しにした。


「さてさて、どんな本があるのかな?」


書庫の中に入ると古い本の匂いがした。


「懐かしい城の書庫でも嗅いだ香りだわ」


ここに置いてあるすべての本が全部、わたしだけの物だと思うだけで顔が緩む。

なんて良い物件の屋敷を買ったの。

奥に行き黒色のカーテンを開けて木製の窓を開けた。


カーテンを開けて窓から入る光で見えたのは、大きさが6畳くらいの古びた書庫。

真ん中に前の住人が使っていたのだろう、革製でゆったりと座れそうな椅子が埃を被り置いてあった。


触ってみた革の感じもいい。


「えい、座っちゃえ」


たくさん服を持って来たから大丈夫、服が汚れたらお洗濯すればいいだけだもの。座ってみてわかるこの椅子はしっかりとお尻を包み込んでくれる。

長い時間ここに居ても疲れないだろう。


「最高だわ」


早く書庫の掃除を終わらせて、この椅子に座り一日中本を読もう。

目標が定まり私は椅子から降りるとお尻を払い、ホウキを持って目の前の本棚のホコリをパタパタ払った。

本当は二階からホコリを叩いたほうがいいけど、どんな本が眠っているか我慢できず一階から始めた。


ホコリが取れて背表紙が読める様になった。


これは…


「…読めない。この文字はルーン文字と言うんだっけ?」


攻略対象の魔法使いのローレンス君が読んでいた本の内容を聞いた時にそう言っていたわ…あの時こうも言っのよ。


『お前には読めない本だ!』


と、言われてフッと鼻で笑われたのよ。

ムカついたけどそれは本当だから、仕方がないかってその時は『教えてくれてありがとう』と礼をしてその場を去ったわ。


でも、こんなに魔法の本が溢れる中で奥の隅に純愛物の恋愛小説や冒険物の小説が所狭しと、何冊か置いあり珍しく感じた。


一階を終えて左側に設置されている木造の細い階段を登り、二階に上がると通路がコの字に曲がり向こうの本棚まで繋がっていた。


その左側の通路の曲がり角の手前に一冊の本が床に落ちていた。


「前の人の終い忘れ?」


その落ちている本を手に取ると下の床には艶があった。


薄っすらと積もったホコリを「ふぅーっ」と息を吐き上の埃を吹き落とした。


「ゴッ、ゴボッ」


ホコリが取れ見えて来たのは皮で出来きた表紙に金模様が型押しされていて、中は高級な羊皮紙が使用されている。


残った埃を袖で拭き、この本の為に空いている本棚に戻ろうとして手が止まる。


綺麗になった表紙の真ん中には【あなたは魔法を使いたい?】の文字が書かれていた。


「何この質問?」


まあ、魔法か使えたら面白そうで便利だと思う、どちらかと言うと面白そうだから使ってみたいかな?


前世で遊んでいたゲームみたいに使えちゃう?

魔法を使いたいと書かれた表紙の本に興味を持ち、わたしはこの本を開く。


すぐに見えたのは


「魔法陣?」


コバルトブルーで描かれた魔法陣が描かれていた。何気無しにそれに触れた途端、その魔法陣が眩く光りわたしは余りの眩しさに目を瞑った。


何、触れた途 とたんに魔法陣が光った?


「ふふふ」「目を開けて」「ほら」


どこからか女の子たちの声が聞こえてきて、驚きのあまり、瞑っていた目を開けた。


「お、女の子?」


淡い光を纏った小さな女の子達が羽を動かして、目の前を飛んでいる。


「あなたがご主人様?」「ご主人様でしょうか?」「はいはい、よろしく」


透明な羽が背中に四枚ついき、ふわふわした真っ白い薄地のワンピースを着た、背丈が20センチくらいの小さな女の子達が目の前を飛んでいた。


1人は目が大きな緑の髪の色の女の子。


もう1人は細めの青い髪の女の子。


最後の1人は少し太めの赤い髪の女の子。


みんなツインテールの可愛い髪型だ。


「はい?」この子たちはどちら様でしょう?


