第92話 武器専科へ、ようこそ!
『あ。俺行きたいとこあるんだ!』
思わず言った言葉に、みんなが動いたと同時に俺はおじさんのお父さん――竜之助さんに敵と認識をされてしまった。
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「シチュー~~食いたかったぁ! あんまりなんじゃねぇのかぁア゛!?」
恨みつらみを、翡翠さんが俺に言ってくるもんだから、俺も言い返さざるを得ないのは仕方がないと思う。この人だって、今は群青じゃなくて一般の従業員の早乙女ミドリさんなんだから。少しの反撃くらいいいんじゃないのかな。
「翡翠さんだけでも。シチューが出来るまで待ってればいいじゃないですか? 俺は買い物に行きたかっただけなんでっ!」
「だから! そこ! そこだぜぇ?? オイラ達の生命を繋ぐのは手前が万年4位の馬鹿から奪ったPとΔだ! それをホイホイっと散財してなくしてみろ! どうやって明日から、どう飯食うってんだよッ!」
俺と翡翠さん、もちろんおじさんも一緒に来たのは《ワールドルーツ日本支部》だ。俺が来たかったのは――《武器専科》だ。そこで、もう一回、武器を見たかったからだ。
折角、勝ち取った賞金だし、おじさんに何かを買いたいな、とか思った。
「……おい。何かさぁ? オレの知らないとこで、何か悪い事でもしたのかぁ? たくま??」
そうだ。俺がゲーセンの大会で勝ったことや、相手からPとΔを奪ったことを、言ってなんかない。多分、どうして紫陽花が居たのかってのも、分かっていなかったはずだ。
それなのに、驕ってもらって、食わしてもらって、気にする様子もないのが凄いと思う。
「お金が、どうしたって?」
「ぉ、お金は……っつ! あ、叔父さんに小遣い貰ったんだって! 生活の為だもん!」
「借りたの? 吾妻さんにぃー? っかー~~少しは、オレにも相談しろよっ! ったくよぉ!」
苛立った様子で、髪を掻くおじさんに、俺は正直に打ち明けたくなったんだけど1つ言えば、洗いざらいと漏れてしまいそうな《真実》が怖かった。口を開くことが出来ない。
「全部。手前の為じゃねぇか。偉そうに説教すんじゃねぇよ、カスが」
押し黙ってしまった俺に変わって、翡翠さんが援護射的をしてくれた。
「あァ。あの後は本当に大変だったなぁ~~腹の音も半端なくてよぉ」
粘っこく、翡翠さんが淡々と、口攻撃をおじさんにしていく。
「研修生の金バッチ貰って勤務に入れるようになろうぜー♪」
よく分からないことを言って、おじさんが腕を曲げて拳を握った。心意気は見て分かるんだけど、何を言っているのか全く、俺には理解が出来ない。
「え? 何????」
「そのうち習うよぉ、いいからいぃからぁ、行こぉう」
◆
「おや? 群青の愚息1号2号の揃い踏みたぁ~~奥の部屋に居な。カタログを持ってくからよ!」
兆時さんがうきうき、喜々と声を弾ませて言うとおじさんも「行くよー」と俺の腕を引っ張った。翡翠さんは、兆時さんへと足を向かわせた。
「あ。翡翠さん」
「いいからいいから。奥の部屋に行こうぜ、くまちゃんー」
「あ~~はい」
正直言うと、俺は翡翠さんについていきたかった。どうしてかと言うと、彼と俺は秘密を共有している、共犯だからだ。
(勝手に、秘密を作られたら嫌なんだよなぁ)