本には書かれていた魔法陣は消えていて、【この子達をよろしくお願いします】と書かれた文字が現れるとすぐに消えていった。


「よろしくお願いします?」


この子たちを任されたの、ふわふわ飛ぶ女の子達は口々にわたしに笑って



「よろしく!」「よろしくお願いします」「任せた」



これは夢かもしれない…この本を開いている本棚に戻し、現実逃避とでも言うのだろうかわたしは再び何もなかったかのように、ホウキを持ち掃除の続きを始めた。


彼女たちも後を付いて来て、わたしの周りをふわふわ飛ぶ。


「あなたのお名前は」「ご主人様のお名前」「なんていうの?」


現実逃避中…ホコリを払う掃除中ずっと横で名前を聞いてくる、もう、何回目かの同じ質問に答えた。


「わたしの名前はジーアよ、あなたたちの名前は?」


緑の髪の女の子はしょんぼりして首を振り「わたし達にはまだ名前が無いからジーアが付け」残りの2人も頷き名前を付けてと言う。


この子達に名前をつける?

名前ぐらいはいいかなぁと


「緑の髪のあなたはキキ」


「おおっ!!」


「キキ」とつけた名前を呼ぶと、本棚にしまった本が光を放った。


(?)


「じゃあ、あなたは青い髪だからスイ」


「はい!!」


「スイ」と呼ぶとまた本が光った。


(??)


「赤い髪のあなたはメラ」


「うん!!」


「メラ」と呼ぶとまたまた本が光った。


(???)



〈契約が終了いたしました〉



いきなり頭の中に声が聞こえた?


「えっ、契約?」


咄嗟に周りを見たけど誰もいない…。

本棚に戻した本がふわっと飛び出て来て、わたしの前まで飛んで来ると、パラパラっと目の前でページがめくれた。


本の魔方陣が描かれたページでとまる、そこにはキキ、スイ、メラに似た女の子の絵が描かれていた。


その彼女たち絵の下にはわたしがいま、付けた名前が記されている。


「ありがとうジーア」「スイか」「メラってカッコいい」


体全体で喜びを表しふわふわわたしの周りを飛ぶ。


「名前を喜んでくれてありがとう。今日中に書庫の掃除を終わらせるからあなた達は何処かで遊んでいて」


それにこんなに小さな子たちに「掃除を手伝って」なんて言えない。


「わかった、ジーア。私達は担当の場所にいるね」


「そうね」「はーい」


担当?


「ちょっと待って、担当って何?」


持ち場に行こうとしていたキキ、スイ、メラを呼び止めた。


「わたしは風の妖精だから風を送って洗濯物を乾かせるの後、洗った食器とかもね」


「わたしは水の妖精です。水を出してお風呂に水を貯めたり洗濯に使う水を出したり、メラと力を合わせてお風呂を沸かし後はトイレの水を流します」


トイレの水を流すって…終わった後この子に頼むの?


「わたしはキッチンで料理をする時に火を噴くよ」


風に水に火?


「みんなで、わたしのお手伝いをしてくれるの?」


「そうだよ」女の子たちは頷き「用事があるときには名前を呼んでね」と言うと、すーっと飛んで行ってしまった。


書庫に残ったのは、わたしとまだ近くで浮いているこの本…。


いつの間にか本を閉じて、わたしに受け取れと言わんばかりに目の前で浮かび、 飛んで後を付いてくる。


あっちに行っても、こっちに来ても後を付いて来くる。


うううっ…


「もう、わかったよ受け取ればいいんでしょう」


両手を伸ばし浮いている本を取った。


「あれっ?」


本の表紙にはさっきに見た【魔法使いになりたい】の文字はなく、魔法使いジーアの名前が記されていた。


「魔法使いジーア?」


わたしは魔法使いになっちゃったの??

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